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乳幼児の呼気性喘鳴

執筆者:

Rajeev Bhatia

, MD, Phoenix Children's Hospital

最終査読/改訂年月 2020年 7月
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やさしくわかる病気事典

呼気性喘鳴とは、気道が部分的に閉塞していたり狭くなっているときに息をすると聞こえる、比較的高い笛のような音です。

  • 呼気性喘鳴は気道の狭窄によって起こります。

  • 他の症状としては、せき、発熱、鼻水などがあり、どのような症状がみられるかは原因によって異なります。

  • 原因の診断は、胸部X線検査のほか、ときにその他の検査に基づいて下されます。

  • 治療には気管支拡張薬や吸入コルチコステロイドなどが用いられます。

呼気性喘鳴は、気道の狭窄または閉塞(ふさがること)によって起こります。狭窄では、次のうち1つ以上の症状がみられます。

  • 気道の組織の腫れ

  • 気道の壁にある小さな筋肉のけいれん(気管支れん縮)

  • 気道への粘液の蓄積

2~3歳頃までは、呼気性喘鳴を繰り返すことはよくあります。 こういった呼気性喘鳴は、最近まで 喘息 小児の喘息 喘息とは、ある種の刺激(誘因)により気道に炎症が起こり、気道が一時的に狭くなって呼吸困難を繰り返す炎症性の肺疾患です。 誘因には、ウイルス感染症、煙、香水、花粉、カビ、チリダニなどがあります。 症状として、呼気性喘鳴(こきせいぜんめい)、せき、息切れ、胸が締めつけられる感じ、呼吸困難がみられます。... さらに読む 小児の喘息 と診断されていました。というのも、このようなエピソードは、喘息と同様、気道を広げる薬(気管支拡張薬)によって軽快する上、喘息の成人はたいていの場合小児期に症状を発症しているためです。しかし現在では、こういった呼気性喘鳴のエピソードがみられる乳幼児のうちで、小児期または青年期まで喘息が続くのはごく一部に限られることが分かっています。

知っていますか?

  • すべての呼気性喘鳴が喘息によって起こるわけではありません。

最終的に喘息と診断される可能性が高いのは、以下のような危険因子をもつ小児です。

しかしたいていの場合、呼気性喘鳴のエピソードは6~10歳までに止まります。このような場合は、喘息とは診断されません。こういった小児には、呼気性喘鳴を繰り返す別の原因があります。

原因

乳幼児に突然、単回の呼気性喘鳴のエピソードがみられた場合の、最も一般的な原因は通常以下のものです。

  • ウイルス感染症

繰り返す呼気性喘鳴の最も一般的な原因は以下のものです。

繰り返す呼気性喘鳴のあまり一般的でない原因には、慢性的な 嚥下困難 嚥下困難 飲み込みに障害が生じること(嚥下[えんげ]困難)があります。嚥下困難では、食べものや飲みものがのど(咽頭)から胃へと正常に移動しません。のどと胃をつなぐ管(食道)の途中で食べものや飲みものが動かなくなったように感じます。嚥下困難をのどのしこり( 球感覚)と混同してはならず、球感覚ではのどにしこりがある感じがしますが、飲み込みに支障はありません。 嚥下困難によって、口腔分泌物や飲食物を肺に吸い込む誤嚥(ごえん)が生じる可能性があります。誤... さらに読む (これによって、肺に繰り返し食べものや飲みものを吸い込んでしまう)、 胃食道逆流 小児の胃食道逆流 胃食道逆流とは、食べものと胃酸が胃から食道に、ときには口の中にまで戻ってくることです。 逆流の原因として考えられるのは、授乳中の乳児の姿勢、授乳量が多すぎた場合、カフェイン、ニコチン、タバコの煙にさらされた場合、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常などがあります。 乳児では、嘔吐、過度の吐き出し、摂食障害や呼吸障害がみられたり、不機嫌なように見えることもあります。 この病気の診断に際して行われる検査には、バリウム検査、食道pHモニタ... さらに読む 、肺の異物、または 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全(HF) などがあります。繰り返す呼気性喘鳴の原因は明らかにならないことがよくあります。

