のどの内部の構造
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若年性血管線維腫は、青年期の男子に最も多くみられます。この腫瘍には血管が多く分布しています。ゆっくりと大きくなり、脳の周囲や眼窩へと広がっていくことがあります。
典型的には、この腫瘍は鼻づまりや頭痛を引き起こし、しばしば 鼻出血 鼻血 鼻血を起こしやすい人もいれば、めったに起こさない人もいます。血がポタポタとしたたる程度の場合もあれば、勢いよく流れ出る場合もあります。血を飲み込んでしまうと、血が胃を刺激するため、その血を吐いてしまうことがよくあります。飲み込まれた血が消化管を通過し黒いタール状の便として認められる場合があります。... さらに読む を伴い、鼻出血は非常に重度になる場合もあります。顔がむくんだり、眼球が突出したりすることがあります。腫瘤(こぶ)が鼻から突出したり、鼻が変形したりする場合もあります。腫瘍がゆっくりと大きくなる場合は、症状がほとんどないことがあります。
診断
CT検査とMRI検査
しばしば血管造影検査
医師は、症状に基づいて若年性血管線維腫を疑います。
診断を確定するために、 CT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む や MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるよう... さらに読む
などの画像検査が行われます。
血管造影 血管造影 血管造影検査は、X線を用いて血管の詳細な画像を描出する検査で、 CT血管造影検査や MRアンギオグラフィー検査と区別するために「従来の血管造影」と呼ばれることもあります。血管造影の撮影を行いながら、医師が血管の異常を治療することも可能です。血管造影は体に負担をかける検査法ですが、それでも比較的安全です。 血管造影では静止画像だけでなく動画(シネアンギオグラフィーといいます)も撮影でき、血液が血管内を流れる速さを測ることも可能です。(... さらに読む (静脈の輪郭を描出するために造影剤を注射してから行う血管のX線検査)という別の画像検査がしばしば行われます。腫瘍の血管を手術の前にふさいで(塞栓術)、出血を減らすことができるようにするための検査です。
腫瘍の部分生検が行われることがありますが、重度の出血が生じる可能性があるため、通常は避けられます。
治療
外科的切除およびときに放射線療法
通常は、手術で腫瘍を切除します。
ときに放射線療法も行われ、特に腫瘍の完全な切除が難しかったり不可能だったりする場合や、腫瘍が再発する場合に用いられます。