両親が小柄である、胎盤が正常に機能しなかった、母親に病気がある、母親が薬を飲んでいる、母親が妊娠中に喫煙した、飲酒したなどの場合に、新生児の体重が小さくなります。
感染症や遺伝性疾患がない限り、在胎不当過小の新生児のほとんどは、ほかには症状がみられず健康です。
小さな新生児の一部は、成人になっても小さいままです。
在胎期間とは妊娠期間のことで、母親の最終月経開始日から経過した週数を表します。この期間は多くの場合、例えば妊娠期間に関してさらなる情報が得られる初期の超音波検査の結果など、医師が得るその他の情報に基づいて調整されます。在胎期間が40週間になる日が、出産予定日です。
在胎40週時点で、体重が約3キログラム未満の男児は在胎不当過小です。体重が約2.8キログラム未満の女児も在胎不当過小です。その他の在胎期間の新生児の評価には、公開されている成長曲線が用いられます。
(新生児の一般的な問題の概要 新生児の一般的な問題の概要 新生児の問題は、以下の時期に生じることがあります。 胎児として成長している出生前 陣痛および分娩時 出生後 新生児の約10%は、未熟児であること、胎児期から新生児期への移行に際する問題、低血糖、呼吸困難、感染症、およびその他の異常のために出生後に特別なケアを必要とします。専門的なケアはしばしば、新生児集中治療室(NICU)で提供されます。 さらに読む も参照のこと。)
原因
在胎期間に対してやや小さい新生児のほとんどは、たまたま小さめであっただけで、正常です。しかし、なかには様々な要因によって発育不全となった新生児もいます。発育不全は以下のように分類できます。
対称性:新生児が相対的に小さい。すなわち体重、身長、頭囲が同様に低いか小さい。
非対称性:体重のみが低い。
対称性の発育不全の原因はおそらく妊娠の早期に生じたもので、この時期には新生児の身体のあらゆる細胞が影響を受けます。非対称性の発育不全は、より後で生じた問題が原因ですが、それは組織のなかにはほかの組織よりも早く発達するものがあり、すべての組織が同等に影響を受けるわけではないからです。
発育不全の危険因子には、母親の基礎的な健康状態が関わるものや、妊娠または胎児が関わるものがあります。
母体の危険因子
在胎不当過小の子どもをもつリスクは、非常に若いまたは非常に高齢である母親や、ほかに在胎不当過小の子どもを出産したことがある母親において高くなります。
在胎不当過小の子どもをもつリスクが高くなる母親の病気には、以下のものがあります。
子宮の異常(例えば子宮が2つに分かれている双角子宮など)
妊娠に関わる危険因子
双子や三つ子などの多胎妊娠 多胎出産 多胎出産とは、子宮に複数の胎児がいる状態での出産を意味します。 20年ほど前から双子、三つ子などの多胎出産が増えています。約70~80件の出産のうち1件が多胎出産です。 以下のような場合に多胎妊娠になりやすくなります。 排卵誘発薬を使用している 生殖補助医療(体外受精など)を受けている さらに読む (双子は32週頃まで単胎の場合と同じ割合で発育する。その後、双子の発育は緩やかになるため、出生時には在胎不当過小になることがある。三つ子の場合、28週頃から発育が緩やかになる。)
飲酒 妊娠中のアルコール 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む または喫煙 妊娠中の喫煙(タバコ) 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む
アンフェタミン 妊娠中のアンフェタミン 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む 、抗てんかん薬 妊娠中のけいれん性疾患 けいれん性疾患が抗てんかん薬によって良好にコントロールされている女性のほとんどは通常、健康な子どもを安全に出産することができます。こういった女性では、十分に睡眠をとり、抗てんかん薬を適切な用量で服用すれば、妊娠中にけいれん発作の回数が増えることは通常なく、妊娠の結果は通常良好です。ただし、これらの女性では以下の可能性がわずかに高くなります。 妊娠高血圧腎症(妊娠中に発症する高血圧の一種)... さらに読む 、一部の抗がん剤、コカイン、オピオイド 妊娠中のオピオイド 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む などの特定の薬の使用
重度の栄養障害
胎児の危険因子
