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その他のまれな遺伝性の脂質代謝異常症

執筆者:

Matt Demczko

, MD, Mitochondrial Medicine, Children's Hospital of Philadelphia

最終査読/改訂年月 2020年 4月
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脂質代謝異常症は 遺伝性代謝疾患 遺伝性代謝疾患の概要 遺伝性代謝疾患とは、代謝の問題を引き起こす遺伝性の病気です。 遺伝とは、ある世代から次の世代へ遺伝子が受け継がれることを意味します。子どもは親の遺伝子を受け継ぎます。子どもが、代謝制御に関わる欠陥のある 遺伝子を受け継ぐと、遺伝性代謝疾患を発症します。 遺伝性疾患には様々な種類があります。ほとんどの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異... さらに読む です。遺伝性疾患は、これらの病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子 遺伝子 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む 遺伝子 が親から子どもに受け継がれることで発生します。 遺伝性疾患 単一遺伝子疾患の遺伝 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。 染色体は非常に長いDNA鎖からできており、そこには多く(数百~数千)の 遺伝子があります。特定の細胞(例えば、精子と卵子)を除き、人間の正常な細胞には23対の染色体があります。22対の常染色体と1対の性染色体があり、合わせて46本の染色体があります。通常、それぞれの対を構成する染色体は、片方を母親から、もう片方... さらに読む には様々な種類があります。多くの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異常な遺伝子のコピーをもっています。通常、病気の発生には異常な遺伝子のコピーが2つ必要であるため、普通はいずれの親にも疾患は現れていません。

脂質とは 脂肪 脂肪 炭水化物、タンパク質、脂肪は、食物の乾燥重量の90%を占め、食物のエネルギーの100%を供給しています。3つともエネルギー(単位はカロリー)を供給しますが、1グラム当たりのエネルギーの量は次のように異なります。 炭水化物とタンパク質は1グラムにつき4キロカロリー 脂肪は1グラムにつき9キロカロリー これらの栄養素はエネルギーを供給する速度も異なります。最も速いのが炭水化物、最も遅いのが脂肪です。... さらに読む のことで、体にとって重要なエネルギー源です。体は蓄えた脂肪を分解したり再合成したりすることで、エネルギーの需要と食べた分とのバランスを常に保っています。脂肪の分解(代謝)とその後の処理には、特定の酵素群が関与していますが、それらの酵素に異常があると、その酵素によって分解されるはずの脂肪が分解されずに蓄積します。そのような物質が長年かけて蓄積していくと、多くの臓器に有害な影響が生じます。リピドーシスは、脂肪の蓄積によって起こる疾患の総称です。

脂肪性物質の蓄積は、次のような病気を引き起こすことがあります。

出生前には、 羊水穿刺 羊水穿刺 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む または 絨毛採取 絨毛採取 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む といった出生前スクリーニング検査により、いくつかの脂質代謝異常症が診断されます。出生後には、 新生児スクリーニング検査 新生児スクリーニング検査 出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もしばしば追加されます。 典型的なスクリーニング検査には以下のものがあります。... さらに読む またはその他の検査によりいくつかの脂質代謝異常症が診断されます。

脂質代謝異常症の治療は、血液や組織に蓄積する脂肪性物質の種類によって異なります。

脳腱黄色腫症

早期にケノジオール(chenodiol、ケノデオキシコール酸)の投与を開始すれば病気の進行を予防するのに役立ちますが、すでに生じた障害を元に戻すことはできません。スタチン系薬剤は血液中の脂質濃度を低下させるため、この薬剤が投与されることもあります。

シトステロール血症

シトステロール血症の治療は植物油などの、植物性脂肪を多く含む食べものを減らすことと、コレスチラミン樹脂を投与することです。医師は、エゼチミブという薬剤を処方することもあります。これにより、体に吸収されるコレステロールの量が減少します。

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