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膀胱の異常

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2020年 10月
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本ページのリソース

尿路内の構造

尿路の臓器

膀胱につながる神経の異常(神経因性膀胱 神経因性膀胱 神経因性膀胱は、脳卒中、脊髄損傷、腫瘍などの神経の異常によって膀胱をコントロールできなくなった状態です。 最も重要な症状は尿失禁(排尿をコントロールできない状態)です。 膀胱カテーテルの挿入、画像検査、および尿の流れを測定する検査を行います。 治療の目標は、膀胱を定期的に空にすることです(間欠的導尿または薬の使用などによって)。 排尿をコントロールするには、いくつかの筋肉と神経が協調して働く必要があります。 さらに読む

  • 弛緩性神経因性膀胱:神経の異常により膀胱の筋肉が弱くなります(弛緩)。膀胱が正しく収縮して排尿することができないため、圧力が低い状態で膀胱が尿で満たされる傾向があります。

  • けい性神経因性膀胱:神経の異常により膀胱が過剰に収縮し(けい性)、膀胱内の尿の圧力が高まります。膀胱が小さくなります。

一部の患児では、ある時には弛緩性神経因性膀胱が、別のある時にはけい性神経因性膀胱がみられることがあります。

患児が膀胱を完全に空にできない場合は、尿が停滞することがあり、それによって 尿路感染症 小児の尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)とは、細菌による膀胱の感染症( 膀胱炎)、腎臓の感染症( 腎盂腎炎[じんうじんえん])、またはその両方がある状態です。 尿路感染症は細菌によって引き起こされます。 乳児や年齢の低い小児に尿路感染症がみられる場合は、ときに泌尿器系に構造的異常があるために発症しやすくなっていることがあります。 新生児と乳児では発熱以外の症状が出ないことがありますが、年長児では、排尿するときに痛みや灼熱感があったり、膀胱周辺が痛んだり、頻... さらに読む 腎結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 の形成のリスクが高まります。さらに、満杯になった膀胱があふれ、意図せずに排尿が起こることがあります(尿失禁 小児における尿失禁 尿失禁の定義は、トイレトレーニングが終了した後に、意図しない排尿が1カ月に2回以上の頻度で起こることとされています。尿失禁は以下の状況で起こります。 日中(日中の尿失禁または昼間遺尿症) 夜間(夜間の尿失禁、遺尿症、または夜尿症) 両方(日中と夜間両方の尿失禁) トイレトレーニングの期間や、小児が尿禁制(排尿をコントロールできること)を獲... さらに読む )。患児が膀胱を完全に空にできない場合は、柔軟な細い管(カテーテル)を尿道口から膀胱に入れて膀胱から尿を排出します。この処置は導尿といいます。尿の排出が終わり次第すぐにカテーテルを抜いた方がよいため、導尿は毎日数回繰り返します。しかし、カテーテルを常に入れておかなければならない場合もあります。導尿を行っても効果がみられない場合は、膀胱瘻(ぼうこうろう)造設術という手術を行うことがあります。この手術では、医師は腹壁と膀胱をつなぐ開口部を作ります。尿が膀胱からこの開口部を通っておむつの中に排出されます。

尿に高い圧力がかかると、膀胱から腎臓に 尿が逆流 尿の逆流 尿の逆流とは、尿が膀胱から尿管や、ときに腎臓へと逆方向に流れ込むことであり、通常の原因は尿路の先天異常にあります。 それぞれの 腎臓は絶えず血液をろ過して老廃物を除去し、尿を作っています。その後、尿は 尿管を通って緩やかに 膀胱に流れ込みます。そして膀胱から 尿道を通り体外に排出されます。男性では、尿道は陰茎にあります。女性では、尿道は外陰部(女性の外性器の領域)で終わります。... さらに読む することがあります。尿の逆流により、繰り返す尿路感染症、腎障害、またはその両方が起きる可能性があります。腎臓が小さく膀胱の圧力が高い小児には、膀胱の筋肉を緩める薬が投与されたり、カテーテルが挿入されることがあります。これらの処置で効果がみられない場合は、尿失禁(意図しない排尿)を減らし、膀胱の圧力を下げて腎障害が起こらないようにするために、手術が行われることがあります。一部の手術では膀胱を大きくします。しかし、通常は手術後も導尿が必要になります。

膀胱が適切に閉じていない

最初に胎児に膀胱ができた際、正常であれば膀胱が閉じて筋肉でできた袋状の臓器になります。まれに、膀胱が完全に閉じずに腹部の表面に開いた状態になり(膀胱外反といいます)、尿が尿道から出ずに腹壁から漏れ出る場合があります。膀胱外反がある小児には、尿道や外性器(陰茎 男性の生殖器系の構造 男性の生殖器系には、陰茎(ペニス)、陰嚢、精巣、精巣上体、精管、前立腺、精嚢が含まれます。 陰茎と尿道は 泌尿器系と生殖器系の両方に含まれます。 陰嚢、精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺は生殖器系の残りの部分を構成しています。 陰茎(ペニス)は、下腹部の構造と恥骨につながった陰茎根、体外から見える陰茎体、亀頭(円錐形をした陰茎の先端部分)... さらに読む 精巣 男性の生殖器系の構造 男性の生殖器系には、陰茎(ペニス)、陰嚢、精巣、精巣上体、精管、前立腺、精嚢が含まれます。 陰茎と尿道は 泌尿器系と生殖器系の両方に含まれます。 陰嚢、精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺は生殖器系の残りの部分を構成しています。 陰茎(ペニス)は、下腹部の構造と恥骨につながった陰茎根、体外から見える陰茎体、亀頭(円錐形をした陰茎の先端部分)... さらに読む 、または 陰核 女性の外性器 外性器には、恥丘、大陰唇、小陰唇、バルトリン腺、陰核などが含まれます。これらの器官がある部分を外陰部といいます。 外性器は主に以下の3つの機能を担っています。 精子が体内に入るのを可能にする 感染性の微生物から 内性器を保護する 性的な快感を与える さらに読む )の形成異常や、ときには 肛門の異常 肛門直腸奇形 肛門直腸奇形としては、 肛門の開口部が狭い、開口部が皮膚で覆われている、開口部がないなどの異常がみられます。 乳児期から腸閉塞が起きる場合もあります。 診断は身体診察とX線検査の結果に基づいて下されます。 異常を治すための手術が必要です。 肛門は消化管の最後に位置する開口部で、体から便を排泄する場所です。 直腸は、排便時まで便を一時的に貯めておくための袋状の形をした大腸の一部です。肛門直腸奇形があると、肛門があるはずの部分が皮膚で覆われ... さらに読む もみられることがあります。

胎児の発育中に存在する膀胱とへそ(臍)のをつなぐ通路にも同様の疾患が生じます。この通路は尿膜管といいます。正常であれば、この通路は出生前に閉じます。この通路が開いたままの場合(尿膜管開存)、尿がへそから排出されます。

どちらの疾患でも、乳児の尿路感染症のリスクが高まります。必要な場合は、腹部の開口部を閉じて膀胱を修復する手術が行われます。

膀胱憩室

生まれつき、膀胱の壁の一部が袋状に突出した部分(憩室[けいしつ])がみられることがあります。この憩室に尿がたまって、尿路感染症を引き起こすことがあります。憩室を切除して膀胱の壁を再建する手術が行われることがあります。

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