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斜視

(眼位のずれ)

執筆者:

Leila M. Khazaeni

, MD, Loma Linda University School of Medicine

医学的にレビューされた 2020年 7月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

斜視(眼位のずれ)は、片側の眼の向きがときに(間欠性)、または常にずれているために(恒常性)、その眼の視線が、もう片方の眼が見ている物体の方向を向いていない状態です。斜視を治療しなければ、 弱視 弱視 弱視は、小児における視力障害の一般的な原因であり、眼から送られてくる像を脳が無視するために起こる視力の低下です。8歳になる前に診断かつ治療されないと、視力障害が回復不能なものとなることがあります。 弱視の原因には、焦点を合わせられない(屈折異常)、左右の眼の向きのずれ(斜視)、緑内障、白内障、またはその他の眼の異常などがあります。... さらに読む (視力の低下)や恒久的な視力障害に至ることがあります。 斜視の治療では、屈折異常の矯正、アイパッチまたは点眼薬による弱視の治療のほか、場合によっては手術が行われます。

  • 斜視は、左右の眼の向きがずれている状態です。

  • 原因には屈折異常(焦点を合わせられないこと)や眼の動きを制御する筋肉の不均衡などがあります。

  • 症状には、複視や視力障害などがあります。

  • 診断は眼の診察の結果に基づいて下されます。

  • 斜視は自然に回復することもありますが、ほとんどの場合、眼鏡、コンタクトレンズ、または手術を必要とします。

原因

斜視は生後数カ月で現れることもあれば、小児期のもっと後になってから現れることもあり、これは原因によって異なります。

生後6カ月未満の小児における斜視の危険因子としては、斜視の家族歴、遺伝性疾患(ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分にあることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。 出生前の段階では、ダウン症候群は超音波検査や母親の血液検査の結果から疑われ、 絨毛採取や 羊水穿刺という検査で確定されます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) など)、 出生前の薬剤への曝露 妊娠中の薬の使用 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。病気や症状の治療に使用された薬剤が原因で発生する先天異常は全体の2~3%未満です。... さらに読む (アルコールを含む)、 未熟児 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児です。生まれた時期により、早産児の臓器は発達が不十分であるため、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、および高血圧などがある場合に、早産児を出産するリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が... さらに読む 眼の先天異常 眼の異常 出生時に、眼の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。 眼の先天異常には以下のようなものがあります。 眼間開離:両眼の間が広い状態で、いくつかの先天性症候群(出生時に同時にみられる異常の一群)で起こる 眼間狭小:両眼の間が狭い コロボーマ:片眼または両眼のまぶた、虹彩、網膜、視神経など、眼のいずれかの部分の組織に欠損がある さらに読む 眼の異常 脳性麻痺 脳性麻痺 脳性麻痺とは、運動困難と筋肉のこわばり(けい縮)を特徴とする症候群です。原因は、出生前の脳の発育過程で生じた脳の奇形か、出生前、分娩中、または出生直後に起きた脳損傷です。 脳性麻痺の原因としては、酸素欠乏や感染によって生じる脳の損傷や、脳の奇形などがあります。 症状の程度は様々で、ぎこちなさがかろうじて分かる程度のこともあれば、脚や腕の動... さらに読む などがあります。