脳 脳と脊髄の先天異常の概要 脳および脊髄の先天異常は、胎児発育の早期または後期に発生します。 典型的な症状としては、知的障害、麻痺、失禁、体の一部の感覚消失などがあります。 診断はCT検査およびMRI検査の結果に基づいて下されます。 妊娠前と妊娠中に葉酸を摂取することで、特定の種類の異常が起きるリスクを減らすことができます。... さらに読む 、心臓 心臓の異常の概要 120人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 哺乳不良、呼吸困難、青みがかった皮膚、正常に発育しない、あるいは正常に運動できない、速い心拍、失神のほか、乳児が成長するに従って運動中の胸痛といった症状がみられます。... さらに読む 、腎臓 腎臓の異常 腎臓(左右に2つあって血液から老廃物をろ過して尿を作っている臓器)に生じる先天異常がいくつかあります。そのような異常は、通常は医師による診察では明らかにならず、尿路を評価する検査を行う必要があります。 (尿路の先天異常の概要も参照のこと。) 腎臓の先天異常には多くの種類があります。そのような異常の多くは以下の変化をもたらします。 尿が腎臓から出る流れを妨げたり遅くしたりする 尿の流れが妨げられると、尿が停滞して尿路感染症が起こったり、腎... さらに読む などの先天異常 先天異常の概要 先天異常あるいは先天奇形は、出生前の段階で生じる身体的な異常のことをいいます。それらの異常はたいてい出生時、あるいは生後1年以内に明らかになります。 ほとんどの先天異常の原因は不明ですが、感染性要因、遺伝的要因とある種の環境要因は先天異常発生のリスクを高くします。 出生前の段階では、母親の危険因子と超音波検査の結果のほか、ときに血液検査、... さらに読む
ジカウイルス ジカウイルス感染症 ジカウイルス感染症は蚊が媒介するウイルス感染症の一種であり、一般に症状を引き起こしませんが、発熱、発疹、関節痛、または白眼を覆う膜の感染症(結膜炎)がみられることもあります。妊婦のジカウイルス感染症は、新生児に小頭症(重大な先天異常)と眼の異常を引き起こすことがあります。 ジカウイルスは蚊によって広がりますが、性交や輸血によって感染することや、出生前や出生時に母親から子どもに感染することもあります。... さらに読む
、サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス感染症はよくみられるヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です。 このウイルスは、体の分泌物と接触(性的接触とそれ以外の接触の両方)することで感染します。 ほとんどの人では何の症状もみられませんが、気分が悪くなって熱が出る場合もあり、免疫機能が低下している人が感染すると、失明などの重篤な症... さらに読む (CMV)または風疹 風疹 風疹は感染力の強いウイルス感染症で、関節痛や発疹などの軽い症状が出ます。 風疹の原因はウイルスです。妊娠中の母親が風疹に感染すると新生児に重い先天異常が起きます。 典型的な症状としては、リンパ節の腫れ、口蓋(こうがい)に出るバラ色の斑点、特徴的な発疹などがあります。 診断は症状に基づいて下されます。 定期予防接種で予防できます。 さらに読む
などの特定の胎児の感染症
18トリソミー 18トリソミー 18トリソミーは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 18トリソミーは、18番染色体が余分に複製されることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、多くの身体的異常と内臓の機能障害がみられます。 診断を確定するための検査は、出生前でも出生後にも行えます。 18トリソミーには治療法がありません。 さらに読む
などの遺伝子異常 遺伝子異常 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっています。... さらに読む
症状
在胎不当過小の新生児は通常、その大きさにもかかわらず、同様の在胎期間で生まれた正常な大きさの新生児と同じようにみえ、活動も同様です。在胎不当過小の新生児のなかには、筋肉量と脂肪が少なくやせてみえる子どもや、やせこけた顔貌(「しわくちゃの顔」と呼ばれる)をしている子どももいます。臍帯は細くて小さく見えることがあります。
直接的な合併症
