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中毒の概要

執筆者:

Gerald F. O’Malley

, DO, Grand Strand Regional Medical Center;


Rika O’Malley

, MD, Grand Strand Medical Center

最終査読/改訂年月 2019年 2月
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本ページのリソース

中毒とは、有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚や眼、または口や鼻などの粘膜に接触したときに生じる有害作用です。

  • 中毒を起こす可能性のある物質としては、処方薬や市販薬、違法薬物、ガス、化学物質、ビタミン類、食べもの、キノコ類、植物、動物の毒などがあります。

  • ダメージを与えない毒物もありますが、重度の損傷を引き起こし、死をもたらす毒物もあります。

  • 症状、本人や目撃者から得た情報と、ときには血液検査や尿検査の結果に基づいて診断されます。

  • 薬は必ず、子どもが開けることのできない元の容器のまま、子どもの手の届かない場所に保管します。

  • 治療では、支持療法と毒物のさらなる吸収の防止を行い、ときには毒物の排出を促進します。

米国では年間200万人を超える人が何らかの中毒を起こしています。薬(処方薬、市販薬、違法薬物)が、重篤な中毒や中毒関連死の原因として一般的です( アセトアミノフェン中毒 アセトアミノフェン中毒 アセトアミノフェンを含有する製品を何種類も服用することによって、中毒を起こす場合があります。 血液中のアセトアミノフェンの量により、まったく症状がない場合から、嘔吐や腹痛、肝不全、さらには死に至る場合まであります。 血液中のアセトアミノフェン量と肝機能検査の結果に基づいて診断されます。... さらに読む アスピリン中毒 アスピリン中毒 アスピリンは、大量摂取すると急速に中毒を起こし、少量を繰り返し摂取した場合は徐々に中毒を起こします。 症状としては、耳鳴り、吐き気、嘔吐、眠気、錯乱、速い呼吸などがあります。 診断は血液検査の結果と症状に基づいて下されます。 治療では、活性炭を口か胃に入れたチューブから投与し、水分と重炭酸塩の静脈内投与を行い、重度の中毒に対しては血液透析... さらに読む )。ほかに一般的な毒物としては、ガス(例えば、 一酸化炭素 一酸化炭素中毒 一酸化炭素中毒はよく起こります。 症状としては、頭痛、吐き気、眠気、錯乱などがあります。 血液検査の結果に基づいて診断されます。 一酸化炭素検出器の設置や、暖炉など室内で燃焼しているものがあれば十分に換気すること、閉め切った空間(閉め切った車庫など)で車を動かさないことが、一酸化炭素中毒の予防に役立ちます。... さらに読む )、家庭用品( 腐食性物質による中毒 腐食性物質による中毒 腐食性物質を飲み込むと、その物質が接触した唇から胃までの組織すべてに熱傷(やけど)を負います。 症状は、痛み(特に飲み込むとき)、せき、息切れ、嘔吐などです。 医師は内視鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を食道に挿入して熱傷がないかを調べ、損傷の程度を判断します。 治療は損傷の程度により決定され、手術をすることもあります。... さらに読む )、農業用品、 植物 植物による中毒 栽培されている植物にも有毒なものがいくつかあります。一般に、大量に摂取した場合(例えば、葉などがペースト状に濃縮された場合や茶として煎じられた場合)か、植物の毒性が非常に強い場合でなければ中毒を起こす可能性は高くありません。毒性が強く、死に至らしめる可能性のある植物には、トウゴマの実、トウアズキの実、ドクニンジン、ドクゼリのほか、ジギタリ... さらに読む 、重金属(例えば、 鉄中毒 症状は段階的に発生し、嘔吐、下痢、腹痛から始まります。 数日後に肝不全が発生することがあります。 鉄中毒は、患者の病歴、症状、鉄の血中濃度に基づいて診断されます。 鉄中毒の患者は入院する必要があります。 (中毒の概要も参照のこと。) さらに読む 鉛中毒 鉛中毒の原因は、鉛入りの塗料を飲み込むことや、不適切な鉛の釉薬(ゆうやく)をかけた輸入陶磁器で飲食することなどです。 鉛の血中濃度が非常に高いと、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行の協調障害、胃腸障害、貧血が起こることがあります。 鉛中毒は、症状と血液検査の結果に基づいて診断されます。... さらに読む )、ビタミン類、動物の毒、食べもの(特に特定の キノコ類 毒キノコ中毒 毒をもつキノコは多数あります。毒性の強さは、同じ種類の毒キノコであっても、生育段階や調理法によって異なることがあります。詳しい人であっても、野生のキノコについて毒性があるかどうかを見分けることは困難です。民間伝承の知識はあてになりません。(中毒の概要も参照のこと。) 毒キノコはいずれも嘔吐と腹痛を引き起こします。他の症状はキノコの種類によ... さらに読む 魚類 魚介類による中毒 魚類や貝類を食べることによって胃腸炎が起こることがあります。魚類を食べることで起こる中毒にはよくみられる以下の3つのタイプがあります。 シガテラ中毒 テトロドトキシン中毒 スコンブロイド中毒(サバ中毒) シガテラ中毒の原因となる魚は400種類以上存在し、フロリダ州、西インド諸島、太平洋沿岸の熱帯礁に生息しています。毒素は、海の微生物である... さらに読む )などがあります。しかし、どんな物質でも大量に摂取すれば中毒になる可能性があります。