生後6カ月以上の小児では、斜視はしばしば、 屈折異常 小児の屈折異常 屈折異常では、眼が網膜上に正しく像を結ぶことができず、かすみ目になります。 屈折異常の結果、物がかすんで見えます。 小児は、自分の視覚障害を他の人に伝えられない場合があります。 診断はスクリーニングおよび視力検査の結果に基づいて下されます。 屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズで治療できます。 さらに読む (過度の遠視[遠眼])または眼の位置を制御する筋肉の力の不均衡が原因で起こります。片眼に高度の視力障害(屈折異常または白内障などのよりまれな病気によるもの)がある場合も、脳が両眼の向きをそろえられなくなるため、斜視になることがあります。その他の原因として、 網膜芽細胞腫 網膜芽細胞腫 網膜芽細胞腫は、眼の奥にあって光を感じる部位である網膜に発生するがんです。 網膜芽細胞腫は遺伝子の変異によって発生します。 瞳孔が白くなったり、斜視がみられたりすることがあり、ときに視覚障害がみられることもあります。 医師は、麻酔を施し、特殊な器具を用いて眼を調べることで、網膜芽細胞腫と診断できることがよくあります。 治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。 さらに読む 網膜芽細胞腫 (眼のがんの一種)や、 脳性麻痺 脳性麻痺 脳性麻痺とは、運動困難と筋肉のこわばり(けい縮)を特徴とする症候群です。原因は、出生前の脳の発育過程で生じた脳の奇形か、出生前、分娩中、または出生直後に起きた脳損傷です。 脳性麻痺の原因としては、酸素欠乏や感染によって生じる脳の損傷や、脳の奇形などがあります。 症状の程度は様々で、ぎこちなさがかろうじて分かる程度のこともあれば、脚や腕の動... さらに読む 二分脊椎 二分脊椎 神経管閉鎖不全は脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常の一種です。 神経管閉鎖不全により、神経損傷、学習障害、麻痺、死亡が起こることがあります。 血液検査、羊水検査、または超音波検査の結果に基づいて出生前から診断できます。 出生後、医師は身体診察を行い、追加の画像検査を行う場合もあります。 母親が妊娠前と第1トリメスター(訳注:日本の妊娠初期にほぼ相当)に葉酸を摂取することが、これらの異常の予防に役立つ可能性があります。 さらに読む 眼の動きを制御する脳神経が弱い 第3脳神経(動眼神経)麻痺 第3脳神経が麻痺すると、眼球運動、光に対する瞳孔の反応、またはその両方が損なわれます。 そのような麻痺は、神経に圧力がかかったとき、または神経に十分な血液が供給されないときに起こります。 患者は特定の方向を見たときに複視をきたし、まぶたが垂れ下がるほか、瞳孔が広がる(散大する)こともあります。 医師は神経学的診察およびMRIまたはCT検査を行います。 治療法は原因によって異なります。 さらに読む 頭部損傷 頭部外傷の概要 頭部外傷の一般的な原因には、転倒や転落、自動車事故、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などがあります。 軽症の頭部外傷では頭痛やめまいが起こることがあります。 重症の頭部外傷では、意識を失ったり、脳機能障害の症状が現れたりすることがあります。 重症の頭部外傷かどうかを調べるには、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行います。... さらに読む および脳のウイルス感染症(脳炎 小児の中枢神経系のウイルス感染症 中枢神経系のウイルス感染症は極めて重篤です。 髄膜炎では脳と脊髄を覆う組織が侵され、 脳炎では脳そのものが侵されます。 中枢神経系のウイルス感染症は髄膜炎や脳炎を引き起こします。 まず熱が出て、病気が進行すると、易刺激性、食事の拒否、頭痛、首の痛みのほか、ときとしてけいれん発作がみられます。 中枢神経系のウイルス感染症は、腰椎穿刺を行って診断を下します。 多くの場合は軽症ですが、症状が重くなり死亡するケースもあります。 さらに読む )などの神経疾患があります。ときに、 眼窩の骨折 眼窩の骨折 顔面への強い打撃により、眼窩(がんか)(眼球、筋肉、神経、血管、そして涙を排出する器官を含む骨で囲まれた空間)を構成する骨が折れることがあります。 ( 眼のけがの概要も参照のこと。) 痛みと腫れが生じ、複視または視力低下が起こることがあります。 通常、CT検査を行います。 ときに、骨折を外科的に整復します。 さらに読む により、眼の動きが阻害されて、斜視になることもあります。

種類

斜視にはいくつかのタイプがあります。片方の眼が内側を向くタイプ(内斜視)もあれば、外側を向くタイプ(外斜視)もあります。また、片方の眼が上方に寄るタイプ(上斜視)や、下方に寄るタイプ(下斜視)もあります。眼の位置のずれは恒常性(常にずれが起こる)の場合、または間欠性(ときおりずれる)の場合があり、ずれは軽度のこともあれば重度のこともあります。

斜視:左右の眼の向きがずれた状態

斜視にはいくつかのタイプがあります。最も多いのは、片方の眼が内側を向くタイプ(内斜視)または外側を向くタイプ(外斜視)です。この図では、小児の右眼に斜視があります。

斜視:左右の眼の向きがずれた状態

斜視は、片眼または両眼の向きが、常に、明らかに偏位している(ずれている)状態です。眼の位置が間欠的にですが頻繁にずれ、脳による制御がうまくいっていない病態は、間欠性斜視と呼ばれます。

症状

小児が眼を細めて物を見たり、片眼を覆ったりすることから、親が斜視に気づく場合があります。小児の眼の向きがずれているように見えたり、同時に動いていなかったりすることから発見されることもあります。

斜位は、よほど重度のものでない限り症状を引き起こすことはまれです。症状を引き起こしている場合には、眼の疲労を伴うのが典型的です。

斜視では、ときに症状がみられます。 比較的年少の小児に斜視がある場合、混乱や複視を避けようと脳がずれた方の眼からの像を抑制するため、しばしば片眼の視力が障害されます(弱視)。比較的年長の小児に斜視がある場合、複視を伴ったり、眼球の向きのずれを補正しようとして首のねじれまたはけいれん(斜頸)がみられたりします。

診断

  • 眼の検査

  • ときに画像検査

脳神経麻痺のある小児には、脳または脊髄のCT(コンピュータ断層撮影 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 )検査またはMRI(磁気共鳴画像 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるよう... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 )検査などの画像検査を行うことがあります。さらに、遺伝性疾患を調べるために血液検査が行われる場合があります。

知っていますか?

