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弾性線維性仮性黄色腫

執筆者:

Frank Pessler

, MD, PhD, Helmholtz Centre for Infection Research

レビュー/改訂 2020年 10月
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本ページのリソース

弾性線維性仮性黄色腫は、皮膚、眼、血管に異常が生じる、まれな遺伝性結合組織疾患です。

結合組織は頑丈で、その多くは線維性であり、互いに結合して体の構造を支えるとともに、弾力性をもたらしています。

弾性線維性仮性黄色腫では、伸びた組織が再び元に戻るようにする結合組織の線維(弾性線維)が硬くなります。弾性線維は皮膚や全身の様々な組織にあり、血管もその中に含まれます。血管が硬くなると、正常な拡張能力を失い、必要なだけの血液を流せなくなることがあります。さらに、血管の収縮も妨げられます。

症状

首、わきの下、脚の付け根、へその周りの皮膚が、やがて厚くなって溝ができ、柔軟性を失い伸びた状態になります。黄色がかったぶつぶつの隆起ができて、皮膚がミカンの表面や羽毛をむしりとられたニワトリの皮のようになります。見た目の変化は、小児が幼いうちは軽度で見逃すことがありますが、成長するにつれ目立つようになります。

弾性線維性仮性黄色腫の合併症

血管が硬くなると、 高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む 高血圧 などの合併症が起こります。 鼻血 鼻血 鼻血を起こしやすい人もいれば、めったに起こさない人もいます。血がポタポタとしたたる程度の場合もあれば、勢いよく流れ出る場合もあります。血を飲み込んでしまうと、血が胃を刺激するため、その血を吐いてしまうことがよくあります。飲み込まれた血が消化管を通過し黒いタール状の便として認められる場合があります。... さらに読む がでたり、脳、子宮、腸の中で出血したりすることがあります。出血が長く続くこともあります。 血液の流れが悪くなると、胸痛(狭心症 狭心症 狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)に供給される酸素が不足するために胸部に一時的な痛みや圧迫感が起きる病気です。 狭心症の人では通常、胸骨の後ろの部分に不快感や圧迫感がみられます。 典型的には狭心症は運動時に発生し、安静にしていると回復します。 狭心症の診断は、症状と心電図検査および画像検査の結果に基づいて下されます。 治療法には、硝酸薬、ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬の投与や、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術などがあります。 さらに読む )、 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。心臓発作とは、血液供給がなくなることにより心臓の組織が壊死する病気です。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。... さらに読む 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 、歩行時の脚の痛み(間欠性跛行 症状 症状 )が生じることがあります。小児は若年で 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む 動脈硬化 (動脈への脂肪性物質の沈着)を発症することがあります。

眼球の後部にある網膜が損傷を受けると、網膜に小さな裂け目ができ(網膜色素線条症)、出血して徐々に視力が低下することもあります。

診断

  • 医師による評価

  • 血液検査、画像検査、皮膚生検

弾性線維性仮性黄色腫の診断は、身体診察と眼の診察の結果および皮膚生検(組織のサンプルを採取して顕微鏡下に調べる検査)の結果に基づいて下されます。

予後(経過の見通し)

弾性線維性仮性黄色腫に対する根治的な治療法はなく、異常な結合組織を正常に戻す方法もありません。合併症によって、余命が短くなることがあります。

治療

  • 合併症とけがの予防と治療

弾性線維性仮性黄色腫には根治的な治療法がないため、治療は合併症とけがの予防および治療を目的として行われます。アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗凝固薬(例、ワルファリン)など、胃や腸に出血を引き起こすおそれがある薬の服用は避けるべきです。早期の動脈硬化やその他の血管の合併症の発生リスクを減らすため、血液中の脂肪(脂質)の濃度は 食事や場合によっては薬で十分にコントロールする 治療 脂質異常症とは、 脂質(コレステロール、中性脂肪[トリグリセリド]、または両方)の濃度が高いか、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールの濃度が低い状態をいいます。 生活習慣、遺伝、病気(甲状腺ホルモン低値や腎疾患など)、薬、またはそれらの組合せが影響します。 動脈硬化をもたらし、狭心症、心臓発作、脳卒中、末梢動脈疾患の原因になります。 中性脂肪と各種コレステロールの血中濃度が測定されます。... さらに読む 治療 必要があります。

血管の成長を抑える薬(例、ベバシズマブ)による治療は、眼の網膜色素線条症(血管様の線状病変)がある場合に役立つことがあります。

人と接触するスポーツは眼にけがをするリスクがあるため、弾性線維性仮性黄色腫の患者は控えるべきです。

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