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ウィルムス腫瘍

(腎芽腫)

執筆者:

John J. Gregory, Jr.

, MD, Rutgers, New Jersey Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 6月
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ウィルムス腫瘍は、主に幼児に発生する特殊な種類の腎臓がんです。

  • ウィルムス腫瘍の原因は不明ですが、遺伝子異常があると考えられる小児もいます。

  • たいていの場合、小児の腹部にしこりがあり、腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐もみられます。

  • 画像検査により、しこりの性質と大きさが調べられます。

  • 治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。

ウィルムス腫瘍が発生するのはたいてい5歳未満の小児ですが、ときに5歳以上の小児にも発生し、まれに成人に発生することもあります。非常にまれですが、ウィルムス腫瘍が出生前に発生し、新生児に認められることもあります。全体の約5%で、ウィルムス腫瘍が左右の腎臓に同時にできます。

ウィルムス腫瘍の原因は不明ですが、なかには特定の遺伝子の欠失やその他の遺伝的異常が関与していると考えられるものもあります。ウィルムス腫瘍は、特定の先天異常のある小児では生じる可能性が高く、そのような先天異常の例としては、両眼の虹彩がない場合や、体の片側が過剰に発育する場合が挙げられます。腎臓、性器、尿路の問題がある場合も多くみられます。こうした先天異常は、知的障害と同様に、遺伝子の異常により起こることがあります。しかし、ウィルムス腫瘍の小児患者の大半では、こうしたはっきり認められる先天異常はありません。

症状

多くの場合、ウィルムス腫瘍で最初に現れる症状は、痛みを伴わない腹部のしこりです。腹部が膨らむことがあります。急に小児のおむつのサイズを大きくする必要が生じて、親が膨らみに気づくことがあります。また、小児に腹痛、発熱、食欲不振、吐き気、嘔吐がみられることもあります。一部の小児に血尿がみられます。腎臓は血圧の制御に関わっているため、ウィルムス腫瘍によって高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む になる場合があります。

ウィルムス腫瘍は体の他の部位に転移することがあり、特に肺への転移がよくみられます。肺が侵された場合、せきや息切れが起こることがあります。

診断

  • 腹部の超音波検査、CT検査、MRI検査

  • 多くの場合、診断時に手術による腫瘍の切除

たいていの場合、親が小児の腹部にしこりがあることに気づいて診察を受けた際に、ウィルムス腫瘍であると分かります。定期的な診察で医師がこのしこりに触れて気づくこともあります。ウィルムス腫瘍が疑われる場合には、腹部の超音波検査やCT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 、またはMRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 が行われ、しこりの性質と大きさが調べられます。CT検査やMRI検査は、腫瘍が周辺のリンパ節や肝臓に転移しているかどうかや、もう一方の腎臓に腫瘍がないかを医師が判断するためにも役立ちます。医師は胸部のCT検査も行い、腫瘍が肺に転移していないか判断します。

ほとんどの小児で、CT検査やMRI検査の結果に基づいて、腫瘍がある腎臓の一部または全部を切除する手術(腎部分切除術または腎摘出術)が行われます。その後、医師は腫瘍を検査してウィルムス腫瘍であることを確認します。手術中に、医師は周辺にある腹部のリンパ節を切除して、がん細胞がないか調べます。リンパ節にがんが転移している場合は、転移していないがんの場合と異なる治療が必要になる可能性があります。

予後(経過の見通し)

一般に、ウィルムス腫瘍は非常に治りやすいものです。腫瘍が腎臓のみに限定されている場合、約85~95%の小児が根治します。腫瘍が腎臓以外に転移している場合でも、治癒率は60~90%で、この値は検査でがん細胞がどの程度異常に見えるかに応じて異なります。一般に、以下に該当する小児で結果がよくなります。

  • 年齢が若い

  • 腫瘍を顕微鏡で検査したときにがん細胞が異常に見える程度が低い

  • 転移していない

しかし、ウィルムス腫瘍には、治療を行ってもあまり効果がない特定の種類があります(5%未満)。そのような腫瘍がある小児は、予後が不良です。

ウィルムス腫瘍は再発することがあり、再発が起こるのは一般的には診断から2年以内です。がんが再発しても、根治する可能性があります。

治療

  • 手術と化学療法

  • 場合により放射線療法

ウィルムス腫瘍の治療では、腫瘍が発生した側の腎臓を切除します。手術の際にはもう片方の腎臓に腫瘍がないかどうかも確認します。手術後に化学療法が行われます。特によく使用される薬はアクチノマイシンDとビンクリスチンで、ときにドキソルビシンも使用されます。腫瘍がかなり広がっている場合には、放射線療法も行われます。

まれに、腫瘍が極めて大きく最初は切除できない場合や、腫瘍が両方の腎臓にみられる場合があります。そのような場合には、まず化学療法で腫瘍を小さくしてから、腫瘍が切除されます。

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