一酸化炭素中毒はよく起こります。
症状としては、頭痛、吐き気、眠気、錯乱などがあります。
血液検査の結果に基づいて診断されます。
一酸化炭素検出器の設置や、暖炉など室内で燃焼しているものがあれば十分に換気すること、閉め切った空間(閉め切った車庫など)で車を動かさないことが、一酸化炭素中毒の予防に役立ちます。
治療では、新鮮な空気と高濃度酸素を投与しますが、これには高圧酸素室を使用することがあります。
( 中毒の概要 中毒の概要 中毒とは、有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚や眼、または口や鼻などの粘膜に接触したときに生じる有害作用です。 中毒を起こす可能性のある物質としては、処方薬や市販薬、違法薬物、ガス、化学物質、ビタミン類、食べもの、キノコ類、植物、動物の毒などがあります。 ダメージを与えない毒物もありますが、重度の損傷を引き起こし、死をもたらす毒物も... さらに読む も参照のこと。)
一酸化炭素は無色無臭の気体で、吸い込むと血液による酸素運搬が阻害され、体の各組織が酸素を効果的に利用できなくなります。少量であれば通常は無害ですが、血液中の一酸化炭素濃度が高くなりすぎると中毒を起こします。一酸化炭素は数時間後に血液中から消失します。
火から出る煙には一酸化炭素が含まれている場合が多く、特に不完全燃焼している場合に顕著です。換気が適切に行われていなければ、自動車、暖炉、温水暖房器具、ガス暖房器具、灯油ストーブ、まきストーブ、練炭などが原因で一酸化炭素中毒が起こることがあります。例えば、走っている自動車の排気管が積もった雪などで塞がっていると、車内の一酸化炭素濃度が急上昇して致死的な濃度になる可能性があります。タバコの煙を吸うと、血液中に一酸化炭素が入りますが、通常は中毒症状を引き起こすほどの量になりません。
症状
軽度の一酸化炭素中毒では、頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気、協調運動障害が起こります。ほとんどの場合、軽度の一酸化炭素中毒は新鮮な空気を吸うことで回復します。
中等度または重度の一酸化炭素中毒では、判断力の低下、錯乱、意識消失、けいれん発作、胸痛、息切れ、低血圧、昏睡などが起こります。そのため犠牲者の多くは自力で動くことができなくなり、救助が必要になります。
重度の一酸化炭素中毒は多くの場合死に至ります。まれに、重度の一酸化炭素中毒が回復したようにみえても、数週間後に、記憶障害、協調運動障害、運動障害、抑うつ、精神病(遅発性の精神神経症状)が現れることがあります。
一酸化炭素中毒が危険なのは、患者が眠気を中毒の症状だとは認識しないことがあるためです。その結果、軽度の中毒患者が眠ってしまい、重度の中毒や死に至るまで一酸化炭素を吸い続けてしまうことがあります。暖炉や暖房器具を使用して、長時間にわたって軽度の一酸化炭素中毒になっている場合、その症状をインフルエンザやその他のウイルス感染症など、別の病気の症状と間違えることがあります。
診断
血液検査
一酸化炭素中毒は、血液中の一酸化炭素濃度を測って診断します。
症状が漠然として多岐にわたることがあるため、軽度の一酸化炭素中毒はインフルエンザと間違われることがあります。同じ住居(特に暖房が使用された住居)にいた人々に漠然としたインフルエンザ様の症状がみられる場合、医師は原因として一酸化炭素への曝露を疑います。
予防
一酸化炭素中毒を予防するには、室内で燃焼しているもの(ガス暖房器具やまきストーブなど)を正しく設置し、適切な換気装置を付ける必要があります。換気装置を付けられない場合は、窓を開けて一酸化炭素を建物の外に排気することで、室内にこもらないようにできます。暖炉やその他の暖房器具に取り付けられた排気口は、定期的に点検してひび割れや裂け目がないか調べる必要があります。
空気中の一酸化炭素を検出してアラームが鳴る家庭用の検知器もあります。家の中に一酸化炭素が蓄積していることが疑われる場合は、窓を開け、家から出て、一酸化炭素の発生源がないか調べます。検知器を使えば、中毒になる前に一酸化炭素の蓄積を感知できます。火災報知器と同様に、一酸化炭素の検知器もすべての家庭に設置することが推奨されています。
治療
新鮮な空気
酸素吸入
ときに高気圧酸素
軽度の中毒であれば、新鮮な空気を吸うだけで十分なことがあります。より重度の中毒に対する治療では、高濃度の酸素を投与し、その場合通常はフェイスマスクで吸わせます。酸素は血液中から一酸化炭素がなくなるのを早め、症状を緩和します。高圧酸素療法(高圧チャンバーで行われます)の効果はまだ明らかになっていません。医師がこのような治療法を考慮する一般的な対象は、中等または重度の中毒患者と妊婦であり、妊婦の場合は一酸化炭素の血中濃度がそれほど高くない場合でも考慮されます。
さらなる情報
米国中毒情報センター協会(American Association of Poison Control Centers);1-800-222-1222(訳注:日本では、大阪中毒110番072-727-2499、または、つくば中毒110番029-852-9999)