中毒事故

中毒は、家庭内で発生する非致死的な事故の最も一般的な原因です。幼児は、その好奇心と探検したがる傾向から、特に家庭内で中毒事故を起こしやすく、また高齢者は薬の飲み間違えから中毒事故をよく起こします。小児は発見した錠剤や物質を他の小児と共有することが多いため、兄弟姉妹や遊び友達も中毒を起こす可能性があります。入院患者(薬剤エラーによる)、工業労働者(有害な化学物質にさらされることによる)も中毒事故を起こしやすい人です。

故意の中毒

自殺や殺人で故意に中毒を起こすこともあります。中毒自殺を試みる成人の大半は、複数の薬を飲んだうえにアルコールを飲んでいます。人を無力化するために中毒が用いられることもあります(例えば、レイプや強盗などのため)。まれに、精神障害がある親が子どもを病気にして医学的な処置を受けようとすることがあります(他者に負わせる作為症と呼ばれる疾患)。

症状

中毒による症状は、毒物の種類、摂取量、年齢、摂取した人の健康状態によって変わります。毒物の中には、作用が弱く、長期間さらされていた場合や、大量に繰り返し摂取した場合にのみ問題が現れるものもあります。逆に、皮膚に1滴落ちただけで重度の症状を引き起こす、強い作用のある毒物もあります。

毒物の中には、数秒以内に症状が現れるものもあれば、数時間後や数日後、さらには数年後にならないと症状が現れないものもあります。毒物によっては、肝臓や腎臓のような重要臓器に損傷が及ぶまで明らかな症状がほとんどみられないことがあり、ときには臓器が永続的な損傷を受けるまで症状が現れないこともあります。

飲み込まれ吸収された毒性物質は一般的に全身にわたる症状を引き起こします。その理由の多くは、毒性物質が体の細胞から酸素を奪ったり、酵素や受容体を活性化したり遮断したりするためです。症状としては、意識レベル、体温、心拍数、および呼吸の変化などのほか、影響を受けた臓器に応じて様々なものがあります。

腐食性または刺激性の物質は口、のど、消化管、肺の粘膜を傷つけ、痛み、せき、嘔吐、息切れを引き起こします。

皮膚の毒性物質との接触は、発疹、痛み、水疱など様々な症状の原因になります。長時間触れていると皮膚炎が生じることがあります。

眼の毒性物質との接触は眼を傷つけることがあり、眼の痛み、発赤、視力障害を引き起こします。

毒性のない家庭用品*

  • 接着剤

  • 制酸薬

  • バスオイル

  • 風呂用おもちゃ(浮かべるもの)

  • 漂白剤(6%未満の次亜塩素酸ナトリウム)

  • ボディーローション

  • ボディーソープ

  • ろうそく

  • カーボワックス(ポリエチレングリコール)

  • カルボキシメチルセルロース(フィルムや本などの製品と一緒に包装される除湿剤)

  • ヒマシ油

  • セチルアルコール(セタノールとも呼ばれ、シャンプーやコンディショナーなど、ある種の化粧品に使用される物質)

  • チョーク(炭酸カルシウム)

  • オーデコロン

  • 経口避妊薬

  • コルチコステロイド(皮膚に塗るもの)

