出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もしばしば追加されます。
典型的なスクリーニング検査には以下のものがあります。
血液検査
酸素レベル測定
聴覚検査
医師は皮膚と白眼の部分を観察するとともに経皮的な測定器や血液検査によって、すべての新生児の 黄疸 新生児黄疸 黄疸とは、血流中のビリルビンの増加が原因で、皮膚や眼が黄色くなることです。ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成される、黄色い物質です。ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれ、胆汁(肝臓で作られる消化液)の一部として肝臓から排泄されるように処理されます。肝臓でのビリルビンの処理において、ビリルビンは抱合と呼ばれる過程で別の化学物質に結合し... さらに読む (血液中のビリルビン濃度の上昇によって起こる皮膚の黄染)を評価します。
治療可能な特定の 遺伝性代謝疾患 遺伝性代謝疾患の概要 遺伝性代謝疾患とは、代謝の問題を引き起こす遺伝性の病気です。 遺伝とは、ある世代から次の世代へ遺伝子が受け継がれることを意味します。子どもは親の遺伝子を受け継ぎます。子どもが、代謝制御に関わる欠陥のある 遺伝子を受け継ぐと、遺伝性代謝疾患を発症します。 遺伝性疾患には様々な種類があります。ほとんどの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異... さらに読む を見つけるため、すべての州において、新生児を対象としたいくつかの血液検査が義務づけられています。共通の検査として、 フェニルケトン尿症 フェニルケトン尿症(PKU) フェニルケトン尿症は、 アミノ酸代謝異常症であり、フェニルアラニンというアミノ酸を生まれつき正常に分解できない乳児に起こります。脳に有害なフェニルアラニンが血液中に蓄積します。フェニルケトン尿症は、この病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンをチロシンに変換するのに必要な酵素が欠損しているために起こります。... さらに読む 、 メープルシロップ尿症 メープルシロップ尿症 アミノ酸代謝異常症は 遺伝性代謝疾患です。遺伝性疾患は、これらの病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。ほとんどの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異常な遺伝子のコピーをもっています。通常、病気の発生には異常な遺伝子のコピーが2つ必要であるため、普通はいずれの親にも疾患は現れていません。一部の遺伝性代謝疾患は X連鎖性であり、これは男児に異常な遺伝子のコピーが1つあるだけで病気が発生することを... さらに読む 、 ガラクトース血症 ガラクトース血症 ガラクトース血症は 糖代謝異常症の一種であり、血液中のガラクトース値が上昇します。この病気は、乳糖(ラクトース)と呼ばれる大きめの糖を構成する糖であるガラクトースの代謝に必要な酵素の1つが欠損しているために起こります。肝臓と腎臓に有害な代謝物が蓄積します。この代謝物は眼の水晶体も損傷するため白内障が起こります。ガラクトース血症は、この病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。... さらに読む 、先天性副腎過形成症、 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症は、鎌状(三日月形)の赤血球と、異常な赤血球の過剰破壊による慢性貧血を特徴とする、遺伝性のヘモグロビン(酸素を運搬する赤血球内のタンパク質)の遺伝子異常です。 必ず貧血がみられ、ときとして黄疸がみられます。 貧血、発熱、息切れなどが悪化し、長管骨、腹部、胸部などに痛みを伴うと、鎌状赤血球症の疼痛発作(症状が急速に悪化する危険な状態)が疑われます。 電気泳動法と呼ばれる特別な血液検査を使用して、鎌状赤血球症かどうかを判定するこ... さらに読む 、 甲状腺機能低下症 乳児と小児の甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌量が低下した状態です。 小児の甲状腺機能低下症は、通常、甲状腺の構造に問題があるか、甲状腺が炎症を起こしていることが原因です。 症状は小児の年齢によりますが、成長と発達の遅延などがあります。 診断は、新生児スクリーニング検査、血液検査、画像検査に基づきます。 治療としては、甲状腺ホルモンの補充療法があります。 さらに読む に対する検査などがあります。 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症(CF) 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。 典型的な症状としては、腹部膨満、軟便、体重増加不良のほか、せき、喘... さらに読む もしくは免疫欠損症、またはその両方の検査を義務づけている州もあります。州によって違う検査が義務づけられています。州別の新生児スクリーニング検査の一覧表は全米新生児スクリーニング&グローバルリソースセンター(National Newborn Screening and Global Resource Center)を参照してください。
医師は新生児の右手と右足に酸素センサー(パルスオキシメーター)を取り付け、酸素レベルを測定します。酸素レベルが低い、あるいは手と足でかなり差が大きい場合、 先天性心疾患 心臓の異常の概要 約100人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 哺乳不良、呼吸困難、青みがかった皮膚、正常に発育しない、あるいは正常に運動できない、速い心拍、失神のほか、乳児が成長するに従って運動中の胸痛といった症状がみられます。... さらに読む の可能性が示唆されます。
難聴 小児の聴覚障害 新生児の難聴は、サイトメガロウイルス感染症または遺伝子異常に起因することが最も多く、年長児では耳の感染症や耳あかが原因となります。 小児が音に反応しなかったり、言葉をうまく話せなかったり、話し始めるのが遅かったりする場合は、聴覚に障害があることがあります。 新生児の聴覚の検査では音に対する脳の反応を計測する手持ち式の装置や検査が用いられ、年長児の検査では様々な技法が用いられます。... さらに読む がないか調べるため聴覚検査を行いますが、難聴は特定の先天異常や感染症に合併していることがあります。医師は手持ち式の微弱なクリック音を出す機器で、新生児の鼓膜から反響する音を測定します(誘発耳音響放射検査 検査
と呼ばれます)。
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全米新生児スクリーニング&グローバルリソースセンター(National Newborn Screening and Global Resource Center)