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発育不良

執筆者:

Christopher P. Raab

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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発育不良とは、体重増加と体の成長の遅れのことをいい、発達や成熟の遅れにつながります。

  • 病気や適切な栄養をとれないことが原因で発育不良が起こります。

  • 小児の成長曲線、身体診察、健康歴、家庭環境に基づいて診断を下します。

  • 生後1年間の栄養が不足すると、小児に発達の遅れが生じることがあります。

  • 治療には、栄養のある食事や病気の治療などがあります。

生後最初の1年間は、乳児の体重と身長を健診のたびに測定し、安定した速さで成長しているかどうかを確認します(乳児と小児の身体的成長 体長と身長 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生後から約1~2歳まで、小児は急速に成長します。その後、成長の速度は遅くなります。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、小児が非常に不規則な食べ方をすることがあり、ときに不安になる親も... さらに読む を参照)。パーセンタイルとは、同月齢の同性の乳児と比較する方法の1つです。例えば、体重が10パーセンタイルであるとは、同月齢の同性の乳児100人のうち、90人がその子より重く、10人がその子より軽いということになります。乳児の体格は様々ですが、一般的に個々の乳児は、おおむね同じパーセンタイルを維持しながら成長していきます。

発育不良とは、一貫して低体重の状態にある小児に対して考慮される診断名で、典型的には同年齢の同性の小児と比較して3~5パーセンタイル未満の小児がこれに該当します。また実際には低体重ではなくても、体重のパーセンタイルが顕著に落ちた場合も、発育不良とみなされます。例えば、乳児の体重が短期間のうちに90パーセンタイルから50パーセンタイル(平均体重)に落ちた場合、懸念の対象となります。発育不良には多くの原因があります。

原因

発育不良の原因としては以下のものが関わります。

  • 環境的要因と社会的要因

  • 病気

原因が何であれ、栄養が不十分であると小児の体や脳の成長に影響が現れます。

環境的要因や社会的要因は、小児が必要な栄養をとれない理由として最も多いものです。

親によるネグレクトまたは虐待 小児に対するネグレクトと虐待の概要 小児に対するネグレクトとは、小児の成長に欠かせないものを与えないことです。小児虐待とは、小児に危害を加えることです。 小児に対するネグレクトや虐待のリスクを上昇させる要因として、貧困、薬物やアルコールの乱用、精神障害、片親による育児などがあります。 ネグレクトや虐待の被害を受けた小児は、疲れていたり、空腹であったり、不潔であったり、身体的... さらに読む 小児に対するネグレクトと虐待の概要 、親の精神障害(抑うつ うつ病 うつ病とは、日常生活に支障をきたすほどの強い悲しみを感じているか、活動に対する興味や喜びが低下している状態です。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。 遺伝、薬の副作用、つらい出来事、ホルモンなど体内の物質の量の変化、その他の要因がうつ病の一因になる可能性があります。 うつ病になると、悲しみに沈み、動作が緩慢になり、以前は楽しんでい... さらに読む など)、貧困、家庭環境の混乱はいずれも、常に栄養のある食事が十分に与えられないリスクを高めます。このような状況があると、小児の食欲が減退し、あまり食べなくなる可能性もあります。ときに、親が栄養価の低い食事ばかり与えることにより、摂取不足や体重増加不良になることもあります。親が乳児の授乳方法をよく理解していない場合や、人工乳の作り方が適切でない場合があります。