  • 視力スクリーニングは3歳から受けることができます。

予後(経過の見通し)

斜視がある場合、放置したり、成長とともになくなるだろうと考えて経過観察したりするべきではありません。弱視が生じ、4~6歳までに治療しなければ、恒久的な視力障害が残る可能性があります。それより後に治療した場合でもある程度は視力を回復できますが、視覚系が成熟した後(典型的には8歳以降)では、治療に対する反応は極めてわずかになります。そのため、すべての小児は就学前に正式な視力スクリーニングを受ける必要があります。

斜視を修復する外科手術の成功率は80%を超えています。

治療

  • 弱視があればその治療

  • 眼鏡やコンタクトレンズ

  • 眼の運動

  • 眼の向きをそろえる手術

軽度または間欠的な異常しかない場合は、治療が不要なことがあります。しかし、斜視が重度である場合や、進行する場合は、治療が必要です。

斜視の治療は斜視の特徴と原因によって異なります。治療の目標は、両眼の視力をそろえ、次に両眼の向きをそろえることです。

弱視 治療 弱視は、小児における視力障害の一般的な原因であり、眼から送られてくる像を脳が無視するために起こる視力の低下です。8歳になる前に診断かつ治療されないと、視力障害が回復不能なものとなることがあります。 弱視の原因には、焦点を合わせられない(屈折異常)、左右の眼の向きのずれ(斜視)、緑内障、白内障、またはその他の眼の異常などがあります。... さらに読む のある小児には、視力が高い方の眼をアイパッチで覆ったり、視野をかすませる点眼薬をその眼にさしたりして、見えにくい方の眼を強制的に使わせるようにします。視力が高い方の眼にアイパッチや点眼薬を使用することで、見えにくい方の眼の視力が改善されます。しかし、アイパッチで斜視を治療することはできません。

高度の 屈折異常 小児の屈折異常 屈折異常では、眼が網膜上に正しく像を結ぶことができず、かすみ目になります。 屈折異常の結果、物がかすんで見えます。 小児は、自分の視覚障害を他の人に伝えられない場合があります。 診断はスクリーニングおよび視力検査の結果に基づいて下されます。 屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズで治療できます。 さらに読む がある小児には、通常、 眼鏡 眼鏡 屈折異常は、眼鏡(フレームにガラス製またはプラスチック製のレンズが入ったもの)またはコンタクトレンズ(角膜上に浮かべるまたは静置する小さなプラスチック片)で矯正できます。眼鏡、コンタクトレンズのどちらを使っても視力は矯正され、良好な視力が得られます。多くの人は、見た目、利便性、費用、リスク、快適さを基準にしてどちらかを選んでいます。 眼鏡のレンズには、プラスチック製とガラス製の2種類があります。... さらに読む または コンタクトレンズ コンタクトレンズ 屈折異常は、眼鏡(フレームにガラス製またはプラスチック製のレンズが入ったもの)またはコンタクトレンズ(角膜上に浮かべるまたは静置する小さなプラスチック片)で矯正できます。眼鏡、コンタクトレンズのどちらを使っても視力は矯正され、良好な視力が得られます。多くの人は、見た目、利便性、費用、リスク、快適さを基準にしてどちらかを選んでいます。 眼鏡のレンズには、プラスチック製とガラス製の2種類があります。... さらに読む が処方されます。

ときに、間欠的な外斜視の矯正に眼の運動が役立つことがあります。

こういった手術以外の方法でうまく両眼の向きをそろえられない場合は、手術によって両眼の向きをそろえます。外科手術では、眼の筋肉による張力を弱めたり(後転)強めたり(前転)します。この手術のために入院する必要はありません。手術の合併症が生じる可能性はあり、なかでも最も多いのが、過度の矯正(過矯正)または矯正不十分(低矯正)、成長してから現れる斜視の再発です。まれに、感染症、過度の出血、または視力障害をきたすこともあります。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  • Children's Eye Foundation of AAPOS(アメリカ小児眼科斜視学会[AAPOS]による小児眼科基金):小児の視力を保護する上での予防、病気の発見、研究、教育に関する実用的な情報

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