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小児の聴覚障害

執筆者:

Udayan K. Shah

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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本ページのリソース
  • 難聴は通常、新生児では遺伝子異常、年長児では耳の感染症や耳あかが原因です。

  • 小児が音に反応しなかったり、言葉をうまく話せなかったり、話し始めるのが遅かったりする場合は、聴覚に障害があることがあります。

  • 新生児の聴覚の検査では音に対する脳の反応を計測する手持ち式の装置や検査が用いられ、年長児の検査では様々な技法が用いられます。

  • 可能な場合は原因に対して治療が行われますが、通常は補聴器が必要です。

  • 補聴器で効果がない場合は、人工内耳がときに助けになります。

小児では聴覚障害は比較的よくみられます。小児の約1.9%に聴覚の問題があり、難聴のスクリーニングを受けた小児1000人につき1人以上の割合で、症状の有無にかかわらず永久的な難聴が見つかります。

聴覚障害は男児にわずかに多くみられます。聴覚障害に気づかず治療を行わなかった場合、小児の言葉を話す能力や理解する能力が著しく損なわれることがあります。言語能力が損なわれると、学校でうまくやっていけなかったり、周囲にからかわれたり、社会的に孤立したり、情緒面で問題を抱えたりする可能性があります。

原因

新生児の聴覚障害で最も一般的な原因は遺伝子異常です。

乳児や年長児の聴覚障害で最も一般的な原因は、 滲出性中耳炎 小児の滲出性中耳炎 滲出(しんしゅつ)性中耳炎は、鼓膜の奥に滲出液がたまり、それが急性中耳炎または耳管の閉塞の後に残る状態です。 通常は過去の耳の感染症が原因ですが、耳管閉塞の結果として発症する小児もいます。 痛みはありませんが、滲出液によって聴覚が損なわれる可能性があります。 診断は、鼓膜の身体診察と、ときにティンパノメトリー検査によって下されます。 滲出性中耳炎は通常治療しなくても治りますが、鼓膜への換気チューブの設置手術が必要になる場合もあります。 さらに読む などの耳の感染症や 耳あかの蓄積 外耳道の閉塞 外耳道が耳あか(耳垢)、かさぶた、異物、または虫によって閉塞することがあります。患者(特に小児)が、ビーズ、消しゴム、豆などの異物を外耳道に入れて閉塞が起こることがあります。 耳の閉塞は、以下の症状を引き起こすことがあります。 かゆみ 痛み 耳閉感(耳が詰まった感じ) さらに読む です。年長児ではこのほかに、頭部損傷、大きな音(大音量の音楽など)、 特定の薬剤の使用 薬を原因とする耳の障害 耳に損傷を与える可能性がある薬(聴器毒性のある薬)はたくさんあります。具体的には、抗菌薬のストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン、バンコマイシン、がんに対する一部の化学療法薬(例えばシスプラチン)、フロセミド、アスピリンなどがあります。 薬の聴器毒性が発生するかどうかは多くの要因によって左右され、具体的には以下のものがあります。 薬を服用した量(用量)... さらに読む (アミノグリコシド系抗菌薬やサイアザイド系利尿薬など)、一部のウイルス感染症( 流行性耳下腺炎[ムンプス、おたふくかぜ] ムンプス(おたふくかぜ) ムンプスとは、唾液腺が痛んで腫れる、感染力の強いウイルス感染症です。精巣、脳、膵臓を侵すこともあり、特に成人ではその傾向があります。 ムンプスの原因はウイルスです。 症状としては、悪寒、頭痛、食欲減退、発熱、けん怠感などがあり、その後唾液腺が腫れます。 診断は典型的な症状に基づいて下されます。 たいていの小児は問題なく回復しますが、髄膜炎や脳炎が起きることもあります。 さらに読む ムンプス(おたふくかぜ) など)、 腫瘍 耳の腫瘍 耳の腫瘍には、がんではない良性腫瘍と、がんである悪性腫瘍があります。耳の腫瘍の大半は、本人が自分で見て気づくか、聴力の低下に気づいて医師が患者の耳を見た際に見つかります。 良性腫瘍が外耳道にできると、外耳道がふさがり、難聴と耳あかの蓄積が生じます。そうした腫瘍には以下のものがあります。 表皮封入嚢胞(脂腺嚢腫などとも呼ばれます):皮膚の分泌物が詰まった小さな袋 骨腫と外骨腫:良性の骨腫瘍... さらに読む 、鉛筆などの 異物が耳に深く刺さるけが 耳に入った異物 耳に入った異物は、滅菌した水や生理食塩水で外耳道を洗い流す、吸引器やピンセットなどの器具を使うといった方法で取り除くことができます。異物が簡単に取り除けない場合、耳鼻咽喉科医への紹介が必要である可能性が高くなります。深刻な損傷が生じる可能性があるため、異物を耳道の中にさらに押し込んではいけません。耳に虫が入った場合、それを取り除くために、医師は麻酔薬や鉱油を耳に注入して、虫を殺し、痛みを止めて取り除きやすくすることがあります。幼く怖がっ... さらに読む 、また、まれに自己免疫疾患などが原因として挙げられます。

小児の聴覚障害の危険因子

知っていますか?

