種類または原因 | 一般的な特徴* | 検査 |
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原発性頭痛(他の病気によらないもの) | ||
以下に当てはまる突き刺すような重度の頭痛
横になれない、落ち着かない(ときに動悸が激しくなる) 痛みがある方の側に、鼻水や涙が出たり、まぶたが垂れ下がったり( ホルネル症候群 ホルネル症候群 ホルネル症候群では、顔の片側において、まぶたが垂れ下がり、瞳孔が小さくなり(収縮)、発汗が減少します。原因は、脳と眼をつないでいる神経線維が分断されることです。 ホルネル症候群は自然に発生することもあれば、脳から眼につながる神経線維を分断する病気が原因で発生することもあります。... さらに読む | 医師の診察 ときに、頭部のMRIまたはCT検査により、他の病気の可能性を否定する(特に、頭痛が最近起こるようになったり、症状のパターンが変わったりした場合) | |
中等度から重度の頭痛があり、
しばしば、片頭痛が始まるという予感(予兆と呼ばれ、具体的には気分の変化、食欲不振、吐き気など) 発作の前は、一時的な感覚障害、バランス障害、筋肉の協調運動障害、発話障害、視覚障害(チカチカする光が見えたり、盲点が現れたりする)が起こることがある(これらの症状は前兆と呼ばれる) | 群発頭痛と同様 | |
通常は軽度から中等度の頭痛がある
| 群発頭痛と同様 | |
二次性頭痛(他の病気によるもの) | ||
ふらつき感、食欲不振、吐き気と嘔吐、疲労、脱力、易怒性、睡眠障害 最近高地に行った人(6時間以上飛行した場合を含む) | 医師の診察 | |
脳から血液を排出する太い静脈に血栓ができる(脳静脈洞血栓症) | 以下に当てはまる頭痛
ときに、複視またはかすみ目、吐き気、または拍動と同時に起こる耳鳴り(拍動性耳鳴) ときに、けいれん発作、また脳卒中に似た症状(腕や脚の麻痺、視力障害など) | |
脳腫瘍 脳腫瘍の概要 脳腫瘍は、脳内にできた良性または悪性の増殖組織です。脳内で発生するものと、体の別の部位から脳に転移してきたものとがあります。 症状としては、頭痛、人格の変化(突然の抑うつ、不安、自制がきかなくなるなど)、平衡感覚の消失、集中力の低下、けいれん発作、協調運動障害などがみられます。... さらに読む 、 膿瘍 脳膿瘍 脳膿瘍とは、脳の中に膿がたまった状態のことです。 脳膿瘍は、脳以外の頭部もしくは血流に生じた感染から、または傷を介して、細菌が脳に侵入することで形成されます。 頭痛、眠気、吐き気、体の片側の筋力低下、けいれん発作が起こることがあります。 頭部の画像検査を行う必要があります。 抗菌薬を投与し、通常は針で膿瘍をドレナージするか、手術で切除しま... さらに読む 、その他の脳内腫瘤( 血腫 頭蓋内血腫 頭蓋内血腫は、脳の内部、または脳と頭蓋骨の間に血液がたまった状態を指します。 頭部外傷によって脳の内部、または脳と頭蓋骨の間に血液がたまって生じます。 脳のどの領域が損傷を受けているかに応じて、しつこい頭痛、眠気、錯乱、記憶障害、脳の損傷部位と反対側の体の麻痺、発話や言語能力の障害などの症状が現れます。... さらに読む | 以下に当てはまる軽度から重度の頭痛
| MRIまたはCT検査 |
一酸化炭素は無色無臭であるため、曝露に気がつかないことがある | 血液検査 | |
歯(上の歯)の感染症 | 以下に当てはまる痛み
歯痛 | 歯の診察 |
様々な種類の頭痛 しばしば、発熱、眠気の悪化、錯乱、興奮、脱力、動きのぎこちなさを伴う けいれん発作と昏睡 | MRIまたはCT検査、腰椎穿刺 | |