  • 化粧品

  • クレヨン

  • 制汗剤

  • 脱臭剤(スプレー式、冷蔵庫用)

  • おむつ皮膚炎用のクリームや軟膏

  • ジクロラール(除草剤)

  • 乾電池(アルカリ)

  • 衣類用柔軟剤

  • 発光製品(ケミカルライト、発光ネックレスなど)

  • グリセロール

  • モノステアリン酸グリセリン

  • 黒鉛

  • ガム(アラビアガム、寒天、ガティガムなど)

  • ハンドローション、ハンドクリーム

  • 過酸化水素(3%薬用)

  • 油性ペン、フェルトペン

  • インク(ボールペン1本に入っている程度の量)

  • ヨウ化物塩

  • カオリン

  • ラノリン

  • 鉛筆(黒鉛製のもの)

  • リノール酸

  • 亜麻仁油(ボイル油でないもの)

  • マジックマーカー

  • マッチ

  • メチルセルロース

  • 鉱物油

  • 模型用粘土

  • 新聞紙

  • 水彩絵の具または水性塗料

  • 香水

  • ワセリン

  • 肥料(家庭用)

  • ポリエチレングリコール(ステアリン酸ポリエチレングリコールなど)

  • ポリソルベート

  • パテ

  • 匂い袋(エッセンシャルオイル、パウダー)

  • ひげ剃り用のクリームやローション

  • シリカ(二酸化ケイ素)

  • 石けん、石けん製品(ハンドソープなど)

  • 鯨ろう

  • 糊、サイズ剤

  • ステアリン酸

  • 日焼け止め

  • タルク(吸入した場合を除く)

  • 二酸化チタン

  • 歯磨き粉(フッ素入り、フッ素なし)

  • トリアセチン(グリセリン三酢酸)

  • ビタミン類(鉄含有または鉄非含有の小児用総合ビタミン剤)

  • ビタミン類(鉄非含有の総合ビタミン剤)

  • ワックス、パラフィン

  • 酸化亜鉛

  • 酸化ジルコニウム

*どんな物質でも大量に摂取すると中毒になることがあります。

油や洗剤のようにある程度粘性のある物質は、飲み込んでも毒性はありませんが、肺に吸い込んだり誤って肺に飲み込まれたりすると、肺に大きな損傷を与えることがあります。

救命・応急手当

中毒患者を助ける際に最も優先すべきことは、救助者自身が中毒を起こさないことです。

化学物質がこぼれたときは、靴下や靴も含めて汚染された衣類をすべて速やかに脱ぎ、アクセサリーも外します。皮膚を石けんと水で徹底的に洗います。眼に入った場合は水または生理食塩水で徹底的に洗浄します。救助にあたる人は自分自身が汚染されないように注意しなければなりません。

体調が非常に悪そうな場合は、救急車を呼びます(米国の大半の地域では911番、日本では119番)。 必要な場合は、近くにいる人が 心肺蘇生 救命・応急手当 心停止とは人が死ぬときに生じる状態です。心停止になると、心臓から、内臓、脳、組織に血液と酸素が送り出されなくなります。心停止が起こって数分以内であれば、ときに蘇生する可能性があります。しかし、時間が経過するほど蘇生する可能性は低くなり、助かったとしても脳に障害が残る可能性が高くなります。... さらに読む 救命・応急手当 を行うべきです。そこまで具合が悪くなさそうな場合には、地域の中毒管理センターに連絡して助言を求めます。米国では、800-222-1222で地域の中毒情報センターにつながります(訳注:日本では、大阪中毒110番072-727-2499、または、つくば中毒110番029-852-9999)。詳しい情報は、米国中毒情報センター協会のウェブサイト(www.aapcc.org、訳注:(公財)日本中毒情報センターのウェブサイトはhttp://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf)に記載されています。中毒情報センターに電話をかけた人が、毒物の種類や摂取量が分かっているか、またはそれを調べることができる場合には、中毒情報センターに勧められた場合に限り、しばしば自宅で治療を開始できます。

