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性器の先天異常

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2017年 4月
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本ページのリソース
  • 性器の異常の原因としては、胎児の発育中に性ホルモンの濃度が異常であったこと、染色体の異常、環境的な要因、遺伝的な要因があります。

  • 外性器が男性か女性かはっきりしない場合があり(性別不明性器)、このような状態は先天性副腎過形成症の女児で最もよくみられます。

  • 性器の性別が不明である乳児の性を判定するため、身体診察、画像検査、染色体を分析するための血液検査を行い、ホルモンの血中濃度を測定します。

  • 性器の異常の多くは手術を必要とします。

  • 性器の性別が不明なまま生まれた新生児の性別を親が決定する前に、考慮するべき要因が数多くあります。

腎臓と尿路の先天異常の概要も参照のこと。)

原因

男性と女性の性器は同じような胚組織から発生します。この組織が男女どちらの性器に発育するかは、いくつかの要因に左右されます。1つの要因は、X染色体またはY染色体と呼ばれる性染色体です。正常な男性はX染色体を1本とY染色体を1本もっています。正常な女性はX染色体を2本もっています。Y染色体をもつ胎児では、胎内での発育の初期に精巣ができ、そこから男性ホルモンの テストステロンが分泌されます。 テストステロンは陰嚢、陰茎、陰茎尿道(陰茎内の尿の通り道)を発育させる仕組みを活性化します。 テストステロンが分泌されない場合(正常な女性の胎児ではそうなります)、性器が陰核大陰唇になり、腟と尿道が分離します。 テストステロンに加えて、発育中の胎児の体内で作られて、性器の発育のコントロールを助ける物質が他にもあります。

性器の発育を妨げる可能性がある要因として以下のものがあります。

  • 遺伝子(体の機能を指示するDNAの配列)の異常または欠失

  • 性器の発育を妨げる物質(特定の薬やホルモンなど)に胎児がさらされる

これらの要因の多くに共通してみられる問題は、出生前の胎児の性ホルモン値が異常になることであり、特に女児の テストステロン(または テストステロン様物質)過剰や男児の テストステロン不足が一般的です。

性器の異常を引き起こす病気によって、他の臓器にも異常が生じることがあります。

症状

性器の見た目に異常があっても、男性のものか女性のものかがはっきりしていることがあります。そのような男児にみられる異常としては、尿道口の異常(例えば、陰茎の底部や、まれに陰茎の上側にある)、陰茎の形状の異常(尿道索)、停留精巣などがあります。女児にみられる異常としては、処女膜の開口部の欠損(処女膜閉鎖症)や、腟の欠損または短縮などがあります。

他の異常の結果として、性器が男性のものか女性のものかがはっきりしなくなります。これらは性別不明性器と呼ばれます。女児でみられる性別不明性器の最も一般的な原因は先天性副腎過形成症です。先天性副腎過形成症は遺伝性の副腎の異常で、副腎が テストステロンを過剰に分泌するようになります(健康な女児の副腎が自然に分泌する テストステロンはごく少量です)。

性器の異常がある小児には、排尿の問題がみられることがあります。後に、性交を行うのが困難になったり、不妊や社会的・精神的な問題が生じたり、それらが複合して現れることがあります。

知っていますか?

  • 生まれた小児の性器が男性か女性かはっきりしないことがあります。

診断

  • 身体診察

  • ときに超音波検査やMRI検査などの画像検査

  • ときに、染色体の分析とホルモン濃度の測定を行うための血液検査

医師は性器の身体診察を行い、他の先天異常がないか調べます。

多くの場合、精巣、卵巣、腟の有無を確認するために超音波検査や、ときにMRI検査を行います。異常を発見するために、内視鏡を用いて尿道口や腟の中を観察することもあります。これらの検査の結果がはっきりしない場合は、腹腔鏡検査を行って内視鏡で腹腔内を観察することがあります。

