米国では、マリファナ(大麻)の使用は広範にわたっており、定期的に使用されることが多いですが、社会的または心理的な問題の徴候は通常みられません。
マリファナは、米国では主に紙巻きタバコ状のもの(ジョイント)が使用され、これには乾燥した大麻(カンナビス・サティバ Cannabis sativaまたはカンナビス・インディカ Cannabis indica)の茎、葉、花の部分が使われています。このほか、大麻の樹脂を固めたタール状の物質(ハシシ)としても使用されます。マリファナの合法化により、経口摂取および電子タバコで蒸気吸入できる製品の市場ができています。チンキ、ローションやスプレーとして皮膚に使用できる形態のものも多岐にわたります。
マリファナの活性成分は、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)です。デルタ-9-THCの合成型であるドロナビノール(dronabinol)は、がんの化学療法薬で生じる吐き気や嘔吐の軽減、およびエイズ患者の食欲増進に用いられます。
マリファナは、たまに使用するという人がほとんどで、その場合は顕著な社会的または精神的問題や依存は通常みられません。しかし、なかにはマリファナに依存するようになる人もいます。
症状
即時作用
マリファナは脳の活動を低下させ、観念にまとまりがなく自由に流れるような夢幻状態をもたらします。時間、色、空間の感覚がゆがんで強調されるといった軽度の幻覚症状が現れます。色はより鮮やかに見え、音は大きく聞こえます。多幸感とリラックス感は、「ハイ」と呼ばれます。
マリファナは通常、緊張を軽減して幸福感をもたらします。高揚感、興奮、内面的な快楽(いわゆる「ハイな気分」)などの感覚は、1人で吸う、グループで一緒に吸うなど、マリファナを吸っている状況とその雰囲気に関係しているようです。
マリファナの使用後24時間は運動協調、反応速度、奥行き感覚、集中力が低下するため、この間に運転や重機を操作するのは危険です。このほか心拍数の増加、眼の充血、食欲の増進、口腔乾燥などの影響もみられます。一般に、作用は吸入後4~6時間続きます。
マリファナの精神作用の多くは、使用時の状況に関係しているようです。一部の人、特にそれまでマリファナを使用したことのない人は、不安を感じたり、パニック状態や妄想状態になります。マリファナは、統合失調症の人では精神病(現実との接触の喪失)を悪化させたり、誘発したりすることがあります。
長期的な影響
大量のマリファナを長期間使用している人は、以下のような呼吸障害を発症することがあります。
しかし、常用者でも、閉塞性気道疾患を生じることはありません。タバコでみられるような、頭頸部や気道のがんのリスクが増大する証拠はありません。
最近の研究では、青年期にマリファナを使用し始めた場合、認知障害や脳の変化につながる可能性が示唆されています。
カンナビノイド悪阻とは、最近報告された、マリファナの長期使用者でみられる症候群であり、吐き気と嘔吐が交互に繰り返し起こります。この症候群は通常48時間以内に消失します。熱い風呂に入ることによって症状をいくらか緩和でき、それがこの病態を診断する最も大きな手がかりとなります。
妊婦がマリファナ使用者の場合は、非使用者に比べて、生まれてくる新生児が小さいことがありますが、その影響は小さいようです。デルタ-9-THCは母乳に入りますが、子どもに有害な作用は認められていません。しかし、妊娠中あるいは妊娠を考えている女性、授乳中の女性はマリファナを使用すべきではありません。