ときに、病気が発育不良の原因になります。噛む、または飲み込むことが難しい(口唇裂 口唇裂と口蓋裂 頭蓋と顔面で最もよくみられる先天異常は口唇裂と口蓋裂(こうがいれつ)で、新生児約700人に1人の割合でみられます。 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。 口蓋裂とは、口の中の天井(口蓋)に裂け目があり、鼻への異常な通路ができるものです。 口唇裂と口蓋裂はしばしば同時に起こります。 口唇裂や口蓋裂の形成には、環境的要因と遺伝的要因の両方が関与していることがあります。母親が妊娠中にタバコ、アルコール、またはその他の薬剤を... さらに読む 口唇裂と口蓋裂 または口蓋裂 口唇裂と口蓋裂 頭蓋と顔面で最もよくみられる先天異常は口唇裂と口蓋裂(こうがいれつ)で、新生児約700人に1人の割合でみられます。 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。 口蓋裂とは、口の中の天井(口蓋)に裂け目があり、鼻への異常な通路ができるものです。 口唇裂と口蓋裂はしばしば同時に起こります。 口唇裂や口蓋裂の形成には、環境的要因と遺伝的要因の両方が関与していることがあります。母親が妊娠中にタバコ、アルコール、またはその他の薬剤を... さらに読む 口唇裂と口蓋裂 があるためなど)といった小さな病気が原因となる場合もあります。胃食道逆流 小児の胃食道逆流 胃食道逆流とは、食べものと胃酸が胃から食道に、ときには口の中にまで戻ってくることです。 逆流の原因として考えられるのは、授乳中の乳児の姿勢、授乳量が多すぎた場合、カフェイン、ニコチン、タバコの煙にさらされた場合、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常などがあります。 乳児では、嘔吐、過度の吐き出し、摂食障害や呼吸障害がみられたり、不機嫌なように見えることもあります。 胃食道逆流症の診断に際して行われる検査は、バリウム検査、食道pHモニ... さらに読む 、食道狭窄、または腸管の吸収不良 吸収不良の概要 吸収不良症候群とは、食べたものに含まれる栄養素が様々な理由により小腸で適切に吸収されない状態のことをいいます。 ある種の病気、感染症、手術でも吸収不良が起こることがあります。 吸収不良によって、下痢、体重減少、極度の悪臭がする大量の便がみられます。 診断は、典型的な症状と、便検査の結果、ときに小腸粘膜の生検結果に基づいて下されます。... さらに読む といった病気は、食べものを体内にとどめて消化吸収する能力に影響を与えます。発育不良のその他の原因としては、感染症、腫瘍、ホルモン異常または代謝性疾患(糖尿病 小児と青年における糖尿病 糖尿病は、体が必要とするインスリンが十分に産生されない、または産生されたインスリンに体が正常に反応しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 糖尿病とは、インスリンの産生量低下、またはインスリンの効果低下、あるいはその両方が原因で、血糖値が上昇(高血糖)し、それに伴って生じる一連の病態のことをいいます。 診断時の典型的な症状として、強いのどの渇き、排尿の増加、体重の減少などがあります。... さらに読む 小児と青年における糖尿病 嚢胞[のうほう]性線維症 嚢胞性線維症(CF) 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。 典型的な症状としては、新生児にみられる嘔吐や腹部膨満、軟便、体重増... さらに読む など)、心疾患、腎疾患、肝疾患、遺伝性疾患(ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分に複製されることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。 出生前の段階では、ダウン症候群は超音波検査や母親の血液検査の結果から疑われ、絨毛採取や羊水穿刺という検査で確定されます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) 遺伝性代謝疾患 遺伝性代謝疾患の概要 遺伝性代謝疾患とは、代謝の問題を引き起こす遺伝性の病気です。 遺伝とは、ある世代から次の世代へ遺伝子が受け継がれることを意味します。子どもは親の遺伝子を受け継ぎます。子どもが、代謝制御に関わる欠陥のある遺伝子を受け継ぐと、遺伝性代謝疾患を発症します。 代謝疾患には数百種類のものがあり、そのほとんどは非常にまれなものです。... さらに読む など)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 小児におけるヒト免疫不全ウイルス (HIV) 感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすウイルス感染症です。 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症はHIV-1ウイルスとHIV-2ウイルスが原因で、幼児の場合一般的には分娩の際に母親から感染します。 感染の徴候には成長の遅れ、体の数カ所でのリンパ節の腫れ、発達の遅れ... さらに読む などがあります。まれに母親が十分な母乳を産生できていない場合や、さらにまれですが、産生する母乳中のカロリーが低い場合もあります。

診断

  • 身長と体重のモニタリング

  • 食事および病歴、社会歴、家族歴に関する質問

  • 必要があれば臨床検査

小児の体重や体重増加が、以前の測定値から予想される値または標準身長体重曲線を大きく下回っている場合、発育不良の診断を考慮します( 乳児の体長・体重表(2歳まで) 乳児の体長・体重表(2歳まで) 乳児の体長・体重表(2歳まで) )。発育不良のために乳児の体重が大きく減少した場合、身長や頭囲(脳)の成長速度にも影響が現れます。

医師は発育不良の原因を特定する上で、食事、排便習慣、家庭の社会的、情緒的、経済的な状況など、小児の栄養状態に影響しうる要因について親に尋ねます。また、小児の病歴や家族歴についても尋ねます。

次に診察を行い、体重増加不良を説明できる健康状態の徴候がないかを調べます。医師はその評価を基に、血液、便、尿の検査、X線検査が必要かどうかを決めます。基礎疾患の存在が疑われる場合は、さらに詳しい検査を行います。

予後(経過の見通し)

生後1年間は脳の発達に大切な時期なので、この時期に栄養不良だった小児は、その後たとえ身体的な成長は改善されたとしても、同年代の子に常に後れをとる可能性があります。このような小児の約半数では精神発達(特に言語能力および数学的能力)が正常より低くなります。しばしば行動面、社交面、および情緒面での問題もみられます。

治療

  • 授乳または食事による十分な栄養

  • 病気に対する具体的な治療

発育不良の治療法はその原因により異なります。病気が見つかった場合は、その病気に合わせた具体的な治療を行います。原因にかかわらず、すべての発育不全の小児には成長と体重増加を促進するために十分なカロリーを含む、栄養に富んだ食事を与えます。

軽度から中等度の発育不良の場合は、授乳や食事は栄養に富んだ高カロリーのものとし、規則正しく与えます。小児に影響を与えている家庭事情や経済的および社会的支援についてのカウンセリングを親が受ける場合もあります。

重度の発育不良の場合は、入院させ、ソーシャルワーカー、栄養士、食事に関する専門家、精神科医などが協力して治療にあたります。こういった専門家らが、最も可能性の高い原因を判定し、摂食状態を改善するために最善のアプローチをとります。

小児の発育不良が虐待やネグレクトによるものであれば、場合によってはフォスターケア(里親制度)に委ねる必要があります。実の親の元へ帰る際には、成長の過程がモニタリングされます。

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