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旅行先で起こる問題

執筆者:

Christopher Sanford

, MD, MPH, DTM&H, University of Washington

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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旅行先で起こる健康上の問題を予防、回避することは外国では特に重要です。特定の地域に旅行するとかかりやすい感染症があり、多くの人は外国旅行を検討する場合に感染症のことを最も心配します。しかし、外国旅行者の死亡原因の中で最も一般的なのは自動車事故と心疾患です。心疾患は、旅行者に限らず米国では死亡原因の第1位であり、旅行中の病気を予防するには、出発前に自分の健康状態について注意を払うことが最善の方法です。

けがと死亡

自動車事故によるけがは青年から中年の旅行者に最も多い死亡原因となっています。旅行中に多い別の死亡原因は溺死です。常識的な判断により、こうしたけがの多くを未然に防ぐことができます。例えば、交通ルールの違い(米国などは右側通行、イギリスで左側通行など)がある慣れない土地での運転に不安を感じるのであれば、公共交通機関を利用するか現地の道路や交通規則に慣れた運転手を雇う方法があります。旅行者は混み合ったタクシーやフェリーなどの交通手段は避け、夜間の運転や暗い場所での水泳をしないようにします。自分で運転しない場合でもシートベルトを締め、サイクリングの際はヘルメットを着用する必要があります。バイクや原動機付き自転車、バスの屋根やトラックの荷台に乗ることは避けます。また、運転や水泳をする前の飲酒は、たとえ法律で正式には禁止されていなかったり法律の及ばない場所であっても厳禁です。高波の浜辺、特にライフガードがいない場所は避けるべきです。

多くの大都市は日没後は危険ですし、昼間でも危険な場所もあります。そのような都市では暗い道や人通りの少ない道を1人で歩いてはいけません。特に旅行者が明らかによそ者であると分かる土地では避けるべきです。

知っていますか?

  • 青年から中年の旅行者に最も多い死亡原因はけがです。

旅行者下痢症

旅行者下痢症のリスクは以下の方法で減らすことができます。

  • 飲み水や歯磨き用にはボトルに入った飲料水や、ろ過処理、煮沸、紫外線処理または塩素処理された水を使う

  • 飲みものに入っている氷を避ける

  • 沸点以上まで加熱した調理したての料理を食べる

  • 果物や野菜は皮や殻を自分でむけるものを食べる

  • 屋台で売っているものは食べない

  • 頻繁に手を洗う

  • ハエがたかっていた可能性のあるものは一切食べない

特定の抗菌薬も旅行者下痢症を防ぐのに役立ちます。しかし、それらの使用には副作用のリスクがあり、細菌が抗菌薬に耐性をもつようになる可能性を増加させます。そこで多くの医師は、免疫不全疾患がある人にのみ、抗菌薬による予防を勧めています。

旅行者下痢症は多くの場合、3~5日で自然に治まりますが、脱水にならないようにしっかり水分を摂取することが必要です。カフェインやアルコールを含まない飲みものは大半の人に適しています。幼児や高齢者には粉末タイプや経口タイプの補水液も役立つでしょう。このほか、必須ではありませんが以下に挙げる方法が役に立つことがあります。

中等度から重度の症状(8時間で3回以上の軟便)がある場合は、抗菌薬の服用を考慮する必要があります(特に嘔吐や発熱、腹部のけいれん、血便がある場合)。アジスロマイシンはほとんどの国において適切であり、小児や妊婦に推奨されます。世界の特定の地域では、妊娠していない成人に、シプロフロキサシンおよびレボフロキサシンを代わりに使用する場合があります。旅行前にかかりつけの医師に抗菌薬の処方せんについて連絡を取るべきです。6歳以上で血便や熱、腹痛がない場合、処方せんのいらない下痢止め薬であるロペラミドも投与できます。

高齢者や幼児には旅行中の携帯に便利な粉末タイプの経口補水液も市販されています。これがないときは、1リットルの水に小さじ6杯分の砂糖と小さじ1杯半分の塩を溶かして経口補水液を作ることもできます。しかし、正しく攪拌されていない(例えば、粉末が十分に溶けていない)経口補水液を幼児が大量に飲んだ場合、深刻な病状あるいは死に至るおそれがあるため、経口補水液は注意して作る必要があります。

マラリア

蚊の刺傷を防ぐには以下の方法があります。

  • 長袖のシャツと長ズボンを着用する(特に明け方と夕方など蚊が活動的な時間)

  • 蚊帳の中で睡眠をとる

  • 殺虫剤のペルメトリンをしみこませた衣類を身に付ける

  • ジエチルトルアミド(DEET)の入った虫よけ剤を使用する

虫よけ剤は、デングウイルス感染症、ジカウイルス感染症、黄熱など蚊が媒介する他の病気の予防にも役立ちます。

抗マラリア薬

マラリアは、妊娠をしていない場合に比べて妊娠中は、予防薬を服用していたとしても重篤になりやすく生命を脅かしかねないため、妊婦は、マラリアがまん延している地域への旅行を延期できないかどうか検討すべきです。旅行を延期できない妊婦は、妊娠にどのような影響を与えるかが分かっていない予防薬を服用するリスクと、予防措置を講じずにその地域へ旅行するリスクとを比較検討する必要があります。

