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鉛中毒

(プラムビズム)

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Albert Einstein Medical Center

最終査読/改訂年月 2019年 2月
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  • 鉛中毒の原因は、鉛入りの塗料を飲み込むことや、不適切な鉛の釉薬(ゆうやく)をかけた輸入陶磁器で飲食することなどです。

  • 鉛の血中濃度が非常に高いと、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行の協調障害、胃腸障害、貧血が起こることがあります。

  • 鉛中毒は、症状と血液検査の結果に基づいて診断されます。

  • 家庭用の水、陶磁器、塗料に鉛が含まれていないかを検査することは、鉛中毒の原因を特定するのに有用です。

  • 治療では、さらに追加で鉛にさらされないようにし、体内に蓄積された鉛を除去します。

鉛中毒は、鉛を含有する塗料の使用が禁止され(米国では1978年)、ガソリンから鉛が排除されて以来(米国では1986年、2011年までには6カ国の発展途上国を除くすべての国)、非常に少なくなりました。しかし、米国東海岸の都市や他の孤立した都市(特にミシガン州フリント)では、依然として鉛中毒は公衆衛生上の大きな問題となっています。

鉛入りの塗料

鉛中毒の通常の原因は、鉛を直接飲み込む(食べる)ことです。典型的には次の人に起こります。

  • 鉛入りの塗料がはげていたり、鉛管を使っていたりする古い家屋に住む小児

家の改築で再塗装を行う際、こすり取りややすりがけを行って表面を処理することで大量の粒子状の鉛が生じ、この鉛にさらされる場合があります。幼児は、特に家の改装時に、はげた塗料のかけらを口にして鉛中毒を発症することがあります。配管やタンクに使われる鉛のパイプから鉛が水道水へと浸出することがあり、それを飲んでしまうことがあります。

ほかにも鉛中毒の原因には以下のように様々なものがあります:

  • 一部の陶磁器の釉薬は鉛を含んでいます。そうした釉薬(米国外ではよくみられます)を使用して作られた水差し、カップ、皿などの陶磁器からは、特に酸性物質(果物、コーラ飲料、トマト、ワイン、リンゴ酒など)に接触した場合、鉛が浸出してくる可能性があります。

  • 鉛に汚染された密造ウイスキーや民間療法薬が原因になる可能性があります。

  • ときに、鉛を含む異物(弾丸、カーテンや釣りのおもりなど)が胃や他の組織に入ることがあります。特定の軟部組織に弾丸がとどまることで鉛の血中濃度が上昇する場合がありますが、これには数年を要します。

  • 職業曝露は、電池の製造やリサイクル、銅像制作、真鍮製造、ガラス製造、パイプ切断、ハンダ付けや溶接、金属精錬、陶器や絵の具の制作の際などに、起こることがあります。

  • 特定の民族で使用される化粧品や、輸入品のハーブ製品や薬用ハーブは鉛を含み、移民のコミュニティで鉛中毒の集団発生を引き起こしたことがあります。

  • 鉛入りガソリン(まだ入手できる国の場合)の蒸気を、脳を酔わせる作用のために娯楽として吸い込むと、鉛中毒が生じることがあります。

鉛は、脳、神経、腎臓、肝臓、血液、消化管、生殖器など、体の様々な部分に影響を与えます。発達中の神経系は鉛による損傷を最も受けやすいため、特に小児は鉛の影響を受けやすくなっています。

鉛の血中濃度が非常に高い状態が数日間続くと、通常は脳損傷の症状(脳症)が突然起こります。低い濃度でも、長期間続いた場合には、長期的な知的障害が起こることがあります。

知っていますか?

  • 古い家屋が多い地域に住む小児は、症状の有無にかかわらず、鉛中毒の検査を受けるべきです。

症状

軽度の鉛中毒では、多くの場合、症状はありません。症状が生じる場合、通常は数週間かそれ以上の時間をかけて現れます。症状が周期的に再燃することもあります。

鉛中毒の典型的な症状としては、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行協調障害、食欲減退、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、骨や関節の痛み、高血圧、貧血 貧血 さらに読む などがあります。腎臓の損傷が、しばしば無症状のうちに発生します。

症状の中には、鉛にさらされなくなると軽減し、再び鉛にさらされたときだけ悪化するものもあります。

診断

  • 血液中の鉛濃度

鉛中毒は、症状と血液検査の結果に基づいて診断されます。鉛を扱う職業に従事する人は、血液検査を頻繁に受ける必要があります。古い家屋が多く、鉛を含有する塗料のはげ落ちが多い地域に住む小児も、血液検査を受けて鉛の量を調べる必要があります。小児の場合、骨と腹部のX線検査を受けると、しばしば鉛中毒の証拠が明らかになります。

予防

市販の試験用キットを用いて、家庭用の塗料(米国では1978年以降に建築された家屋を除く)、米国外で製造された陶磁器、飲料水の中に鉛が含まれているかどうかの確認を行うべきです。家庭での中毒のリスクを減らす対策としては、以下のような洗浄を定期的に行います。

  • 手洗い

  • 子どものおもちゃやおしゃぶりの洗浄

  • 家の掃除

  • 窓の下枠のほこりを1週間に1度はぬれたぞうきんでふく

鉛を含む塗料がはげた場合は修復しておきます。大規模な改装などで鉛を含有している塗料をはがす場合には、大量の鉛が家屋内に放出される可能性があるため、専門家に依頼するべきです。飲料水中に含まれる鉛は市販の浄水器で大半が除去できます。

職場で鉛を含む粉塵にさらされる成人は、以下のことを行うようにします。

  • 適切な個人防護具を装着する

  • 帰宅前に衣服や靴を替える

  • 就寝前にシャワーを浴びる

治療

  • 鉛にさらされないようにする

  • ときに全腸管洗浄

  • ときにキレート療法とミネラルのサプリメント

治療では、さらに追加で鉛にさらされないようにし、体内に蓄積された鉛を除去します。腹部X線検査で鉛の小片が確認された場合は、特殊なポリエチレングリコール溶液を口から、または胃に挿入した管を通じて投与し、胃や腸の内容物を洗い流します(全腸管洗浄)。

サクシマー(succimer)はキレート療法に用いられる薬の1つです。軽い鉛中毒の場合はサクシマー(succimer)を経口投与します。より重篤な鉛中毒の場合は、入院してジメルカプロール、サクシマー(succimer)、エデト酸カルシウムナトリウムなどのキレート剤を注射します。キレート剤は亜鉛や銅、鉄など体にとって有益なミネラルも取り除いてしまうため、そうしたミネラルのサプリメントがしばしば投与されます。

治療を行った後でも、脳症を発症した小児の多くに、ある程度の脳の損傷が永久に残ります。腎臓にも永続的な損傷が残ることがあります。

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