腱は、丈夫な帯状の結合組織であり、筋肉の両端を骨につなぎ留めています。腱炎とは、腱の炎症です。(遺伝性結合組織疾患の概要 小児における結合組織疾患の概要 結合組織は頑丈で、その多くは線維性であり、互いに結合して体の構造を支えるとともに、弾力性をもたらしています。 筋肉、 骨、軟骨、 靱帯、 腱は、ほとんどが結合組織からできています。ほかには皮膚や内臓などにも結合組織があります。結合組織の特徴や含まれる細胞の種類は、体のどこに位置する組織かによって異なります。結合組織は、重さや張力に耐えられ... さらに読む も参照のこと。)
典型的には、10~13歳の小児に発生します。原因は、フィギュアスケートやバスケットボール、バレーボールなど、ジャンプしたり繰り返し膝を使ったりする必要がある運動による損傷です。膝の使いすぎによって、膝蓋骨の下の腱に微細な裂け目と炎症が起こります。
この病気は、膝関節の痛みと、膝蓋骨の下の腱に圧痛を引き起こします。階段を昇ったり、ジャンプしたり、膝を曲げたりする際に、膝を伸ばしたときに痛みが最も強くなります。
膝蓋腱炎の診断は病歴と身体診察の結果に基づいて下されますが、損傷の程度を観察するために MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるよう... さらに読む が行われることがあります。
痛みを和らげるために、患児は運動競技を変更するよう指導され、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を服用し、 理学療法 理学療法 (PT) 理学療法は、 リハビリテーションの中心となるもので、運動療法と整体を行います。関節や筋肉の機能を改善し、患者がより容易に立ち、バランスをとり、歩き、階段を昇れるようにします。理学療法では以下のような訓練が行われます。 関節可動域訓練 筋肉強化運動 協調・バランス運動訓練 歩行訓練 さらに読む を行います。持続的な痛みに対する治療として、手術で修復することがありますが、通常は必要ありません。