妊娠中、発育不全の胎児では流産 流産 流産とは、妊娠20週までに人為的でない原因によって胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、染色体異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。 医師は子宮頸部を診察し、通常は超音波検査も行います。... さらに読む または死産 死産 死産とは妊娠20週以降に胎児が死亡することです。 胎盤が子宮から剥がれるのが早すぎた結果として起こる死産が最も一般的です(常位胎盤早期剥離)。ときに、死産の原因が明らかでないこともあります。 母体に以下のような状態があると、胎児が死亡する可能性があります。 コントロール不良の糖尿病 妊娠高血圧腎症(妊娠中に発症する高血圧の一種) さらに読む のリスクが高くなります。出生時、在胎不当過小の正期産児では、同じ大きさの未熟児にみられるような、器官系の発達が未熟であることに関連した合併症を示すことはありません。しかし、以下のような異常のリスクが高くなっています。
周産期仮死 周産期仮死 (新生児の一般的な問題の概要も参照のこと。) 分娩損傷とは、分娩の過程で通常は産道を通る際に物理的な圧力が生じる結果として新生児が受ける損傷のことです。 多くの新生児が出生の際に軽いけがをします。 まれに、神経が損傷したり骨が折れたりします。 ほとんどのけがは、治療をしなくても治ります。 さらに読む
:この合併症は、分娩前、分娩中、または分娩直後における胎児組織への血流の減少、または胎児の血液中の酸素の減少です。分娩前または分娩中の胎盤の問題から生じる可能性があります。
胎便吸引 胎便吸引症候群 胎便吸引症候群とは、出生前または周産期に、肺に胎便(暗緑色の、無菌の便)を吸い込んだ新生児に呼吸困難(呼吸窮迫)がみられることをいいます。 胎児はものを食べることはありませんが、その腸内には胎便と呼ばれる無菌物質が含まれています。 胎児は出生前に羊水中に胎便を排泄することがあります。これは正常でもみられる現象ですが、酸素不足などのストレスに誘発されることもあります。 ストレスによって胎児は反射的にあえぐため、胎便を含む羊水を肺に吸い込ん... さらに読む :発育不全の胎児は羊水中に胎便(出生前に胎児の腸でつくられる濃い緑色の便)を排泄し、激しくあえいで胎便を含んだ羊水を肺に吸い込んでしまうことがあります。
低血糖 低血糖 低血糖とは、血液中のブドウ糖の値(血糖値)が異常に低くなっている状態です。 低血糖は、糖尿病を管理するために服用する薬によるものが最も多くみられます。低血糖のまれな原因としては、他の種類の薬、深刻な病態や臓器不全、炭水化物に対する反応(感受性の高い人において)、膵臓のインスリン産生腫瘍、一部の肥満外科手術(減量のための手術)などがあります。 血糖値が下がると、空腹、発汗、ふるえ、疲労、脱力感、思考力の低下といった症状が生じますが、重度の... さらに読む :この合併症はしばしば生後数時間から数日間に生じますが、これは小さな新生児はエネルギーに使うための炭水化物を十分に蓄えておらず、蓄えている炭水化物も十分に処理できないからです。
赤血球の過剰な増加(赤血球増多症 新生児の赤血球増多症 赤血球増多症とは、赤血球の数が異常に多くなる病気です。 この病気は、予定日より遅く生まれた場合(過熟)、母親が糖尿病の場合、双胎間輸血(双子のうち一方の胎児からもう一方の胎児に血液が流れること)が起こった場合、胎児血液の酸素レベルが低い場合に起こります。 赤血球濃度が高いため、血液の粘り気が高くなり(過粘稠性)、細い血管内の血流が遅くなります。 この病気の新生児のほとんどに症状はみられませんが、ときには皮膚の色が赤らんだり暗褐色になり、... さらに読む ):在胎不当過小の新生児は通常より血球数が多く、過剰な赤血球により血液が濃くなり、血液の流れが遅くなることがあります。赤血球増多症の新生児は皮膚の色が赤みがかり、動きや反応が鈍くなります。赤血球増多症は低血糖、呼吸窮迫、高ビリルビン血症の一因になることもあります。
体温調節が困難 体温調節が困難 未熟児とは、37週未満で生まれた新生児です。生まれた時期により、未熟児の臓器は発達が不十分であるため、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、および高血圧などがある場合に、未熟児を出産するリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、未熟児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が起こ... さらに読む :この合併症は、在胎不当過小の新生児は体を暖かく保つための脂肪および体重が少なく、エネルギーに使うための十分な炭水化物をもっていないために生じます。
感染症のリスク上昇:在胎不当過小の新生児は、免疫系の機能が低いことがあり、そのため病院で感染症を発症するリスクが上昇します。
長期的な合併症
