幼児における中耳の感染症の概要も参照のこと。)
原因
慢性中耳炎は、急性中耳炎(通常は数回)、耳管(中耳と鼻腔をつなぐ管)の閉塞、耳の挫滅損傷もしくは穿通性の損傷、熱傷、化学熱傷、爆発による負傷が原因で起こることがあります。 加えて、ダウン症候群や5p欠失症候群などの染色体異常症による頭部や顔面の異常がある小児と、口蓋裂がある小児では、慢性中耳炎のリスクが高くなっています。
慢性中耳炎は、かぜなどの鼻やのどの感染症の後や、鼓膜に穿孔のある小児やチューブが留置されている小児で入浴や水泳の際に中耳に水が入った後などに再燃することがあります。通常、再燃すると膿が耳から出てきますが、痛みはありません(耳だれを参照)。この膿は強い悪臭を放つことがあります。
合併症
再燃が長引くと、以下を引き起こすことがあります。
ポリープとは、滑らかな表面をした良性の(がんではない)腫瘍で、中耳から突き出てきて、鼓膜にあいた穴を通って外耳道へと伸びてきます。
感染が長引くと、鼓膜と内耳をつなぎ音を外耳から内耳へ伝える中耳の骨(耳小骨)の一部が破壊され、難聴が生じることもあります。
真珠腫とは、中耳の中にできる白い皮膚様物質の良性の(がんではない)腫瘤です。真珠腫によって、近くの骨や軟部組織が破壊されることがあり、最終的に顔面神経麻痺や脳内または脳と頭蓋骨の間の膿瘍などの合併症が起こることがあります。
症状
診断
治療
医師は、まず耳からかすをすべて除去します。抗菌薬と場合によりコルチコステロイドを含んだ点耳薬を親が点耳します。重度の感染症にかかった小児には、内服の抗菌薬が投与されます。
抗菌薬を使用しても感染症が持続したり、再発したりする場合、しばらくしてから医師が鼓膜切開術と鼓膜チューブの留置を行うことがあります。鼓膜が損傷している場合には、鼓膜を修復する手術(鼓室形成術)が行われることがあります。
真珠腫は手術で切除します。