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小児の中枢神経系のウイルス感染症

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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中枢神経系のウイルス感染症は極めて重篤です。 髄膜炎では脳と脊髄を覆う組織が侵され、脳炎では脳そのものが侵されます。

  • 中枢神経系のウイルス感染症は髄膜炎や脳炎を引き起こします。

  • まず熱が出て、病気が進行すると、易刺激性、食事の拒否、頭痛、首の痛みのほか、ときとしてけいれん発作がみられます。

  • 中枢神経系のウイルス感染症は、腰椎穿刺を行って診断を下します。

  • 多くの場合は軽症ですが、症状が重くなり死亡するケースもあります。

  • 抗ウイルス薬は通常、中枢神経系の感染症の治療としては効果がないため、支持療法(水分補給や熱と痛みを緩和する薬など)を行う必要があります。

中枢神経系(脳と脊髄)に感染するウイルスには、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス感染症も参照)、アルボウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスなどがあります。

こうした感染のいくつかでは、主に脳や脊髄を覆う組織(髄膜)が侵されますが、これは髄膜炎と呼ばれます。ウイルス性髄膜炎は、ときに無菌性髄膜炎と呼ばれます。髄膜炎は細菌によって引き起こされることもあります(急性細菌性髄膜炎を参照)。

主に脳を侵すウイルス感染症もあり、これは脳炎と呼ばれます。髄膜と脳の両方を侵す感染症は髄膜脳炎と呼ばれます。小児では脳炎より髄膜炎の方がはるかに多くみられます。

知っていますか?

  • 抗菌薬はウイルス感染症には効きません。

ウイルスは2つの形で中枢神経系に影響を与えます。

  • 急性期には、ウイルスが中枢神経系に直接感染して細胞を破壊し、局所的な腫れをもたらす

  • 体の他の部位に起こった特定のウイルス感染症により、免疫系が神経の周囲の細胞を攻撃したり損傷したりする

後になって現れるこの損傷(感染後脳脊髄炎または急性散在性脳脊髄炎)は、一般的には急性期から回復した後、数週間してから症状を引き起こします。

ウイルスは様々な経路で中枢神経系に入り込みます。例えば新生児であれば、出産時に産道でウイルスを含む分泌液に接触したことでヘルペスウイルス感染症を発症する場合があります。感染者の吐く息に混じって出てきた、ウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染するウイルスもあります。アルボウイルスは感染した昆虫に刺されることで感染します(流行性の脳炎と呼ばれます)。

年長児と青年のウイルス性髄膜炎脳炎の症状および治療は、成人の場合と同様です。乳児とは直接コミュニケーションをとれないため、症状を理解することが難しくなっています。しかし、乳児が中枢神経系の感染症にかかった場合は通常、以下のような症状が現れます。

症状

新生児と乳児の中枢神経系のウイルス感染症では通常、まず熱が出ます。新生児では、発熱以外の症状がなかったり、最初は具合が悪そうに見えなかったりすることがあります。生後約1カ月を過ぎた乳児は、典型的には不機嫌でむずかりやすくなり、乳を欲しがりません。嘔吐もよくみられます。新生児が直立状態にあるとき、頭の柔らかい部分(泉門)が膨らむことがありますが、これは脳が圧迫されていることを示しています。動かすと髄膜をよけい刺激してしまうため、髄膜炎の乳児を抱き上げてあやしても落ち着くどころか、かえって激しく泣くことがあります。また、奇妙な甲高い声で泣く乳児もいます。脳炎を起こした乳児では、けいれん発作や異常な動きがみられることが多く、脳炎が重い場合は、無気力になり昏睡に陥って、やがて死に至ることがあります。

単純ヘルペスウイルス感染症は脳の一部分に集中して発生することが多く、その結果、体の一部分にだけ、けいれんや脱力が起きることがあります。単純ヘルペスウイルスによる脳炎にかかった乳児は、皮膚、眼、口に発疹が出ることもあります。 発疹は、液体で満たされた水疱を伴う赤い斑点で、治る前にかさぶたや痂皮で覆われます(単純ヘルペスウイルス感染症を参照)。

感染後脳脊髄炎は、損傷を受けた脳の部位に応じて様々な神経症状を引き起こします。小児では、腕や脚の筋力低下、視力障害や難聴、歩行困難、行動の変化、知的障害、繰り返すけいれんなどがみられる場合があります。これらの症状の一部はすぐに気がつきますが、後になるまで気づかない症状もあり、例えば、聴力、視力、知能の定期検査で分かることがあります。通常、症状はいずれ消えますが、永続的に残ることもあります。

診断

  • 腰椎穿刺

新生児に発熱がみられる場合や、月齢の高い乳児、小児、青年に、熱があって、不機嫌であったり正常でない行動がみられたりする場合は、医師は髄膜炎や脳炎の可能性を懸念します。髄膜炎や脳炎を診断するため、腰椎穿刺を行って脳脊髄液(髄液)を採取し、臨床検査を行います。ウイルス感染症では、髄液中で白血球数が増加しますが、細菌は見つかりません。髄液の中にウイルスに対する抗体があるかどうか調べるために免疫学的検査を行う場合もありますが、通常、結果が出るのに何日もかかります。髄液中の単純ヘルペスウイルスやエンテロウイルスなどをより迅速に特定するためには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法という技術を利用できます。

脳波の検査(脳波検査)を行ってヘルペスウイルスによる脳炎の診断を補助することもできます。診断の確定にはMRI(磁気共鳴画像)検査CT(コンピュータ断層撮影)検査が役立つことがあり、特に感染後脳脊髄炎の場合に有用です。

予後(経過の見通し)

予後は感染症の種類により大きく異なります。ウイルス性髄膜炎とウイルス性脳炎は、多くの種類では軽症で、小児はすぐに完全に回復しますが、重症になるものもあります。

単純ヘルペスウイルスによる感染症は特に重篤です。治療をしないと、単純ヘルペスウイルスによる脳感染症のある新生児は約50%が死亡し、生存した新生児の3人に2人で脳に重度の損傷が起きます。治療を行っても、約25%が死亡し、生存者の最大半数で脳の損傷が起きます。感染が脳だけでなく体の他の部位にも起きた場合には、死亡率は85%にまで上昇します。

治療

  • 乳児を快適に保つ

  • 発熱またはけいれんに対する薬

  • 感染後脳脊髄炎にはコルチコステロイドなどの薬

大半の乳児で必要とされるのは、支持療法のみです。暖かくして水分をしっかり与え、発熱またはけいれんに対する薬を投与します。抗ウイルス薬は、ほとんどの中枢神経系の感染症に対して効果がありませんが、単純ヘルペスウイルス感染症はアシクロビルの静脈内投与で治療できます。

感染後脳脊髄炎に対しては、神経損傷の原因である免疫反応を、コルチコステロイドなどの薬によって軽減することで、治療が行われることがあります。

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