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小児の消化性潰瘍

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

レビュー/改訂 2020年 2月
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消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の粘膜が胃酸や消化酵素で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。

  • 潰瘍は胃や十二指腸の粘膜にできます。

  • 小児の症状には、腹部のさしこみ痛や嘔吐などがあります。

  • 診断は内視鏡検査およびときに画像検査に基づきます。

  • 治療は胃酸を減らす薬剤や、ときに抗菌薬により行います。

潰瘍は、胃や十二指腸(小腸の最初の部分)の粘膜を貫通します。潰瘍が生じるのは、胃や十二指腸の粘膜の正常な防御・修復メカニズムが弱まり、粘膜が胃酸による損傷を受けやすくなった場合です。

小児の消化性潰瘍は成人に比べてはるかにまれです。 成人の場合と同様に、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用や ヘリコバクター・ピロリによる感染症 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染 ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori (ピロリ菌 H. pylori)感染は、胃の炎症( 胃炎)、 消化性潰瘍(かいよう)、ある種の 胃がんを引き起こす細菌感染です。 この感染はヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori(ピロリ菌 H. pylori)と呼ばれる種類の細菌により引き起こされます。... さらに読む から 消化性潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 消化性潰瘍 が生じる場合があります。小児では、ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriは成人の場合ほど一般的な原因ではありません。親が消化性潰瘍にかかっている場合、小児に消化性潰瘍が生じやすく、親がヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriに感染している場合は特にその可能性が高くなります。受動喫煙も、小児における潰瘍の危険因子の1つです。飲酒や喫煙をする青年にも潰瘍が生じやすくなります。どの年齢の小児でも、重度の熱傷(やけど)、けが、病気などで容体が極めて悪いときには、潰瘍ができやすくなります。このような潰瘍はストレス潰瘍といわれます。

症状

典型的な症状は上腹部に生じ、以下のものがあります。

  • さしこみ痛

  • 灼熱痛

  • うずくような痛み

  • ヒリヒリする痛み

  • お腹が空っぽである感覚

  • 空腹感

しかし幼児では典型的な症状がみられず、腹痛と嘔吐がみられる場合があります。潰瘍があると、乳児は授乳中や授乳後にぐずったり不機嫌になったりすることがあります。

消化性潰瘍の合併症

どの年齢層の小児でも、消化性潰瘍から 穿孔(せんこう) 穿孔 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 穿孔 出血 出血 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 出血 が生じることがあり、腫れを引き起こして胃が 閉塞 閉塞 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 閉塞 する可能性があります。

診断

  • 内視鏡検査

  • 合併症の診断には、画像検査

消化性潰瘍の診断は、 内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。上部消化管内視鏡検査を受ける場合は、のどの感覚をなくすために液体またはスプレー状の麻酔薬が検査前に使用されることがあります。... さらに読む の結果に基づいて下されます。この検査では、観察用の柔軟な管状の機器(内視鏡)を小児の口から食道、胃を経て、十二指腸の最初の部分まで挿入します。内視鏡を用いて、潰瘍がヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pylori菌によるものかどうかを判定するために生検(組織のサンプルを採取して顕微鏡で調べる)も行うことができます。便検査や呼気試験でも、ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriを検出することができます。

穿孔などの合併症が疑われる場合、 X線検査 消化管のX線検査 消化器系の問題の評価にはX線検査がよく使われます。標準的なX線検査(単純X線検査)では、特別な準備は何も必要ありません( 単純X線検査)。消化管に閉塞や麻痺がある場合や、腹腔内のガスの分布が異常な場合は、通常は標準的なX線検査で明らかになります。また、肝臓、腎臓、脾臓の腫大も標準的なX線検査で明らかになります。 バリウムを用いたX線検査では、多くの場合、標準のX線検査より多くの情報が得られます。味つけした液体バリウムまたはバリウムでコー... さらに読む CT検査 消化管のCT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。通常、虫垂や憩室などの炎症( 虫垂炎や 憩室炎など)も検出できます。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む MRI検査 消化管のCT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。通常、虫垂や憩室などの炎症( 虫垂炎や 憩室炎など)も検出できます。ときに、X線照射や手術のガイド役としてこれらの検査を用いることもあります。... さらに読む などの画像検査が行われることがあります。

治療

  • 胃酸を抑える

  • ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染に対しては、抗菌薬と胃酸を抑える薬剤

消化性潰瘍の治療における主な目標は、胃酸を減らすことです。胃酸を抑える薬剤にはプロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、制酸薬などがあります(胃酸の治療に使用される薬 胃酸の治療に使用される薬 胃酸の治療に使用される薬 )。胃酸の分泌を増加させる要因を減らすことも重要です。例えば、小児はカフェインや副流煙を避けるようにしなければなりません。

ヘリコバクター・ピロリ Helicobacter pyloriに感染している小児には、除菌のための抗菌薬と胃酸を減らすためのプロトンポンプ阻害薬を投与します。

合併症がある場合や潰瘍が再発した場合には、手術が必要になる可能性があります。

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