毒物の容器や摂取した可能性のあるすべての薬(市販薬を含む)を保管しておき、医師か救急隊員に渡すようにします。中毒情報センターは、病院に到着する前に活性炭( 毒物の吸収の防止 毒物の吸収の防止 )を飲ませるよう指示することや、特に病院が遠い場合には、まれにトコン(吐根)シロップを与えて、嘔吐を誘発するよう指示することもあります。しかしながら、特別な指示がない限り、活性炭やトコンシロップを家庭で与えたり、最初に対応する人(救急隊員など)がそれらを与えたりしてはいけません。トコンシロップには予測できない作用があり、しばしば嘔吐が長引くうえ、胃から十分な量の毒物が排出されないことがあります。

診断

  • 毒物の特定

  • ときに尿および血液の検査

  • まれに腹部X線検査

毒物の特定が、治療の役に立ちます。容器のラベルや、本人、家族、同僚からの情報は、医師や中毒センターが毒物が何かを突き止めるために最も役に立ちます。ラベルが手に入らない場合は、錠剤やカプセルの色や印で、しばしば薬を特定できます。臨床検査で毒物が特定されることはほとんどなく、多くの薬や毒物は、病院で容易に特定したり測定したりできません。しかし、ときに尿検査や血液検査が特定に役立つことがあります。 また、血液検査により中毒の重症度を明らかにできる場合もありますが、それが可能なのはごく少数の毒物です。

医師は診察を行い、特定の種類の物質を疑わせる徴候がないか探します。例えば、薬物を注射したことを示す注射痕を探します( 注射薬物の使用 注射薬物の使用 薬物の使用法には、飲み込む、煙を吸い込む、粉末にして鼻から吸引する(鼻でかぐ)、または注射するなどの方法があります。薬物を注射した場合には、作用がより早く現れたり、より強く現れたり、その両方が起こることがあります。 薬物は静脈内、筋肉内、または皮膚の下に注射します。静脈内注射では一般的に腕の静脈を使用しますが、その部分が瘢痕化したり損傷し... さらに読む を参照)。さらに、特定の種類の中毒に特徴的な症状についても調べます。皮膚に薬物や物質の痕跡がないか、皮膚から薬物が吸収された跡が皮膚のしわ、口蓋、舌の裏に隠されていないかを確認します。

中毒の種類によっては、腹部X線検査により飲み込んだ物質の存在とその位置が分かる場合があります。X線画像に写る毒物には、鉄、鉛、ヒ素などの金属や、密輸者(いわゆる運び屋、ボディパッカー)が飲み込んだコカインなどの違法薬物の包みなどがあります( ボディパッキングとボディスタッフィング ボディパッキングとボディスタッフィング 国境やその他の検問所で薬物をこっそり持ち込むために、薬物を詰めた包みを自分で飲み込んだり、体腔に隠したりします。 包みが破れると、薬物の過剰摂取になり、場合によっては重い症状を引き起こします。 薬物の過剰摂取のリスクおよび結果は、薬物の量および種類、ならびにそれを包装した方法によって異なります。... さらに読む を参照)。電池や磁石もX線画像に写るほか、動物から攻撃や毒液注入を受けた後にその一部(牙や歯、背骨の軟骨など)が体内に残っている様子も写ります。

薬物検査

現在では、尿中の薬物を特定するためのキットが市販されています。そのようなキットの精度は、製品によって大きく異なります。そのため、そのキットの結果が、特定の薬物を飲んだという証拠や、飲んでいないという証拠になると考えてはいけません。最もよいのは、専門家と相談しながら検査を行うことです。専門家がいない状況で検査を行った場合、結果について薬物検査の経験がある専門家と話し合う必要があります。 専門家は、検査結果を解釈して適切な結論を導き出すのを助けることができます。

予防

米国では、子どもが開けられない安全キャップ付き容器が普及したことで、5歳未満の小児の中毒死が大幅に減少しました。中毒事故を防ぐために、薬やその他の危険性がある物質は必ず元の容器に入れたまま保管します。殺虫剤や洗浄剤などの有害物質は、短期間であっても飲みもののびんやカップに入れてはいけません。その他の予防策としては以下のものがあります。

  • 家庭用品に内容がすぐに分かるラベルを貼る

  • 薬(特にオピオイド)や有害物質を子どもの手の届かない戸棚に鍵をかけて保管する

  • 一酸化炭素検出器を使用する

期限切れの薬は、ネコ用砂などの興味を引かない物質と混ぜ、子どもが開けられないゴミ箱に入れて廃棄します。地元の薬局に電話して、適切な薬の廃棄方法について助言を求めることもできます。どのような薬でも家庭用品でも、使用する前には説明書をすべて読むべきです。

市販の鎮痛薬の容器当たりの量を制限することで、中毒の重症度を下げることができます(特にアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンによる中毒)。製薬会社が錠剤やカプセルに印刷している識別記号は、一般の人や薬剤師、医療従事者による混同や間違いを防ぐために役立ちます。

知っていますか?

