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エーラス-ダンロス症候群

執筆者:

Frank Pessler

, MD, PhD, Hannover, Germany

最終査読/改訂年月 2018年 2月
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本ページのリソース

エーラス-ダンロス症候群は、関節が過度に柔軟である、皮膚が異常に伸びる、組織がもろいといった症状がみられる、まれな遺伝性結合組織疾患です。

  • この症候群は、結合組織の産生を制御する遺伝子の1つに異常があるために発生します。

  • 典型的な症状としては、柔軟な関節、猫背、扁平足、伸びる皮膚などがあります。

  • 診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

  • この症候群の患者のほとんどでは、余命は正常です。

  • エーラス-ダンロス症候群に対する根治的な治療法はありません。

エーラス-ダンロス症候群は、結合組織の産生を制御する遺伝子の1つに異常があるために発生します。結合組織は頑丈で、その多くは線維性であり、互いに結合して体の構造を支えるとともに、弾力性をもたらしています。

エーラス-ダンロス症候群では、主に6種類の遺伝子が関与し、わずかに異なった変化を引き起こす異型がいくつかあり、その重症度には大きな幅があります。遺伝子異常の結果として、結合組織が異常にもろくなって、関節や骨に異常が現れ、内臓機能が弱まる場合もあります。

遺伝性結合組織疾患の概要も参照のこと。)

症状

エーラス-ダンロス症候群の患者の小児は、通常は関節が過度に柔軟です。 皮膚の下にできた丸くて小さな硬いしこり、胸郭の変形、脊椎の異常な弯曲を伴う猫背(脊柱後側弯症)、内反足といった症状が現れることもあります。ほとんどの成人で扁平足がみられます。皮膚をつまむと数センチメートルも伸び、放すと元に戻ります。

エーラス-ダンロス症候群の合併症

エーラス-ダンロス症候群では、けがをした際の体の反応が、一般的な場合と異なることがあります。例えば、軽いけがでも、傷口が大きく開いてしまうことがあります。このような傷は、通常は過度の出血は伴わないものの、大きな傷跡が残ります。また、ねんざや脱臼が頻繁に起こります。

エーラス-ダンロス症候群の患者の小児では、少数ですが血液が正常に凝固しないため、軽微な傷からの出血でも止血が難しいことがあります。

腸の一部が腹壁から飛び出す場合(ヘルニア)や、腸に異常な袋状の膨らみ(憩室)ができる場合があります。まれに、もろくなった腸に、出血や破裂(穿孔—消化管の穿孔を参照)がみられることもあります。心臓弁の組織がもろいために、弁から漏れが生じることがあります。

エーラス-ダンロス症候群の患者が妊娠すると、早産になるおそれがあります。母親の組織がもろいため、会陰切開や帝王切開は難しくなります。胎児がエーラス-ダンロス症候群の場合は、胎児を囲んでいる羊膜の袋が早く破れてしまうことがあります(前期破水)。母親や新生児がエーラス-ダンロス症候群にかかっている場合、分娩中やその前後に過度の出血が起こることもあります。

診断

  • 医師による評価

  • 遺伝子検査

  • 皮膚生検

  • 画像検査

エーラス-ダンロス症候群の診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。診断を確定するため、多くの場合遺伝子検査を行います。

エーラス-ダンロス症候群の種類を確認するため、皮膚のサンプルを採取して顕微鏡で調べる生検を行うこともあります。

合併症の状態を調べるために、別の検査が行われます。例えば、心臓や血管の異常を見つけるため、多くの場合心エコー検査などの画像検査を行います。

予後(経過の見通し)

通常、エーラス-ダンロス症候群の患者は、多くの様々な合併症が生じる可能性があるにもかかわらず、余命は正常です。しかし、ある種類のエーラス-ダンロス症候群では、少数ながら、合併症(通常は出血)によって死に至ることがあります。

治療

  • けがの予防

エーラス-ダンロス症候群を治療する方法も、異常な結合組織を正常に戻す方法もありません。けがを治療することはできますが、もろくなった組織が裂けやすいため、傷口を縫合しようとすると処置が難しい場合があります。通常は接着テープや医療用皮膚接着剤を用いることで、簡単に傷口をふさぐことができ、傷跡はあまり残りません。

この症候群では、けがをしないような特別な配慮が必要です。例えば、重いタイプのエーラス-ダンロス症候群の小児では、体を保護する服を着たり、服の中に詰め物をします。

手術では、傷口を最小限に抑える特殊な技術が必要で、輸血用に大量の血液を確保しておきます。妊娠や分娩については、産科医(出産と出産する女性のケアと治療を専門とする医師)の指導を受けなければなりません。家族には遺伝カウンセリングが提案されます。

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