通常は、乳児がどの性染色体をもっているかを調べ、ホルモン濃度を測定するために、血液検査を行います。

治療

  • 性器の異常に対して、手術

  • 性別不明性器に対して、性別を決定する手術およびホルモンの投与

性器の異常がある小児のほとんどでは、異常を是正するための手術が必要です。一部の軽微な異常には手術は不要です。

性器の性別が不明な小児は、どこかの時点で性を決定する必要があります。小児の性染色体(すなわち、XX染色体をもつ遺伝学上の女性であるかXY染色体をもつ遺伝学上の男性であるか)は重要な要因ですが、他の点も考慮しなければなりません。例えば、胎児が子宮内でさらされたホルモンが大きな影響を与えることがあります。しかし、小児が十分成長し、どちらかの性として振る舞うようになるか、自分をどちらかの性であると考える(ジェンダーアイデンティティ)ようになるまで、この影響は明らかにならないこともあります。小児の行動やジェンダーアイデンティティは遺伝学上の性と必ずしも一致しないため、性別の決定を早期にしすぎないことが重要です。乳児期に必ず性別を決定しなければならないわけではないため、待つことに害はありません。小児科医、内分泌医(ホルモンの病気の専門医)、遺伝専門医、泌尿器科医、および場合により精神科医で構成される集学的ケアのチームは、この困難な決定に直面する患児の親に助言をすることができます。

性別を決定した後、手術が行われ、小児にホルモンが投与されます。生涯にわたってホルモンの投与を受け続けなければならないこともあります。

女性の性器の異常

女性の性器の異常にはいくつか原因がありますが、その大半では出生前に胎児の血液中の性ホルモン量が異常であることが関与しています。

女児にみられる主な性器の先天異常としては以下のものがあります。

まれに、腟の欠損や短縮がみられることがあります。

性器の先天異常を診断するために、医師は身体診察と検査を行います。

女性の外性器

女性の外性器

先天性副腎過形成症

先天性副腎過形成症は、女児にみられる性別不明性器の最も一般的な原因です。先天性副腎過形成症は副腎(副腎は左右の腎臓の上にある腺で、数種類のホルモンを分泌します)の遺伝性疾患です。この病気では、コルチゾールなど、生命を維持する特定のホルモンの分泌を助ける酵素が副腎にみられません。その代わりに、副腎がコルチゾールを作るために使う構成成分になる化学物質がテストステロンなど、男性ホルモンに変わってしまいます。

女の乳児では、こうして蓄積した テストステロンによって、男性の特徴が現れるようになります(男性化)。最も重度である女の乳児は、外見が男児のようになり、正常な陰茎と陰嚢に見えるものを備えています。この陰茎は実際には陰核が テストステロンによって成長を刺激されたものです。この陰嚢は実際には両側の陰唇が融合して成長したものです。しかし、陰嚢に見えるものの中に精巣はありません。乳首や性器も黒ずんでいます。

男の乳児では、過剰な テストステロンが性器の外見に影響を及ぼすことはありません。しかし、後の小児期に、陰茎や陰毛の発育が正常より低い年齢で始まります(思春期早発)。

男児と女児の両方で、副腎が正常な副腎ホルモンを十分に作れないため、生命を脅かす症状が現れます。乳児に血液中の電解質(ナトリウムやカリウムなどのミネラル)の重篤な異常がみられたり、重度の脱水に陥る可能性があります。

通常は、副腎ホルモンの不足による脱水と電解質異常を治療するために、男女の乳児に静脈からの輸液とコルチコステロイドの投与が必要です。

女児の場合は、手術(性別を決定する手術)とホルモン補充が必要になることがあります。

処女膜閉鎖症

処女膜は腟の開口部にある薄い膜です。通常、処女膜は開口部の一部だけを覆っています。しかし、一部の女児は生まれつき、処女膜によって腟の開口部が完全に閉じていることがあります(処女膜閉鎖症)。腟の開口部が閉じているため、腟の分泌液が体外に排出されません。この問題は女児が幼い頃には発見されず是正されないことがあるため、生理が始まった際に血液が外に出ないことがあります。そのような場合、経血が腟の中にとどまるために痛みが生じることがあります。

処女膜閉鎖症の女児には、処女膜を開く小規模な手術が行われます。

陰唇癒合

陰唇は、腟の開口部にある唇状の肉質の組織です。陰唇癒合は、陰唇がくっついた状態です。この癒合は典型的には小児期(たいていは2歳頃)に起こりますが、それより早いことも遅いこともあります。陰唇癒合は、たいていは症状を引き起こさず、自然に治癒することがよくあります。症状を引き起こす場合、通常の原因は腟の中にたまった尿で、それが刺激、感染、尿の漏れの原因になります。

症状を引き起こす陰唇癒合がある女児には、エストロゲンを含有するクリームが投与されます。あるいは、医師が診察室または手術室で癒合を分離させて開くこともあります。陰唇癒合は再発することがよくあります。再発を予防するために、別のクリーム剤を毎日数回塗り、癒合の再発の原因になる刺激から患部を保護します。症状を引き起こさない癒合でも、経血が適切に排出されるように、思春期までに分離させて開きます。

男性の性器の異常

性器の異常にはいくつか原因がありますが、その大半では出生前に胎児の血液中の性ホルモン量が異常であることが関与しています。

陰茎の異常は、男児が立った状態で尿の方向を操る能力を妨げることがあります。高齢の男性では、この異常によって精子を送り届ける能力が阻害されることや(妊よう性が低下する可能性があります)、性交する能力が阻害されることがあります。これらの異常は、その見た目のために自尊心の問題も引き起こす可能性があります。

男児にみられる一般的な性器の先天異常としては以下のものがあります。

生まれた男児の性器が男性か女性かはっきりしないことがあります(性別不明性器)。男児の性別不明性器の一般的な原因は、妊娠初期の テストステロン不足です(小児の男性性腺機能低下症も参照)。

性器の先天異常を診断するために、医師は身体診察と検査を行います。

男性生殖器

男性生殖器

尿道下裂

尿道下裂では、以下のように尿道(尿が膀胱から体外に排出される際に通過する管)の開口部が陰茎の下面にあります:

  • 軽度の尿道下裂:開口部が陰茎の先端の正常な位置のすぐ下にあります。

  • 中等度の尿道下裂:開口部が陰茎体のどこかにあります。

  • 重度の尿道下裂:開口部が陰嚢または陰嚢と肛門の間にあります。

重度の尿道下裂がある男児は、尿が下方にまき散らされるため、排尿のために座らなければならないことがあります。尿道下裂がある男児には、尿道索(陰茎が下方向に曲がった状態)という別の異常がみられたり、包皮の発育が不十分で陰茎の上面にある包皮が下側を完全に覆わないこと(陰茎が頭巾に覆われているように見えるため、頭巾状の包皮[hooded foreskin]と呼ばれます)がよくあります。尿道下裂が重度であるほど、尿道索と包皮の異常も重度になります。

尿道下裂がある新生児の包皮を切除する(包皮環状切除術)前に、親は泌尿器科医(尿路や男性生殖器系の病気の診断と治療を専門とする医師)に相談するべきです。尿道下裂を是正する手術を行う際に、包皮の組織が必要になることがあります。

軽度の尿道下裂には治療が不要なことがあります。それ以外の場合は通常、生後6カ月頃に異常を是正する手術を行います。多くの場合、手術は外来で行うことができます(入院する必要がありません)。

尿道上裂

尿道上裂では、尿道の開口部が陰茎の先端ではなく上側にあります。尿道上裂がある小児は尿を漏らすことがあります(尿失禁)。最も重度の尿道上裂がある男児には、膀胱外反という別の異常もよくみられます。膀胱外反では、膀胱が完全に閉じておらず、腹部の表面へと開いているため、尿が尿道ではなく開いた膀胱から漏れます。

尿道上裂を是正するために手術が行われます。

異常に小さい陰茎(小陰茎)

男児では陰茎が異常に小さいことがあります。この異常は小陰茎と呼ばれます。小陰茎は、男性ホルモンのテストステロンの量が十分でない男児にみられます。

このホルモンが不足している男児には、テストステロンが補充投与されます。

尿道索

尿道索とは陰茎が弯曲した状態です。陰茎が上、下、左右に曲がっていたり、ねじれていることがあります。弯曲によって、男児が排尿時に尿の方向を操る能力に影響が生じることがあります。

弯曲が重度でない場合は、手術で是正する必要がないことがあります。弯曲が重度の場合は、手術が必要になることがあります。性交する能力に影響を及ぼすと考えられる場合や、外見上の理由から、尿道索を是正することを選択できます。

陰茎のその他の異常

男児の陰茎小帯(包皮の下にある組織で、亀頭を覆う包皮を引っ張るのを助けます)が生まれつき非常にきついことがあります。陰茎小帯がきついと、陰茎の先端を覆う包皮を完全に後方に引っ張れないことがあります。勃起中に包皮が後方に引っ張られた際に痛みや出血が生じることもあります。

症状を治療するために、患者が成長してから陰茎小帯を手術で切除したり切開したりすることがあります。

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