  • 米国では、1-800-222-1222で地域の中毒情報センターにつながります(訳注:日本では、大阪中毒110番072-727-2499、または、つくば中毒110番029-852-9999)

治療

中毒を起こすと、入院が必要になる場合があります。迅速に治療を行えば、ほとんどの人は完治します。

すべての中毒治療の基本は共通で、以下の通りです。

  • 呼吸、血圧、体温、心拍などの生命機能を維持する支持療法を行う

  • 毒物がさらに吸収されるのを防ぐ

  • 毒物の排出を促す

  • 適切な解毒剤(毒物の排出を促す物質や、毒物を不活性化したり、毒物の作用を打ち消したり物質)があれば投与する

  • 再び毒物にさらされないようにする

病院で行われる治療の通常の目標は、体内の毒物がなくなるか不活性化されるまで、生命を維持することです。最終的には、ほとんどの毒物は肝臓で不活性化され、尿中に排出されます。

支持療法を行う

中毒に対しては、毒物がなくなるか不活性化されるまで、心臓、血圧、呼吸を安定させるための治療(支持療法といいます)が必要になることがよくあります。例えば、患者が強い眠気を催したり昏睡状態に陥ったりした場合には、気管に呼吸用のチューブを挿入しなければならないことがあります。チューブを 人工呼吸器 人工呼吸器 人工呼吸器は、肺への空気の出入りを補助するために用いる機械です。 呼吸不全の患者の一部は、人工呼吸器(肺に出入りする空気の流れを補助する機械)による呼吸の補助を必要とします。人工呼吸器によって命が助かることもあります。 人工呼吸器には、多くの使い方があります。通常は、合成樹脂製のチューブを鼻または口から気管に挿入します。人工呼吸器が数日以... さらに読む 人工呼吸器 に接続して、呼吸を補助します。チューブによって肺へ吐瀉物(としゃぶつ)が入ることを防ぎ、人工呼吸器で十分な呼吸が確保できます。

けいれん発作、発熱、嘔吐をコントロールする治療も必要になることがあります。毒によって高熱が出ている場合、患者の冷却が必要になることがあり、例えば冷却ブランケットを使用したり、ときには冷水や氷を皮膚にあてたりします。

腎臓の機能が停止した場合は、 血液透析 血液透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(急性腎障害または急性腎不全と呼ばれます)、老廃物をろ過す... さらに読む 血液透析 が必要です。肝臓に広範囲の傷害が生じた場合は、 肝不全 肝不全 肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。 肝不全は、肝臓に損傷が起きる病気や物質により引き起こされます。 ほとんどの患者は黄疸(皮膚と眼が黄色くなる)になり、疲れて脱力を覚え、食欲を失います。 他の症状には、腹部への体液の貯留(腹水)や、皮下出血や出血が起きやすい傾向などがあります。... さらに読む に対する治療が必要になることがあります。肝臓や腎臓が重度で永続的な損傷を受けた場合は、 肝移植 肝移植 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも提供できます。移植用の肝臓は摘出後、最長で18時間保存できます。 適合する肝臓を待つ間に死亡する患者も大勢いますが、実際に肝移植を受けた人(レシピエント)... さらに読む 腎移植 腎移植 不可逆的腎不全(腎臓が機能せず、治療しても治らない)の患者にとって、年齢にかかわらず腎移植は透析に代わる救命法です。米国では毎年約1万7000件の腎移植が行われています。最も多いタイプの臓器移植です。 腎移植は以下の病気がある場合に必要になります。 進行した不可逆的腎不全 以下に当てはまる場合、70代の人と、場合によっては80代の人にも移... さらに読む 腎移植 が必要になることがあります。

