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ライ症候群

(Reye症候群)

執筆者:

Christopher P. Raab

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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ライ症候群は非常にまれな病気ですが、脳の炎症や腫れと、肝機能の低下または喪失をもたらし、生命を脅かすことがあります。

  • ライ症候群の原因は不明ですが、ウイルス感染症やアスピリンの使用が引き金になると考えられています。

  • ウイルス感染症の症状に続いて激しい吐き気、嘔吐、錯乱、反応の鈍化がみられるのが典型的で、ときに昏睡に至ることもあります。

  • 診断は、小児の精神状態の急な変化、血液検査および肝生検の結果に基づいて下されます。

  • 脳の損傷がどの程度激しく、どの程度長く続いたかによって予後が変わります。

  • 治療では、脳内の圧を下げる処置がとられます。

ライ症候群の原因は不明ですが、一般的には、インフルエンザ インフルエンザ(流感) インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる肺と気道のウイルス感染症です。感染すると、発熱、鼻水、のどの痛み、せき、頭痛、筋肉痛、全身のだるさ(けん怠感)が生じます。 ウイルスは、感染者のせきやくしゃみで飛散した飛沫を吸い込んだり、感染者の鼻の分泌物に直接触れたりすることで感染します。 まず悪寒が生じ、続いて発熱、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、せき、鼻水、全身のだるさが生じます。... さらに読む または水痘 水痘(水ぼうそう) 水痘とは、水痘帯状疱疹ウイルスによる、感染力が非常に強いウイルス感染症で、かゆみのある特徴的な発疹が現れます。発疹は小さな斑点で、盛り上がったり、水疱(水ぶくれ)を形成したり、かさぶたができたりします。 水痘はほとんどが小児に起こりますが、水痘ワクチンのおかげで発生数は大幅に減少しています。 発疹が現れる前に、軽い頭痛、中等度の発熱、食欲低下、全身のだるさがみられます。 診断は症状(特に発疹)に基づいて下されます。... さらに読む などのウイルス感染症の後にみられ、特に感染症にかかってる間にアスピリンを服用した小児によくみられます。 アスピリンは、このようにライ症候群のリスクを高めることから、一部の特定の病気(若年性特発性関節炎 若年性特発性関節炎 (JIA) 若年性特発性関節炎は、16歳までに発症して、関節の炎症が持続するか再発を繰り返す、相互に関連する一群の小児疾患です。 若年性特発性関節炎の特定の型では、発熱、発疹、リンパ節の腫れが生じることがあり、心臓に影響が現れることもあります。 診断は、この病気を確定する単独の検査法がないため、小児の症状と身体診察の結果に基づいて下されます。... さらに読む 川崎病 川崎病 川崎病は全身の血管に炎症(血管炎)が起こる病気です。 川崎病の原因は不明ですが、感染症と関連があると考えられています。 典型的な症状は、発熱、発疹、イチゴ舌のほか、ときに心臓の合併症がみられることもあり、これによりまれに死に至ることがあります。 診断は診断基準に基づいて下されます。 迅速な治療を行えば、ほぼすべての患児が回復します。 さらに読む 川崎病 )にかかっている場合を除いて小児への投与は勧められません。 今ではアスピリンの使用が減ったため、ライ症候群を発症するのは年に2人程度です。この症候群は、主に18歳未満の小児にみられます。米国では、ほとんどの症例が晩秋から冬にかけて発生します。

症状

ライ症候群の重症度は非常に多岐にわたります。上気道感染症、インフルエンザ、ときに水痘などのウイルス感染症の症状で始まり、5~7日後に突然、激しい吐き気と嘔吐が現れます。そして、1日も経たないうちに反応が鈍くなり(嗜眠)、錯乱、見当識障害が起こり興奮し始めます。このような精神状態の変化は頭蓋内の圧力(頭蓋内圧)の上昇が原因であり、続いてけいれん発作 小児のけいれん発作 けいれん発作とは、脳の電気的活動が周期的に乱れることで、一時的にいくらかの脳機能障害が起きる現象です。 年長の乳児や幼児にけいれん発作が起きた場合には、全身または体の一部がふるえるなどの典型的な症状が多くの場合みられますが、新生児の場合は、舌なめずりをする、口をもぐもぐさせる、周期的に体がだらんとなるなどの変化しかみられない場合があります。 この病気の診断には脳波検査が用いられ、さらに原因を特定するために血液検査、尿検査、脳の画像検査の... さらに読む 昏睡 昏迷と昏睡 昏迷とは、反応がなく、激しい物理的な刺激によってのみ覚醒させることができる状態です。昏睡とは、反応がなく、覚醒させることができない状態です。 昏迷や昏睡の原因は通常、脳の左右両側の広い領域または意識の維持に特化した領域に影響を及ぼす病気、薬、またはけがです。 身体診察、血液検査、脳の画像検査、家族や友人への問診は、原因を特定する上での助けになります。 考えられる原因を是正し、身体機能を補助する処置(人工呼吸器による呼吸の補助など)を行い... さらに読む が起こり死亡することもあります。

