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血管造影

執筆者:

Hakan Ilaslan

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2015年 8月
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血管造影検査は、X線を用いて血管の詳細な画像を描出する検査で、CT血管造影検査MRアンギオグラフィー検査と区別するために「従来の血管造影」と呼ばれることもあります。血管造影の撮影を行いながら、医師が血管の異常を治療することも可能です。

血管造影では静止画像だけでなく動画(シネアンギオグラフィーといいます)も撮影でき、血液が血管内を流れる速さを測ることも可能です。

血管造影は体に負担をかける検査法ですが、それでも比較的安全です。

血管造影の手順

血管造影を受ける前には、通常は12時間飲食を控えるよう指示されます。

まず、X線透視台(X線を容易に通過させる台)に横になり、台が傾く場合に備えて胸部と脚をバンドで固定します。そして必要な場所にX線カメラを設置します。胸部には電極を取り付けて心臓をモニタリングし、同時に血圧と血中酸素レベルもモニタリングします。

医師は局所麻酔薬を注射してから、一般に鼠径部(ときに腕)を小さく切開します。そこから細く、しなやかな管(カテーテル)を通常は動脈に挿入し、その動脈を介して調べたい領域までカテーテルを進めます。目的とする領域にカテーテルの先端が届いたら放射線不透過性造影剤(ヨウ素を含有する、X線画像に写る液体)を注入します。すると造影剤が血管の中を流れて血管の輪郭が描き出されます。その映像は画面に映し出され、記録されます。このようにして医師は血管の構造を評価し、異常があれば特定することができます。

血管造影の前には、リラックスして穏やかな気持ちで検査を受けられるように、しばしば鎮静薬を静脈から投与することがありますが、その場合も検査中意識は保たれます。深く息を吸ったり、息を止めたり、せきをしたりするよう指示されることもあります。検査中に不快感があれば報告してもらいます。

血管造影は、評価する部位や行われる検査や手順の種類によって、1時間以内に終わることもあれば、数時間かかることもあります。通常は外来検査として実施されます。

カテーテルを動脈に挿入した場合は、器具をすべて外した後で挿入部位を10~20分間しっかり圧迫しなければなりません。圧迫することで出血や青あざが生じにくくなります。出血を予防するために、検査を終了してから数時間にわたって横になる必要があるかもしれません。ときに一泊の入院が必要になる場合もあります。検査を受けた日は安静にして、水分を普段より多くとって、体から造影剤が早く出て行くようにします。

血管造影の用途

血管造影は、血管に異常がないか確認するために行われます。そのような異常としては以下のものがあります。

  • 閉塞

  • 狭窄

  • 動脈と静脈の異常な接続(動静脈奇形)

  • 炎症(血管炎)

  • 弱くなった動脈の壁にできたこぶ(動脈瘤)

  • 動脈の壁の裂け(解離)

以下のように、血管造影の最中に、見つかった異常を治療する処置が行われることもあります。

  • 動脈が狭くなっていれば拡張します。

  • 閉塞があれば解除します。

  • ステント(網目状のワイヤーでできた筒)を留置し、動脈を開いた状態に保ちます。

  • 血管の壁が裂けたり弱くなったりしている部分は修復できます。

  • 腫瘍または動静脈奇形へと流れる血流は遮断します。

血管造影の種類

動脈造影

これは動脈の血管造影のことで、最も多いタイプのものです。

静脈造影

これは静脈の血管造影のことです。

デジタルサブトラクション血管造影

放射線不透過性造影剤を注入する前と後にX線画像を撮影します。その後、コンピュータで2つの画像を比較して特別な処理を行います。これにより、動脈以外の構造物(骨など)が画像から取り除かれ、結果として動脈がより鮮明に見えるようになります。

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一般的な血管造影の種類

種類

検査部位

検査目的

冠動脈造影

心臓の血管

心臓そのもの(心臓カテーテル法を併用)

冠動脈疾患などの心疾患を診断する

冠動脈形成術または冠動脈バイパス手術が実施可能かどうかを判定する

心疾患の重症度を判定する

胸痛、息切れ、またはその他の症状の原因を特定する

心臓弁置換手術の前に患者の心臓の構造を把握する

大動脈造影

大動脈

以下のものを確認する

  • 弱くなった壁にできたこぶ(動脈瘤)

  • 血管内膜の裂け(解離)

  • 大動脈と左心室の間にある弁での血液の逆流(大動脈弁逆流症)

脳血管造影

脳の血管

以下のものを確認する

  • 血管の狭窄または閉塞(脳卒中の原因となりうる)

  • 動脈瘤

  • 動脈と静脈の異常な接続(動静脈奇形)

  • 血管の炎症(血管炎)

フルオレセイン蛍光眼底造影

眼の血管

糖尿病よる網膜の損傷(糖尿病網膜症)または黄斑変性症による網膜の損傷を評価する

レーザー治療に先立ち網膜を評価する

末梢動脈造影

腕、脚、体幹の動脈(大動脈と心臓の動脈を除く)

以下のものを確認する

  • 狭窄または閉塞

  • 動脈瘤

  • 動脈と静脈の間の異常な通路(動静脈瘻)

  • 動脈と静脈の異常な接続(動静脈奇形)

肺血管造影*

肺の血管

肺塞栓症(心臓と肺をつなぐ動脈[肺動脈]の血栓による閉塞)を診断し、肺の動静脈の異常を特定する

*従来の肺血管造影に代わって、より体に負担のかからないCT肺血管造影が主流になっています。

CT = コンピュータ断層撮影。

血管造影の短所

一部の人は、検査中に不快感を覚えます。

少数ですが、造影剤に対するアレルギー反応を起こす人もいます。

注射部位から出血したり、感染したり、痛んだりすることもあります。

まれに、カテーテルによって血管が傷つけられることもあります。

ショック、けいれん発作、腎障害、突然心臓の拍動が停止する(心停止)などの重篤な合併症が起こることは非常にまれです。ときに、心臓カテーテル検査中に、心臓の拍動が跳んだり、一時的に遅くなったりすることがあります。

高齢者では合併症のリスクが高まりますが、それでもなお低いです。

使用される放射線量は血管造影の種類によって異なりますが、一般的には、胸部単純X線検査2方向分で使用される線量の約50~150倍です。

血管造影はすぐに行えるとは限りません。また、手技に高度に熟練した医師が行う必要があります。

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