毒物の吸収の防止

胃内容物の除去(嘔吐や胃洗浄など)は、かつてはよく行われていましたが、毒物をわずかしか除去できず、重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、現在では通常行われません。胃内容物を除去しても、結果が改善することはほとんどありません。ただし、ごくまれに、非常に危険な毒物の場合や、患者の具合が非常に悪くみえる場合には、胃洗浄が行われることがあります。

この処置では、口または鼻から胃にチューブを挿入します。チューブを通じて胃に水を注入した後、胃の中の水を排出します(胃洗浄)。この処置を何度か繰り返し行います。患者が毒物により眠気を催している場合、通常は最初に合成樹脂製の呼吸用のチューブを口から気管に挿入します(気管挿管)。気管挿管により、胃の洗浄液が肺に入るのを防ぎます。トコンシロップは、効果が安定していないため、病院での胃内容物の除去には使用されません。

活性炭は、毒物を飲み込んだ人に対して、病院の救急外来で投与されることがあります。活性炭は消化管内にある毒物を吸着して、血液中に吸収されるのを防ぎます。患者が協力的であれば、通常は服用してもらいます。非協力的な患者や意識障害のある患者に対して活性炭を投与するために、鼻や口から管を挿入することは推奨されません。体内の毒物を取り除くため、4~6時間おきに活性炭を投与する場合もあります。しかし、すべての毒物が活性炭で不活性化されるわけではありません。例えば、活性炭はアルコール、鉄、家庭用の化学物質の多くを吸着しません。

毒物の排出を促す

活性炭や解毒剤の投与にもかかわらず、中毒によって生命が脅かされる状態が続いている場合は、より複雑な治療による毒物の除去が必要になることがあります。最も一般的な治療法は、血液透析と、活性炭を用いた血液吸着です。

活性炭を用いた血液吸着では、活性炭によって毒物の除去を助けます( 血液ろ過と血液吸着:血液をろ過する別の方法 血液ろ過と血液吸着:血液をろ過する別の方法 血液ろ過と血液吸着:血液をろ過する別の方法 )。

どちらの方法も細い管(カテーテル)を血管内に挿入し、動脈から血液を取り出し、静脈に戻します。血液を特殊なフィルターに通過させて、有害物質を取り除いてから体内に戻します。

全腸管洗浄は、消化管から毒物を洗い流すための治療法です。これはときおり行われるのみで、その例としては、重篤な中毒が発生しており、原因の毒物が消化管に引っかかっているか物理的に取り除く必要がある場合(隠して密輸した薬物の包みなど)や、毒物がゆっくりと吸収されるもの(徐放性の薬)や活性炭で吸収されないもの(鉄や鉛など)である場合などがあります。

ときに、アルカリ化利尿が用いられます。この処置では、炭酸水素ナトリウム(重曹)溶液を静脈から投与して、尿をアルカリ性(塩基性、つまり酸性の反対)にします。こうすると、特定の薬(アスピリンやバルビツール酸系薬剤など)が尿中に排出される量が増加します。

眼と皮膚からの毒の除去

眼や皮膚が毒で汚染されると、多くの場合は大量の食塩水、水道水、または石けんと水で洗浄する必要があります。

解毒剤

ほとんどの毒物や薬には、(テレビや映画で一般的な考え方とは異なり)特定の解毒剤はありませんが、一部には解毒剤があるものもあります。特定の解毒剤が必要になる可能性のある一般的な薬としては、アセトアミノフェン(解毒剤はN-アセチルシステイン)、アスピリン(解毒剤は炭酸水素ナトリウム)、ヘロイン(解毒剤はナロキソン)などがあります。毒のある生物に咬まれたり刺されたりした場合にも、解毒剤がある場合があります( ヘビによる咬み傷 ヘビによる咬み傷 米国の毒ヘビにはマムシ類(ガラガラヘビ、アメリカマムシ、ヌママムシ)とサンゴヘビがいます。 毒液の注入が重度の場合、咬まれた四肢の損傷、出血そして重要臓器へのダメージを引き起こす可能性があります。 症状が深刻な場合は解毒剤が投与されます。 (咬み傷と刺し傷に関する序も参照のこと。)... さらに読む ヘビによる咬み傷 )。毒物にさらされても、必ずそれに対する解毒剤が必要になるわけではありません。多くの人が自然に回復します。しかし、中毒が重度の場合には、解毒剤で命が救われることがあります。

精神状態の評価

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