一部の小児では、肝臓が正しく機能せず血液の凝固異常と出血を招き、血中にアンモニアが蓄積することがあります。

診断

  • 臨床検査と画像検査

  • 肝生検

急に精神状態が変化し、嘔吐がみられる小児においてライ症候群が疑われます。 ライ症候群の診断を確定するため、また特定の遺伝性代謝性疾患などの他の病気を否定するため、医師は血液検査を行うほか、しばしば細い針を使って肝組織の小片を採取します(肝生検 肝生検 肝臓の組織サンプルは、試験開腹中に採取することもありますが、多くの場合、皮膚から肝臓に中空の針を刺す方法で採取します。このタイプの生検は、経皮的肝生検と呼ばれます。また、経静脈的肝生検と呼ばれる生検の方法もあります。 肝生検では、他の検査で得られない肝臓の情報を検出することができます。肝生検は、肝臓の過剰な脂肪(脂肪肝)、慢性的な肝臓の炎症(慢性肝炎)、ウィルソン病(銅が過剰に蓄積する病気)やヘモクロマトーシス(鉄が過剰に蓄積する病気)... さらに読む )。頭部のCT検査 画像検査 病歴聴取と神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 神経系の病気(神経疾患)の診断に一般的に用いられる画像検査としては、以下のものがあります。 CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 血管造影検査 さらに読む 画像検査 またはMRI検査 画像検査 病歴聴取と神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 神経系の病気(神経疾患)の診断に一般的に用いられる画像検査としては、以下のものがあります。 CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 血管造影検査 さらに読む 画像検査 を行い、さらに検査する必要がある場合は、腰椎穿刺 腰椎穿刺 病歴聴取と神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 神経系の病気(神経疾患)の診断に一般的に用いられる画像検査としては、以下のものがあります。 CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 血管造影検査 さらに読む 腰椎穿刺 によって脳脊髄液を採取することがあります。

いったん診断が確定すれば、症状と検査結果に基づいて、病気の重症度をステージI期(最軽症)からステージV(最重症)に分類します。

予後(経過の見通し)

患児の予後は、脳への影響が持続した期間とその重症度、昏睡に至ったかどうか、脳内の圧の高さ、血中のアンモニア濃度によって変わります。

死亡する確率は全体として約21%ですが、軽症(ステージI)であれば2%未満、深い昏睡に陥った場合(ステージIVまたはV)であれば80%以上と幅があります。急性期を乗り越えた患児の多くは完全に回復します。しかし、より症状が重かった症例では後になって知的障害、けいれん性疾患、または筋力低下などの脳損傷の徴候が現れることがあります。筋肉の異常な動きまたは特定の神経の損傷が起こることもあります。

同じ小児がライ症候群を再度発症することはまれです。

治療

  • 脳内の圧を下げる処置

ライ症候群に対する特別な治療法はありません。

患児は入院し、集中治療室 特別治療室の種類 特別な治療が必要な場合は、特別治療室に入院することがあります。 集中治療室(ICU)には、症状の重い患者が入ります。例えば、肝臓、肺、腎臓などの臓器が不意に全般的な機能不全に陥った患者が含まれます。これは、肺の機能不全であれば呼吸を助ける必要が、腎臓の機能不全なら透析が必要になるからです。このほかに、ショックや重い感染症の患者、大きな手術を受けた患者もICUに入ることがあります。大きな病院には小児のための小児集中治療室(PICU)があり... さらに読む で治療を受けます。脳の腫れと脳への圧を軽減するため、気管にチューブを入れて(気管挿管)呼吸回数を増やしたり(過換気)、輸液を制限したり、ベッドの頭側を上げたり、水分を体内から排出させる薬(マンニトールなど)を投与したりします。また、血液中の糖(グルコース)濃度を正常な値に維持するため、ブドウ糖を投与します。ときに、上昇した脳圧をモニタリングするために、頭部内に圧力を測定する装置を入れることもあります。

血液の凝固異常がある小児には、ビタミンKまたは新鮮凍結血漿を投与します。

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