呼気性喘鳴を最初に引き起こした原因にかかわらず、アレルギーまたは刺激物(タバコの煙など)によって、しばしば症状が悪化します。

症状

呼気性喘鳴は、繰り返す乾いた せき 小児のせき せきには、気道から異物を取り除き、異物が肺に入るのを防ぐ働きがあります。異物は吸い込んだ粒子のこともあれば、肺や気道から排出された物質のこともあります。多くの場合、異物はせきをすることで肺と気道からたん(粘液、壊死組織片、細胞などの混合物が肺から吐き出されたもの)として吐き出されます。血液がせきで吐き出されることもあります。たんや血液を吐き出すせきを湿性咳嗽といいます。年長児(および成人)であれば、一般的にせきをして異物を吐き出しますが... さらに読む 、またはたんのからむせきをしばしば伴います。その他の症状は原因によりますが、発 乳児と小児の発熱 正常な体温は人によって異なります。また1日の中でも変動がみられ、一般的には午後に最も高くなります。就学前の小児では体温は高めであり、約1歳半~2歳で最も高い値を示します。このような違いはありますが、ほとんどの医師は直腸体温計による測定で約38℃以上の体温を熱と定義しています( 小児の体温の測り方を参照)。 たいていの場合、親は体温がどのくらい高いかについて心配しますが、熱の高さは必ずしも原因の深刻さを表すものではありません。高熱を引き起... さらに読む 乳児と小児の発熱 、鼻水、(心不全または嚥下困難による)哺乳困難などがありえます。

診断

  • 胸部X線検査

  • まれに、嚥下検査、CT検査、または気管支鏡検査

呼気性喘鳴を何度か繰り返している小児に関しては、重度の呼吸障害の徴候がない限り、発作が起こっても一般に検査は不要です。 重度のもしくは頻繁な発作を繰り返す小児、または気管支拡張薬や他の喘息薬で症状が軽快しない小児には、 嚥下検査 消化管のX線検査 消化器系の問題の評価にはX線検査がよく使われます。標準的なX線検査(単純X線検査)では、特別な準備は何も必要ありません( 単純X線検査)。消化管に閉塞や麻痺がある場合や、腹腔内のガスの分布が異常な場合は、通常は標準的なX線検査で明らかになります。また、肝臓、腎臓、脾臓の腫大も標準的なX線検査で明らかになります。 バリウムを用いたX線検査では、多くの場合、標準のX線検査より多くの情報が得られます。味つけした液体バリウムまたはバリウムでコー... さらに読む CT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 、または 気管支鏡検査 気管支鏡検査 気管支鏡検査とは、気管支鏡(観察用の管状の機器)を用いて発声器(喉頭)や気道を直接観察することです。 気管支鏡の先端にはカメラが付いていて、これによって太い気道(気管支)から肺の内部を観察できます。医師は、気管支鏡に小さな器具を通し、肺や気道組織のサンプルを採取して、肺疾患の診断や一部の肺疾患の治療に役立てることもできます。気管支鏡には、柔軟なもの(軟性気管支鏡)と硬いもの(硬性気管支鏡)があります。気管支鏡によるほとんどの処置(特に診... さらに読む 気管支鏡検査 などその他の検査が必要になることもあります。

治療

  • 発作に対し、気管支拡張薬、ときに吸入コルチコステロイド

  • 重度の呼気性喘鳴に対し、気管支拡張薬と喘息用の抗炎症薬を毎日使用

呼気性喘鳴の発作を起こした乳幼児には、(サルブタモールなどの)気管支拡張薬の吸入のほか、呼気性喘鳴がひどければ、(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]などの)コルチコステロイドを経口投与または静脈内投与します。

持続的な喘息に発展する可能性が低い小児、例えば、アレルギーの徴候またはアレルギーもしくは喘息の家族歴がなく、呼気性喘鳴が比較的軽く頻度も低い小児には、通常、症状をコントロールするため必要に応じて気管支拡張薬を吸入させるだけで十分です。

呼気性喘鳴のエピソードがより重いまたはより頻繁に起こる幼児には、必要に応じた気管支拡張薬の使用と喘息用抗炎症薬(慢性の喘息 慢性の喘息 喘息とは、ある種の刺激(誘因)により気道に炎症が起こり、気道が一時的に狭くなって呼吸困難を繰り返す炎症性の肺疾患です。 誘因には、ウイルス感染症、煙、香水、花粉、カビ、チリダニなどがあります。 症状として、呼気性喘鳴(こきせいぜんめい)、せき、息切れ、胸が締めつけられる感じ、呼吸困難がみられます。... さらに読む 慢性の喘息 )の毎日の使用によって、効果が得られることがほとんどです。ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier―モンテルカストまたはザフィルルカストなど)または低用量の吸入コルチコステロイド(ベクロメタゾンなど)を毎日使用すると、呼気性喘鳴のエピソードの頻度と重症度が低下するものの、これらの薬剤を使用したからといって病気の自然経過が変わるわけではありません。

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