Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

ムコ多糖症

執筆者:

Matt Demczko

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 2月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
本ページのリソース

ムコ多糖症とはライソゾーム病の一種であり、複雑な糖分子が正常に分解されずに蓄積して、体内の組織に悪影響を及ぼします。その結果、特徴的な容貌や骨、眼、肝臓、脾臓の異常が起こり、ときに知的障害を伴います。ムコ多糖症は、これらの病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。

  • ムコ多糖症は、複雑な糖分子を分解して、貯蔵するのに必要な酵素が欠損しているために起こります。

  • 低身長、多毛、指の関節硬直、粗い容貌などが典型的な症状です。

  • 診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

  • 通常の寿命まで生きられる可能性もありますが、ムコ多糖症の種類によっては若年で死亡します。

  • 治療では、酵素補充療法を生涯続けなければならないことがあり、骨髄移植が行われることもあります。

遺伝性代謝疾患の概要も参照のこと。)

ムコ多糖(グリコサミノグリカン)と呼ばれる複雑な糖分子は、体の様々な組織を構成する、不可欠な成分です。ムコ多糖症では、ムコ多糖を分解(代謝)して、貯蔵するのに必要な酵素が欠損しています。その結果、過剰なムコ多糖が血液に入り、全身に異常な蓄積が生じます。

ムコ多糖症の種類

ムコ多糖症は、どの酵素が欠損しているかによって多くの種類に分けられます。各種類にはローマ数字が付き、特定の名前(例えば、ハーラー症候群やハンター症候群)が付けられることもあります。

症状

ムコ多糖症の症状は、その種類によってわずかに異なりますが、一般には、乳児期から小児期にかけて低身長、多毛、発達異常が目立ち始めます。頭が大きく、額が突き出て、鼻が小さく、唇と舌が大きいため、顔のつくりが濃く見えることがあります。ムコ多糖症の種類によっては、知的障害がみられることがあり、生涯にわたり進行し続けることがあります。視覚や聴覚が障害される種類もあります。動脈や心臓弁が影響を受け、たいてい、指の関節がこわばります。

icon

ムコ多糖症の種類

疾患名

備考

ハーラー症候群(MPS I)

シャイエ症候群(MPS I-S)

ハーラー-シャイエ症候群(MPS I H/S)

病気の開始:ハーラー症候群では、生後1年目

シャイエ症候群では、5歳以降

ハーラー-シャイエ症候群では、3~8歳

症状の例:角膜混濁、関節の硬直、濃い顔貌、粗い髪、大きな舌、知的障害、心臓病、聴覚と視覚の障害、鼠径ヘルニアと臍ヘルニア、睡眠時無呼吸、脳内への液体の貯留

治療:症状の緩和

酵素補充療法

幹細胞移植または骨髄移植

ハンター症候群(MPS II)

病気の開始:2~4歳

症状の例:ハーラー症候群に似ているが、より軽く、角膜混濁はみられない

軽症の病型では、知能は正常

重症の病型では、知的障害と身体障害が悪化し、15歳までに死亡

治療:症状の緩和

幹細胞移植または骨髄移植

サンフィリッポ症候群(MPS III)*

病気の開始:2~6歳

症状の例:ハーラー症候群に似ているが、重度の知的障害がある

治療:症状の緩和

モルキオ症候群(MPS IV)

病気の開始:1~4歳

症状の例:ハーラー症候群に似ているが、脊椎上部の骨の未発達をはじめとする重度の骨変化を伴う。知能は正常のこともある

治療:症状の緩和

IV-A型には、酵素補充療法

マロトー-ラミー症候群(MPS VI)

病気の開始:ばらつきがあるが、ハーラー症候群と同様のことがある

症状の例:ハーラー症候群に似るが、知能は正常

治療:症状の緩和

スライ症候群(MPS VII)

病気の開始:1~4歳

症状の例:ハーラー症候群に似るが、重症度にはよりばらつきがある

治療:症状の緩和

幹細胞移植または骨髄移植

ヒアルロニダーゼ欠損症(MPS IX)

病気の開始:生後6カ月

症状の例:関節周囲の軟部組織の腫瘍、顔貌の異常、低身長、正常な知能

治療:確立されていない

*このムコ多糖症には、III-A型、III-B型、III-C型、III-D型も含まれます。

このムコ多糖症には、IV-A型とIV-B型も含まれます。

診断

  • 出生前スクリーニング検査

  • 症状と診察に基づく

  • 骨のX線検査

  • ときに、画像検査またはその他の検査

出生前には、ムコ多糖症は、羊水穿刺または絨毛採取といった出生前スクリーニング検査により診断できます。

出生後には、医師は通常、症状と身体診察に基づいてムコ多糖症の診断を下します。家族にこの病気の人がいることも診断の助けになります。尿検査は参考になりますが、あまり正確でない場合があります。X線検査では特徴的な骨の異常を確認できます。ムコ多糖症は血球を分析することでも診断できます。遺伝性の遺伝子疾患をもつ子どもが生まれるリスクが高いかどうかを判断するために行う検査である、遺伝子検査も利用できます。

その他の検査は症状に応じて行います。例えば、心臓に問題がある小児は心エコー検査という画像検査を受け、聴覚に問題がある小児は聴力検査を受けます。

予後(経過の見通し)

長期的な予後は、ムコ多糖症の種類によります。通常の寿命まで生きられる可能性もあります。一部のムコ多糖症(通常は心臓に影響を及ぼすタイプ)の患者は、若年で死亡することがあります。

治療

  • 酵素補充療法

  • ときに骨髄移植または幹細胞移植

一部のムコ多糖症の治療では、酵素補充療法が生涯続けられますが、これは病気の悪化を防ぎ、一部の合併症を改善する可能性があります。

骨髄移植または幹細胞移植で効果がみられる人もいます。しかし、これらの処置は死亡や身体障害をもたらすことがあるため、このような治療については異論もあります。

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP