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停留精巣と移動性精巣

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2017年 4月
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停留精巣(潜在精巣)とは、陰嚢(いんのう)の中に下りてくるはずの精巣が腹部にとどまったままになっている状態です。移動性精巣(遊走精巣)とは、精巣が陰嚢の中まで下りてきているにもかかわらず、刺激に反応して容易に鼠径管(そけいかん)の中に戻ってしまう(移動する)ことです。

胎児では精巣は腹部の中で発育します。精巣が発育した後、一般的には出生前(通常は第3トリメスター[訳注:日本のほぼ妊娠後期に相当])に腹部の開口部から会陰部の通路(鼠径管)を通って下降し、陰嚢の中へと入ります。精巣が下降した後、通常は腹壁の開口部が閉じます。開口部が完全に閉じないと、鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアとは、太ももの付け根(鼠径部)にある腹壁の開口部から、腸管や他の腹部臓器の一部が突出した状態のことをいいます。 鼠径部または陰嚢(いんのう)に痛みのない膨らみができます。 診断にはCT(コンピュータ断層撮影)検査または超音波検査を使用できます。 女性の場合、症状がある場合、または絞扼(こうやく)や嵌頓(かんとん)がみられる場合は、手術が行われます。 (消化管救急疾患の概要を参照のこと。) さらに読む 鼠径ヘルニア が発生する可能性があります。腹部からの体液が精巣の周囲にたまり、開口部が閉じた後に陰嚢の中にとどまることがあります。このとどまった体液は陰嚢水腫という軟らかいしこりになり、通常は生後1年以内になくなります。

停留精巣

正期産(9カ月)で生まれた男児100人のうち約3人の割合で、出生時に停留精巣がみられます。しかし、未熟児として生まれた男児では100人のうち約30人に停留精巣がみられます。停留精巣があった家族がいる男児でも、この状態にある可能性が高まります。精巣が下降しないのは通常は片方だけですが、約10%の患者で両方の精巣が下降しません。

停留した精巣はたいてい鼠径管にありますが、腹腔内にあることもあります。約3分の2の停留精巣が、正期産児では生後4カ月までに、未熟児では未熟児でなかった場合に出生が予定されていた日から4カ月経過するまでに、自然に下降します。精巣が出生時に腹腔内にとどまっていた場合は、自然に下降する可能性がはるかに低くなります。

停留精巣

停留精巣

停留精巣が症状を引き起こすことはほとんどありません。しかし、停留した精巣によって成長後の精子の産生が妨げられ、精巣腫瘍 精巣腫瘍 精巣腫瘍は若い男性によくみられますが、通常は治癒させることが可能です。 通常は痛みのないしこりができます。 超音波検査と血液検査を実施します。 精巣を除去し、放射線療法または化学療法を行う場合や、さらに手術を行う場合があります。 精巣腫瘍の多くは40歳未満の男性に発生します。この腫瘍は若い男性に多い悪性腫瘍の1つで、毎年約8850人の男性に発生し、約410人が死亡しています。精巣に多くみられる悪性腫瘍には、セミノーマ(精上皮腫)、奇形腫... さらに読む 精巣腫瘍 のリスクが高まることがあります。腹腔内に停留した精巣は、ねじれて(精巣捻転 精巣捻転 精巣捻転(せいそうねんてん)とは、精巣が回転して精索がねじれてしまった状態で、精巣への血流が妨げられます。 精巣捻転が起きると、激しい痛みが突然起きた後、捻転が起きた側の精巣が腫れ上がります。 精巣捻転の診断には、医師による診察のほか、ときに超音波検査が必要になります。 治療は精巣のねじれを解除することです。 精巣捻転は通常、12歳から18歳くらいの男児に起こり、ときに乳児期にも起こりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。精巣を覆... さらに読む )重度の痛みを引き起こすことがあります。停留精巣がある新生児のほとんどで鼠径ヘルニアもみられます。

医師は、出生時と毎年の小児健診 小児の健診 定期的に健康診断を受けると、小児の成長と発達についての情報が得られます。このような定期健診は、例えばトイレトレーニング( トイレトレーニング)について、親が質問をしたり助言を求める機会でもあります。米国小児科学会では、生後1年以降、1歳、1歳3カ月、1歳半、2歳、2歳半に健診を受け、その後は6歳まで年に1回健診を受けるよう推奨しています。その後は、8歳と10歳のときに健診を受けるよう推奨しています。医師の指導がある場合や、家族が必要を感... さらに読む 小児の健診 の際に陰嚢を診察して精巣がないか調べます。片方または両方の精巣に触れられない場合、精巣が単純に鼠径管の中へ引っ込んでいる状態(移動性精巣 移動性精巣 停留精巣(潜在精巣)とは、陰嚢(いんのう)の中に下りてくるはずの精巣が腹部にとどまったままになっている状態です。移動性精巣(遊走精巣)とは、精巣が陰嚢の中まで下りてきているにもかかわらず、刺激に反応して容易に鼠径管(そけいかん)の中に戻ってしまう(移動する)ことです。 胎児では精巣は腹部の中で発育します。精巣が発育した後、一般的には出生前(通常は第3トリメスター[訳注:日本のほぼ妊娠後期に相当])に腹部の開口部から会陰部の通路(鼠径管)... さらに読む を参照)ではないことを確認します。停留精巣のほとんどは乳児期に診断されますが、その後の小児期、たいていは成長スパート以降に診断されることもあります。精巣が陰嚢の中にない場合、泌尿器科医(尿路や男性生殖器系を専門とする医師)による診察が必要です。

生後4~6カ月までに精巣が下降しなければ、手術が必要です。精巣の位置によっては、開腹手術か腹腔鏡手術(内視鏡で腹腔内を観察します)を行うことによって精巣を陰嚢内へと下降させることができます。

停留精巣がある小児は精巣腫瘍の発生リスクが高いため、思春期以降は月1回、精巣の自己検診を行う必要があります。

移動性精巣

移動性精巣(遊走精巣)とは、陰嚢の中に下りてきた精巣が陰嚢と鼠径管の間で容易に行ったり来たりする状態です。精巣が接触、温度、恐怖、または笑いに対する反射として上に移動します。このような反応はよくみられ、乳児や小児では特に多くみられます。移動性精巣が、がんやその他の合併症を引き起こすことはありません。

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