イレウス

(麻痺性イレウス、腸不全麻痺)

執筆者:Parswa Ansari, MD, Hofstra Northwell-Lenox Hill Hospital, New York
レビュー/改訂 2021年 9月
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イレウスとは、腸が一時的に正常な筋収縮をしなくなった状態です。

  • 一般的な原因として、腹部の手術や腸の運動を阻害する薬があります。

  • 腹部膨満、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、食欲不振が生じます。

  • 診断はX線検査によって下されます。

  • 飲食物の経口摂取が中止され、ときには鼻から胃に細い吸引チューブが挿入されることがあります。

消化管救急疾患の概要も参照のこと。)

腸閉塞(閉塞)と同様に、イレウスが起こると、食べもの、水分、消化分泌液、およびガスの腸管内の通過が妨げられます。しかし、腸閉塞とは異なり、イレウスは物理的な閉塞(腫瘍や瘢痕組織など)によるものではなく、破裂に至ることはまれです。

イレウスの最も一般的な原因は以下のものです。

  • 腹部手術

イレウスは腹部手術(特に腸に処置を行った場合)の24~72時間後によく起こります。

他の原因として、薬が挙げられます(特にオピオイド鎮痛薬や抗コリン薬[ see sidebar 抗コリン作用:どんな作用か?]など)。虫垂炎憩室炎(けいしつえん)などの腹腔内感染症によってもイレウスになることがあります。腎不全甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)、心臓発作、血液中の電解質異常(低カリウム血症高カルシウム血症など)といった腸以外の病気によってイレウスが起こることもあります。

イレウスの症状

イレウスの症状は、ガスや体液がたまることによる腹部膨満および痛み、吐き気、嘔吐、重度の便秘、食欲不振、けいれん性の腹痛です。水様性の便がみられる場合もあります。

イレウスの診断

  • 医師の診察

  • X線検査

イレウスになると、正常に機能している腸から出る音(腸音)が聴診器を通してもほとんどまたはまったく聞こえません。

腹部X線検査では腸管の膨らみが見えます。

イレウスの治療

  • 飲食物の経口摂取の一時的な制限

  • 輸液

  • 経鼻胃管による吸引

飲食物の経口摂取の一時的な制限により、イレウスは通常1~3日後に自然に回復します。この期間は、水分や電解質(ナトリウム、塩化物、カリウムなど)を静脈から投与します。オピオイド鎮痛薬と呼ばれる強力な痛み止め薬は、可能であれば必ず中止するか減量します。

重度の嘔吐はまれですが、発生した場合は、イレウスによりたまったガスや体液を減らす必要があります。通常は、チューブ(経鼻胃管)を鼻から胃または小腸まで入れて吸引をし、腸内の圧力を下げることで、腹部のふくらみ(膨隆)を軽減します。腸の正常な機能が回復するまでは、飲食ができません。ときに、イレウスが主に大腸に生じている場合、チューブを肛門から大腸まで入れて腸内の圧力を下げることもあります。

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