住血吸虫症

シラミと疥癬

シラミ シラミ症 シラミ症は、翅(はね)をもたない非常に小さな昆虫であるシラミが皮膚に寄生して起きる病気です。 シラミの感染経路で最も多いのは人と人の濃厚な接触です。 シラミが寄生していると通常強いかゆみが生じます。 毛髪をかきわけて頭皮をみたり、体の他の部分を調べたりするとシラミとその卵が見つかることがあります。 シラミの治療は通常はシャンプー、クリーム、ローションを用い、ときに衣類と寝具類の消毒を行います。 さらに読む シラミ症 疥癬(かいせん) 疥癬 疥癬(かいせん)は、小型のダニによる皮膚の感染症の一種で、非常に小さな赤い隆起が生じ、強いかゆみを伴います。 疥癬は通常、身体的な接触によって人から人に伝染します。 疥癬にかかると、一般的に寄生しているダニはわずか数匹であるにもかかわらず、強いかゆみが生じます。 疥癬の診断は、医師がかゆみのある部位を診察するほか、ときに削り取った皮膚を顕微鏡で観察することによって下されます。... さらに読む 疥癬 は、密集した宿泊施設、開発途上の地域、衛生処置の整っていない場所などでよくみられます。ペルメトリン、マラチオン(malathion)、リンデンローションなどで治療できます。しかしこれらのローションを予防薬として使用すべきではありません。

性感染症

性感染症には、 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 や、 淋菌感染症 淋菌感染症 淋菌感染症(淋疾、淋病)は淋菌 Neisseria gonorrhoeaeという細菌による性感染症で、尿道、子宮頸部、直腸、のどなどの粘膜や、眼の前部を覆う膜(結膜と角膜)を侵します。 通常は性的接触により感染します。 通常は、陰茎や腟から分泌物が生じたり、頻尿になったり、急に尿意を催したりします。 まれに、淋菌が関節、皮膚、心臓に感染することもあります。 分泌物の顕微鏡検査や培養検査、DNA検査のほか、尿のDNA検査により感染を発見す... さらに読む 淋菌感染症 梅毒 梅毒 梅毒は、梅毒トレポネーマ Treponema pallidumという細菌によって引き起こされる性感染症です。 梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階で生じます。 まず患部に痛みのない潰瘍が現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲減退がみられます。 治療しないでいると、第3期には、大動脈、脳、脊髄、その他の臓器が侵されることがあります。 医師は通常、患者に梅毒があることを確認するために2種類の血液検査を行います。 さらに読む 梅毒 トリコモナス症 トリコモナス症 トリコモナス症は、腟トリコモナス Trichomonas vaginalisという原虫によって腟や尿道に起こる性感染症で、腟が過敏になったり分泌物が出たりするほか、ときに排尿に問題がみられます。 女性では、泡状で黄緑色の生臭いおりものが生じ、陰部が過敏になり痛みが生じることがあります。 男性では症状が出にくいのですが、少数ながらも陰茎から泡状の分泌物が出て、排尿時に軽度の痛みや不快感が生じることがあります。... さらに読む B型肝炎 急性ウイルス性肝炎の概要 急性ウイルス性肝炎は、5種類の肝炎ウイルスのいずれかの感染によって肝臓に炎症が起きる病気です。多くの場合、炎症は突然始まり数週間続きます。 症状は、何もみられない場合から重症の場合まであります。 感染すると、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、右上腹部の痛み、黄疸などの症状がみられます。 医師は身体診察と検査用の採血を行います。 ワクチンはA型、B型、E型の肝炎を予防できます。 さらに読む などがあり、発展途上国でより多くみられます。どの病気もセックスを自制するか、ラテックス製コンドームを正しく継続的に使用することで防ぐことができます( コンドームの使用法 コンドームの使用法 コンドームの使用法 )。HIVやB型肝炎は血液や針からも感染するため、旅行先では感染症の検査済みである保証がない限り輸血を受けてはいけません。また注射を受ける場合は、1回毎に使い捨てる注射針を使用することが必要です。

ジカウイルス

ジカウイルス感染症は蚊を媒介して、また性的接触や感染した人からの輸血によって広がります。感染は中南米で広範囲に拡大しており、最近米国の南部にも到達しています。米国疾病予防管理センター(CDC)は、妊婦に対し、ジカウイルス感染症がまん延している地域への旅行の延期を検討するよう勧めています(CDC:ジカウイルス:妊娠中の方へ[Zika Virus: For Pregnant Women]およびCDC:ジカ旅行情報[Zika Travel Information]を参照)。

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