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ダイビング中の吸入気による毒性

執筆者:

Alfred A. Bove

, MD, PhD, Lewis Katz School of Medicine, Temple University

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素などの気体の毒性作用がダイビング中の障害となることがあります。

潜水による障害の概要も参照のこと。)

空気は窒素と酸素を主成分とする混合気体で、微量ですが他の気体も含まれています。それぞれの気体の分圧は、その気体の空気中の濃度と大気圧によって決まります。酸素と窒素は、分圧が高くなると悪影響を及ぼします。

酸素毒性

酸素毒性は、酸素分圧が1.4気圧、水深にして57メートルよりやや深い地点で呼吸すると、ほとんどの人に起こります。酸素毒性は高気圧酸素治療室でまれに起こりますが、ディープダイビング中に不適切な酸素濃度の気体を吸入するとリスクが高くなります。

チクチクするような痛み、焦点発作(顔や唇のひきつり、体の片側の手足のふるえ)、回転性めまい、吐き気や嘔吐、視野狭窄などの症状が現れます。約10%の人がけいれん発作や失神を起こし、その場合通常は溺水につながります。

ディープダイビング中の酸素中毒を予防するには、特別な混合気体と特別な訓練が必要です。

窒素酔い

窒素酔い(深海の歓喜)は高分圧の窒素が原因で発生します。

症状はアルコール中毒の症状に似ています。判断力が極度に低下し、見当識が失われ、また多幸感が生じます。時間通りに浮上できなくなったり、さらには水面に向かっていると思い込みながらより深い方へ潜ってしまうことすらあります。圧縮空気を使って呼吸しているダイバーの場合、これらの影響は水深約30メートルで顕著になり始め、水深約90メートルで通常は行動能力を失います。

窒素の影響を最小限に抑えるために、深く潜るダイバーは通常の空気ではなく特別に混合された気体を使っています。この混合気体には、窒素の代わりにヘリウムか水素で希釈した低濃度の酸素を使用します。ヘリウムと水素は窒素のような「酔い」現象を起こさないためです。しかし、窒素をヘリウムに代えると高圧神経症候群のリスクが増大します。

浮上するにつれ回復する傾向にあり、直ちに浮上を開始する必要がありますが、減圧症を避けるためゆっくりと浮上するようにします。

二酸化炭素の毒性

スキューバダイビングでも、労作中などに十分に呼吸を増やせないと二酸化炭素の毒性が現れることがあります。また、水深の深い所では圧縮空気は濃くなり、呼吸装置を介した呼吸に努力が必要になるため、二酸化炭素の蓄積が起こることもあります。空気を節約しようとして故意に呼吸数を減らしても(スキップ呼吸)、血液中に二酸化炭素が蓄積する可能性があります。閉鎖式または半閉鎖式のリブリーザーの故障も、二酸化炭素の毒性が現れる原因となりえます。

血流中の二酸化炭素の蓄積は、呼吸を促す体からのシグナルです。呼吸装置を使用せず息を止めて潜水する(素もぐり)ダイバーは、潜水前にたくさん呼吸をして(意図的な過換気)大量の二酸化炭素を吐き出しますが、血液の酸素はほとんど増加しません。

この方法により二酸化炭素レベルを低く抑えて、息を止めて水中で長く泳ぐことができます。しかしこの方法(dangerous underwater breath-holding[水中での危険な息こらえ]と呼ばれます)はダイバーにとって危険でもあり、水面に戻って呼吸する必要があることを示すシグナルが送られる二酸化炭素レベルに達する前に、ダイバーが酸素を消費し尽くして意識を失う(breath-hold blackout[息こらえによる失神]または hypoxic blackout[低酸素による失神]と呼ばれます)危険を伴います。もりで魚を突く競技の参加者など、息を止めての潜水中や水中で泳いでいるときに予期せず溺水することがありますが、それはこの一連の事象が原因と考えられます。

知っていますか?

  • 水中で泳ぐ前に急速に呼吸をして(過換気)、呼吸を止めておける時間を長くしようとすると、溺水のリスクが高くなります。

二酸化炭素の毒性による症状には以下のものがあります。

  • 頭痛

  • 呼吸困難

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 紅潮

二酸化炭素レベルが高いとブラックアウト(失神)を起こし、酸素毒性によるけいれんを起こす可能性が増し、窒素酔いの症状を悪化させることになります。ダイビング後に頭痛が起きることの多いダイバーや、空気の減りが遅いことを自慢するようなダイバーは、二酸化炭素の蓄積が起きている可能性があります。

二酸化炭素は通常、浮上に伴い徐々に減少します。ダイビング中に症状が出現したら、ゆっくりと水面に戻るようにします。ダイビングの後に決まって頭痛が生じる場合には、潜水技術を見直す必要があるでしょう。

一酸化炭素中毒

一酸化炭素は燃焼の産物です。エアーコンプレッサーの吸気バルブがエンジンの排気に接近し過ぎていたり、調子の悪いコンプレッサーの中の潤滑油が過熱して部分的に燃焼すると、一酸化炭素が産生され、空気タンクに入り込む可能性があります。

症状としては、吐き気、頭痛、脱力感、ぎこちない動き、錯乱などがあります。一酸化炭素中毒の重症例では、けいれん発作、意識喪失、昏睡などがみられます。診断には血液検査を行います。時間が経過するほど結果が不正確になるため、検査はできるだけ速やかに行うべきです。空気タンクの供給源の一酸化炭素を検査することもできます。

患者には酸素投与を行います。血中の酸素レベルが高くなると、血液から一酸化炭素を取り除く助けとなりますが、必ずしも臓器の損傷が回復するわけではありません。重度の一酸化炭素中毒の場合には、特定の病院に備えられている高圧チャンバーで高気圧酸素治療を行います。

高圧神経症候群

180メートル以上深く潜水したとき、特に潜水速度が速く、ダイバーがヘリウムと酸素の混合気体で呼吸をしている場合に、あまり解明されていない神経症状が現れることがあります。症状として、吐き気、嘔吐、振戦、ぎこちない動き、めまい、疲労感、眠気、筋肉のけいれん、胃けいれん、錯乱などがみられます。浮上するか、潜降速度を遅くすることで、自然に治まります。

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