腎臓のこうした機能は、血液が腎臓の糸球体(小さな穴が多数あいた血管でできた微細な球状の組織)を通過する際に、その一部がろ過されることから始まります。 このプロセスにより、大量の水分と電解質などの物質が血管内から尿細管と呼ばれる細い管の中に移動します。続いて、尿細管の内壁を覆っている細胞が体にとって必要な水分、電解質、栄養素(ブドウ糖やアミノ酸など)を再吸収し、それらを血液中に戻します。また、この細胞は血液からろ過された液体(これが尿になります)が尿細管を通過する間に、血液中の老廃物や薬物をこの液体内に排出します。
尿細管の内壁を覆っている細胞は、血液供給( エリスロポエチン)、血圧、電解質バランスなどを維持するホルモンを分泌するほか、ビタミンD( カルシトリオール)を活性化する酵素も生産します。活性型の状態になった カルシトリオールは、カルシウムとリンの量を調節し、骨を健康な状態に保つ役割を果たすようになります。
この尿細管の内側を覆う細胞(尿細管細胞)の機能が妨げられる病気は、尿細管疾患と呼ばれています。尿細管疾患には遺伝性ないし先天性のものがあり、先天性の尿細管疾患の中には、出生後最初の1年間に見つかるものもあれば、生後何年も経つまで明らかにならないものもあります。
先天性の尿細管疾患としては以下のものがあります。