片側のこめかみのズキズキとした痛み 髪をとかすときやものをかむときの痛み ときに、圧痛を伴うこめかみの動脈(側頭動脈)の拡大、うずきや痛み(特に肩、太もも、股関節) ときに、視覚障害または視力障害 55歳以上の人に多い | 血液検査により、炎症の指標である赤血球沈降速度(赤沈)を測定する 側頭動脈の生検 | |
前頭部、眼の中、または眼の上に起こる中等度から重度の痛み 眼が赤くなる、光の周りに虹のような輪が見える(光輪視)、吐き気、嘔吐、視力障害 | できる限り早く眼の診察 | |
頭部外傷の直後またはしばらく後に始まる頭痛(意識消失の有無は問わない) ときに記憶障害、人格変化、またはその両方 | CTまたはMRI検査 | |
以下に当てはまる頭痛
ときに、複視またはかすみ目、吐き気、または拍動と同時に起こる耳鳴り(拍動性耳鳴) | 磁気共鳴静脈造影法によるMRI検査の後、腰椎穿刺 | |
以下に当てはまる軽度から重度の痛み
ときに、激しい眠気、動きのぎこちなさ、筋力低下、発話困難や話を理解することの困難、視力障害、感覚消失、または錯乱 ときに、けいれん発作または昏睡 | CTまたはMRI検査 | |
激しい頭痛に、しばしば項部硬直と吐き気を伴う 痛みは座っているときまたは立っているときに悪化し、横になると軽減する 通常は腰椎穿刺の後に起こる | 医師の診察 頭痛が(腰椎穿刺の後ではなく)自然に生じた場合、造影剤を静脈に注射して行うMRI検査 | |
慢性的な頭痛(部位や強度は様々)がしばしば毎日ある 朝目覚めたときによくみられる 片頭痛または緊張型頭痛のある人に起こることが多い 痛み止め(NSAIDやオピオイドなどの鎮痛薬)、バルビツール酸系薬剤、カフェインのほか、ときにトリプタン系薬剤その他頭痛の治療に用いられる薬剤の過剰使用 | 医師の診察 | |
重度の持続的な頭痛 発熱 発熱と項部硬直(あごを胸につけようとすると痛みが生じ、ときにあごを胸につけることができない) けん怠感、眠気、吐き気、または嘔吐 | 腰椎穿刺(通常はその前にCTを行う) | |
以下に当てはまる痛み
鼻水がみられ、ときに膿や血が混じる けん怠感、ときに夜間のせきがあり、しばしば発熱を伴う | 医師の診察 ときに副鼻腔のCT検査または鼻の内視鏡検査 | |
以下に当てはまる重度の持続する痛み
頭痛の開始と同時に、短時間の意識消失を伴うことがある ときに、眠気、錯乱、覚醒困難、または昏睡 項部硬直、吐き気、嘔吐 | MRIまたはCT検査 MRIまたはCT検査で異常がみられない場合は腰椎穿刺 | |
様々な種類の頭痛 ときに、眠気、錯乱、もの忘れ、体の片側の筋力低下または麻痺 高齢者や認知症の人、または抗凝固薬‡を使用している人やアルコールを乱用している人に多くみられる | MRIまたはCT検査 | |
硬いものをかむときの痛み ときに、あごもしくは首、またはその周囲の痛み ときに、開口時に「カクン」もしくは「ポン」という音がする、顎が動かない、または大きく開口しにくい | 身体診察(ときに歯科医による診察) ときに、MRI検査、X線検査、またはCT検査 | |
三叉神経痛 | 顔の片側の中部や下部に、稲妻のように短く発作的な痛みが繰り返し起こる | 医師の診察 |
*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。 | ||
†髄液とは、脳と脊髄の周りを流れる液体のことで、脳と脊髄への衝撃を和らげ、支える働きがあります。 | ||
‡抗凝固薬とは、血液の凝固を妨げたり凝固を遅らせたりする薬のことです。 | ||
CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像、NSAID = 非ステロイド系抗炎症薬。 |