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家族性周期性四肢麻痺

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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家族性周期性四肢麻痺は、まれな常染色体優性遺伝疾患(片親のみが患者でも子孫がこの形質を引き継ぐ可能性がある)で、筋力低下と麻痺が突然生じる発作を引き起こします。

  • 筋肉が刺激に対して正常に反応しませんが、その際、通常は血液中のカリウム濃度が低すぎるか高すぎるかのいずれかです。

  • 筋力低下は断続的で、主に腕や脚に現れ、多くの場合、運動のしすぎまたは炭水化物の摂取が多すぎるか少なすぎることによって発生します。

  • 診断は、症状とカリウムの血中濃度の測定結果に基づいて下されます。

  • 発作を引き起こす誘因となるものを避け、薬を服用することで、効果的に発作を予防することができます。

家族性周期性四肢麻痺の発作は、血液に含まれるカリウムの量に応じて起こります。カリウムは電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む の1つで、細胞、神経、筋肉が正常に機能するのに必要です(体内でのカリウムの役割の概要 体内でのカリウムの役割の概要 カリウムは体内に存在する電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びるミネラルです。(電解質の概要も参照のこと。) 体内のカリウムのほとんどは細胞内に存在しています。カリウムは、細胞、神経、筋肉が正常に機能するのに必要な物質です。 血液中のカリウム濃度は、狭い範囲内に維持する必要があります。血液中のカリウム濃度が高すぎたり(高カリウム血症)、低すぎたり(低カリウム血症)すると、不整脈や心停止などの重大な結果を招くことがありま... さらに読む を参照)。家族性周期性四肢麻痺の発作中は、筋肉が正常な神経信号に反応せず、電子機器による人為的な刺激にさえも反応しません。

この病気の詳細な病型は家系によって異なります。4つの病型があります。

  • 低カリウム血性型

  • 高カリウム血性型

  • 甲状腺中毒性型

  • アンデルセン-タウィル症候群

アンデルセン-タウィル症候群では、カリウム濃度が高い場合も低い場合も正常な場合もあります。

症状

筋力低下の発作中、患者の意識は完全にはっきりしたままです。眼や顔の筋肉には異常が生じません。筋力低下は、特定の筋肉のみに生じることも、四肢のすべてに生じることもあります。

低カリウム血性型では、一般に16歳以前に発作が初めて現れますが、20代に現れることもあり、30歳までには必ず現れます。発作は最大で24時間続きます。激しい運動を行った翌日に目を覚ますと筋力低下の発作が起きていることがよくあります。筋力低下は、軽度で特定の筋肉群のみに生じることもあれば、四肢のすべてに生じることもあります。しかし、炭水化物を豊富に含む食事をした場合や(数時間後の場合もあれば、その翌日の場合もある)、精神的または身体的ストレス、飲酒、冷気にさらされることでも、発作が起こることがあります。炭水化物を食べたり激しい運動をしたりすると、細胞内に糖が運ばれます。この糖とともにカリウムが運ばれる結果、血液中と尿中のカリウム濃度が低下します。

高カリウム血性型では、多くの場合、10歳までに発作が現れます。発作は15分から1時間続きます。低カリウム血性型より筋力低下が軽い傾向があります。絶食、運動直後の休息、または食後の運動が発作の引き金になることがあります。筋強直(筋肉が収縮した後に緩める能力に遅れがあるために筋肉が非常に硬くなること)がよくみられます。まぶたの筋強直しか症状がみられないことがあります。

甲状腺中毒性型では、筋力低下の発作は数時間から数日間続き、通常は低カリウム血性型と同様に、運動、ストレス、または炭水化物を豊富に含む食事が発作の引き金になります。患者には不安、振戦(ふるえ)、動悸、暑さへの耐性低下など、甲状腺機能亢進症の症状がみられます。

アンデルセン-タウィル症候群では、筋力低下の発作は通常20歳までに現れ始め、運動後の休息が発作の引き金になります。発作は数日間続くことがあり、毎月起こることもあります。この病型の患者では、脊柱の異常な弯曲(脊柱側弯症 脊柱側弯症 脊柱側弯症とは脊柱が異常に曲がった状態です。 脊柱側弯症は生まれつきみられることも、青年期に発生することもあります。 軽症であれば軽度の不快感しか起こらないこともありますが、重症では慢性的な痛みをおぼえたり、内臓に影響したりする場合があります。 診断は診察とX線検査の結果に基づいて下されます。 すべての脊柱側弯症が悪化するわけではありませんが、悪化がみられる場合は、重度の変形を防ぐためにできるだけ早く治療しなくてはなりません。 さらに読む 脊柱側弯症 )、手足の指の癒着(合指症)、手足の指の位置異常(斜指症)、小さなあご(小顎症)、耳介低位など、他の病気もみられることがあります。心臓の異常が、不整脈や突然死のリスク増加の原因になることがあります。

診断

  • 発作の説明

  • 発作中の血液中のカリウム濃度

  • まれに負荷試験

家族性周期性四肢麻痺の診断を下すのに最良の手がかりになるのは、典型的な発作についての患者の説明です。可能であれば、発作中に血液を採取して、カリウムの濃度を測定します。血液中のカリウム濃度が異常であれば、通常は追加検査を行って、その異常値が他の原因によるものではないことを確認します。

まれに、血液中のカリウム濃度を上昇または低下させる薬の静脈内注射を行って、発作が起きるかどうかを調べることもあります。これを負荷試験といいます。

予防と治療

  • 病型によって異なる

低カリウム血性型の患者では、糖を含まない溶液に塩化カリウムを加えたものを、発作中に飲ませたり静脈に注射したりすることがあります。通常は、1時間以内に症状がかなり改善されます。低カリウム血性型の患者は、炭水化物や塩分を豊富に含む食事や安静後の飲酒を避け、激しい運動も控えるべきです。アセタゾラミドという血液中の酸性度(pH)を変化させる薬が、発作の予防に役立つことがあります。

高カリウム血性型の患者では、軽い運動を行い炭水化物を豊富に含む食事をとることで発作を阻止することができます。発作が長引く場合は、サイアザイド系利尿薬や吸入用のサルブタモールなどの薬がカリウム濃度を下げるのに役立ちます。 発作が重度の場合は、カルシウムまたはインスリン、ブドウ糖を静脈から投与されることがあります。患者は、炭水化物を豊富に含みカリウムが少ない食事を頻繁にとり、絶食、食後の激しい運動、冷気にさらされることを避けることで発作を予防できます。

甲状腺中毒性型の患者には、塩化カリウムを投与し(低カリウム血性型の場合と同様)、重い発作中の血液中のカリウム濃度を医師が注意深くモニタリングします。発作を予防するために、甲状腺の機能を正常に保つ薬やベータ遮断薬(プロプラノロールなど)が投与されます。

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