  • 小児が話しかけられた際に、常にではないものの相手を無視することがある場合は、聴覚が障害されている可能性があります。

症状

小児が音に反応しない場合や、言葉をうまく話せなかったり、話し始めるのが遅かったりする場合、親が重度の聴覚障害を疑うことがあります。

それほど重度ではない聴覚障害の場合は、より理解されにくく、親や医師が誤った解釈をする以下のような行動につながることがあります。

  • 話しかけられた際に、常にではないものの相手を無視することがある。

  • 軽度ないし中程度の聴覚障害によって、教室の騒音の中でだけ問題が生じている可能性があるために、家ではよく話し、聞き取ることができるが、学校ではそれができない。

一般に、ある状況下では問題なく発達していても、別の状況に置かれると社会性、行動、言語能力、学習に問題が生じる場合には、聴覚障害のスクリーニング検査を受ける必要があります。

スクリーニングと診断

  • 新生児に対しては通常のスクリーニング検査

  • より年長の小児に対しては、医師の評価およびティンパノメトリー検査

  • 画像検査

聴覚は小児の発達にとても重要な役割を果たすため、多くの医師が、すべての新生児に生後3カ月までに聴覚障害の検査を受けることを推奨しています。この検査は、米国では多くの州で法律により義務づけられています。

ほとんどの州では、新生児の聴覚障害を検出するための スクリーニング検査 新生児スクリーニング検査 出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もしばしば追加されます。 典型的なスクリーニング検査には以下のものがあります。... さらに読む を義務づけています。新生児は通常、2段階に分けてスクリーニング検査を受けます。まず、手持ち式の装置から生じた微弱なクリック音に反応して健康な耳から出る反響音があるかどうかを検査します(誘発耳音響放射検査)。この検査で新生児の聴覚に問題がありそうな場合は、音に反応して脳から送られる電気信号を測定するために次の検査(聴性脳幹反応検査[ABR])を受けます。ABR検査は痛みを伴わない検査で、通常は新生児が眠っている間に行います。どの年齢の小児でも受けられます。このABR検査で異常がみられた場合は1カ月後に再検査します。再検査でも難聴がみられた場合には、補聴器の使用が適していることがあり、聴覚障害児のための専門的な環境で教育を受けることが有益な場合もあります。

年長児の聴覚障害を診断するためには、以下のようないくつかの方法が用いられています。

  • 小児の発達に遅れがないか調べるための質問や、言語能力や話す力の発達に関する親の懸念を評価するための質問を行う

  • 耳に異常がないか診察する

  • 生後6カ月から2歳の小児の場合、様々な音に対する反応を検査する

  • ある範囲の周波数に対する鼓膜の反応検査( ティンパノメトリー検査 検査 )を行う(中耳に液体が存在するかどうかが分かることがある)

  • 2歳以上の小児の場合、簡単な指示に従わせたり(通常は言葉を耳で聞いて理解しているかどうかが分かる)、イヤホンを使った音への反応検査を行う

難聴の原因を特定し、予後の予測に役立てるために、しばしば画像検査が行われます。 大半の小児に対しては、 MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 が最初に行われます。 骨の異常が疑われる場合は、 CT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 が行われます。

治療

  • 可能であれば、原因の治療

  • 補聴器または人工内耳

  • 手話

難聴の原因が治療可能である場合、治療すると聴覚が回復する可能性があります。例えば、耳の感染症は抗菌薬や手術で治療でき、耳あかは手作業で除去したり点耳薬で溶かすことができ、真珠腫は手術で切除可能です。

ほとんどの場合は小児の難聴の原因は治療できず、治療としては補聴器を使って聴力をできる限り補います。

補聴器 補聴器 難聴の原因の多くは治癒しません。その場合、治療としては可能な限り聴力を補助します。中等度から高度の難聴の場合には、大半の人が補聴器を使用します。高度から重度の難聴の場合は人工内耳が非常に役立ちます。 補聴器による音の増幅は、伝音難聴と感音難聴のどちらにも有用です。ただし残念ながら、補聴器は正常な聴力を回復するわけではありません。それでも補聴器があればコミュニケーション能力が大きく改善し、音が聞こえる喜びを得ることができます。... さらに読む 補聴器 は乳児でも年長児でも利用できます。難聴が軽度か中等度の場合、または片耳だけの場合は、補聴器かイヤホンが使用できます。片耳だけに聴覚障害がある場合は、正常な耳に装着した補聴器に教員の声を送信する FM補聴システム 小児の治療 米国では、人口の10%以上に日常のコミュニケーションに影響を及ぼすある程度の難聴があり、最も一般的な感覚障害となっています。発生率は年齢とともに上昇します。永続的な難聴がある18歳以下の小児は2%未満ですが( 小児の聴覚障害)、乳児期と幼児期の難聴は、言語と社会性の発達に支障をきたすことがあります。65歳以上では3分の1以上、75歳以上で... さらに読む が役立ちます。

補聴器:音を増幅する装置

耳かけ型の補聴器は最も高い増幅能力がありますが、見た目はよくありません。耳穴型は高度の難聴に最適です。調節は簡単にできますが、電話で使うには支障があります。カナル型(ITC)は軽度から中等度の難聴に用いられます。このタイプは装着していても比較的目立ちませんが、電話での会話にはやはり問題があります。完全外耳道挿入型(CIC)は、軽度から中等度の難聴に用いられます。音質が良く、ほとんど目につかず、電話での使用にも問題はありません。外すときには装置に付いた細いひもを引っぱります。しかし最も高価であり、一部の人にとって調節が難しいことがあるタイプです。

補聴器:音を増幅する装置

耳の聞こえない聾(ろう)の人たちには、自分たちの築いてきた豊かな文化や聴覚に代わるコミュニケーションの方法を誇る気持ちがあります。重度の聴覚障害を手術で治療すると、ろう者のコミュニティに小児が参加できなくなる可能性があるという理由から、手術に反対するろうの人も多数存在します。家族がこのような治療に反対する方針を考えたいと望んでいる場合は、そのことについて医師と話し合う必要があります。

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