(スポーツ外傷の概要 スポーツ外傷の概要 スポーツ外傷は、運動選手やスポーツに参加する人によくみられます。従来からスポーツ外傷として捉えられがちな外傷の中には、スポーツをしていない人にも起こるものがあります。例えば、主婦や工場労働者は、テニスをしていなくてもしばしば テニス肘になることがあります。 スポーツへの参加には外傷のリスクがつきものです。適切なウォーミングアップ(激しい運... さらに読む も参照のこと。)
腕を頭上や後ろに動かしたときに肩が痛み、腕を動かしていないのに痛むこともあります。
運動が助けになります。
肩腱板は、肩甲骨に上腕骨頭をつなぎとめる筋肉で構成されています。肩腱板は肩関節を強化し、上腕の回転を補助します。
肩関節の解剖学的構造
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肩腱板の挟み込み(インピンジメント)と腱炎は、多くの場合、野球の投球、ウェイトリフティング、ラケットを使う競技でのボールのサーブ、水泳の自由形(クロール)、バタフライ、背泳ぎといった、腕を頭よりも高く上げる動作を繰り返し行うスポーツが原因で起こります。腕を頭より高く上げる動作を繰り返すと、上腕骨の上端が肩甲骨上部との間で肩腱板の筋肉を挟み、結果として炎症や腫れが起こることがあります。炎症が起きているにもかかわらず動作を続けていると、腱が弱くなり断裂することがあります。
使いすぎや慢性の炎症がなくても、強い力がかかる動き(激しく伸ばしたり引っ張られたりするなど)によって、肩腱板が突然断裂することがあります。
肩腱板損傷の症状
主な症状は肩の痛みです。痛みは最初、腕を頭よりも高く上げる活動中にのみ生じます(インピンジメント症候群)。悪化すると、腕を体側から60~120度離して上げたときに痛みが生じます。効果的な治療を行わないと、肩は安静時にも痛むようになり(腱炎)、しばしば夜間に痛みが生じて睡眠を妨げます。腱が断裂すると、肩から腕を外側に開きにくい、または開くことができない状態になります。
肩腱板損傷の診断
医師による評価
症状と診察の結果に基づいて診断されます。肩腱板の筋肉が断裂している可能性を否定するために、MRI検査が必要になる場合があります。
肩腱板損傷の治療
安静
リハビリテーション
中等度から重度の痛みがある場合は、2~3日間は肩をつり包帯で固定して安静にします。腕を肩より高く上げる動作、特に抵抗に対して動かす動きは避けるべきです。肩を可動域全体で動かしても痛まなくなったら、肩腱板の筋肉の強化に取り組むことができます。この筋肉の一部を運動で強化すると、肩腱板のバランスが回復し、腕を頭より高く上げても挟み込みが起こりにくくなります。痛みが重度の場合は、医師が抗炎症薬を処方したり、コルチコステロイドを肩腱板上部の空間(滑液包)に注射したりすることがあります。
肩腱板が断裂している場合や腱炎が他の治療法で改善しない場合は、手術が必要になることもあります。手術では、肩の余分な骨を除去して肩腱板の周辺の空間を広げ、頭より高く腕を上げたときに肩腱板の挟み込みが起こらないようにします。肩腱板が断裂している場合は、通常、手術による修復が推奨されます。