最近の研究では、子宮内胎児発育不全により成人期に肥満、心血管疾患、高血圧、糖尿病などの問題の可能性が高まることが示唆されています。
診断
出生前には、子宮の測定および超音波検査
出生後には、在胎期間の評価および新生児の大きさと体重
妊娠中には、恥骨の上端から子宮の上端(子宮底)までの妊婦の腹部を測定します。これを子宮底長の測定といい、値はおおむね妊娠週数と一致します。例えば、妊娠32週の妊婦の正常な子宮底長は約30~34センチメートルです。妊娠週数に対して測定値が小さい場合には、胎児が予想されるより小さい可能性があります。
在胎不当過小の診断を確定するには、超音波検査 超音波検査 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。 こうした遺伝子検査は侵襲的で、胎児への一定のリスクを伴います。 (遺伝性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む を行って胎児の大きさを評価し、体重を推定することができます。超音波検査はまた、発育不全の原因や、それが胎児にどのように影響しているかを特定するのにも役立つ可能性があります。所見によっては、基礎にある原因を特定するために遺伝子検査やMRI検査を行うこともあります。
出生後には、在胎期間の評価および新生児の体重により、在胎不当過小を診断します。新生児の身長 体長と身長 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生後から約1~2歳まで、小児は急速に成長します。その後、成長の速度は遅くなります。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、小児が非常に不規則な食べ方をすることがあり、ときに不安になる親も... さらに読む および頭囲 頭囲 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生後から約1~2歳まで、小児は急速に成長します。その後、成長の速度は遅くなります。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、小児が非常に不規則な食べ方をすることがあり、ときに不安になる親も... さらに読む を測定し、発育不全を対称性または非対称性に分類します。発育不全の原因を特定するために、超音波検査、X線検査、MRI検査、感染症の検査、血液検査、遺伝子検査などの診断検査が必要な場合があります。
予後(経過の見通し)
乳児が在胎不当過小となった原因および合併症が発生しているかどうかにより、予後は大きく異なります。
出生体重がやや低い乳児では通常、感染症、遺伝性疾患、周産期仮死がない限り経過は良好です。ほとんどの場合、生後1年間で成長が追いつき、成人身長は正常になります。
母親の病気のために特に小さい乳児には合併症のリスクがありますが、通常、経過は良好です。小さな乳児は、成人しても小さいままのこともあれば、正常範囲内になることもあります。
母親が妊娠中に飲酒したために発育不全となった乳児では、長期にわたる発達面および行動面の問題が生じる可能性が高くなります。
妊娠中に違法薬物にさらされた在胎不当過小の乳児の経過は複雑です。違法薬物を使用する妊婦にはしばしば、子どもの発達に影響を及ぼすほかの社会的、経済的問題があるため、経過の見通しを予測することは難しくなります。
治療
基礎にある原因と合併症の治療
在胎不当過小の新生児に対する特定の治療はありませんが、基礎疾患と合併症は必要に応じて治療します。2~4歳になっても非常に小さいままである特定の在胎不当過小の乳児に対し、成長ホルモンの注射を行う医師もいます。この治療は数年間行わなければならず、症例毎に検討する必要があります。
赤血球増多症 新生児の赤血球増多症 赤血球増多症とは、赤血球の数が異常に多くなる病気です。 この病気は、予定日より遅く生まれた場合(過熟)、母親が糖尿病の場合、双胎間輸血(双子のうち一方の胎児からもう一方の胎児に血液が流れること)が起こった場合、胎児血液の酸素レベルが低い場合に起こります。 赤血球濃度が高いため、血液の粘り気が高くなり(過粘稠性)、細い血管内の血流が遅くなります。 この病気の新生児のほとんどに症状はみられませんが、ときには皮膚の色が赤らんだり暗褐色になり、... さらに読む の新生児には輸液を行い、低血糖の新生児は頻繁に授乳するか、ブドウ糖を静脈から投与することで治療します。
すべての妊婦は良好な出生前ケアを受け、妊娠中はアルコール、タバコ、および違法薬物(コカインやヘロインなど)を避けるべきです。