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分娩時の子宮からの出血過多

(分娩後出血)

執筆者:

Julie S. Moldenhauer

, MD, Children's Hospital of Philadelphia

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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子宮からの出血過多とは、約1000ミリリットル以上の失血、または分娩から24時間以内に起こる多量の失血の症状を指します。

胎児の娩出後は子宮からの出血過多に注意が必要です。

経腟分娩の場合、通常は分娩中と分娩後で約500ミリリットルの出血があります。子宮から胎盤が剥がれるときに一部の血管が開いた状態になり、出血が起こります。血管がふさがるまで、子宮の収縮が血管を閉じるのを助けます。一般的に帝王切開では経腟分娩の約2倍の出血が生じますが、その理由として、分娩に子宮の切開を要することが挙げられます(妊娠中は大量の血液が子宮に送られます)。

分娩から24時間以内に以下のいずれかが起こった場合、出血過多であるとみなされます。

  • 約1000ミリリットル以上の失血

  • 低血圧、心拍数の増加、めまい、ふらつき、疲労、脱力などの多量の失血の症状

大量の出血が起こるのはたいてい分娩直後ですが、産後1カ月も経過してから起こることもあります。

原因

分娩時の出血過多の最も一般的な原因は以下のものです。

  • 分娩後に収縮し始めず、緩んで伸びたままの子宮(子宮弛緩と呼ばれる状態)

分娩後に子宮が収縮し始めないと、胎盤が剥がれるときに開いた血管からの出血が止まりません。

以下のような状況では、子宮の収縮が妨げられます。

  • 子宮の羊水量の過多多胎妊娠非常に大きい胎児などにより、子宮が過度に拡張していた場合

  • 分娩が長引いた場合や異常分娩であった場合、あるいは急速に進んだ場合

  • 出産経験が5回以上の場合

  • 陣痛および分娩時に筋弛緩作用のある麻酔薬を使用した場合

  • 胎児を包んでいる膜に感染が生じた場合(羊膜感染

以下が起こった場合にも出血過多が生じやすくなります。

分娩後に出血過多を1度でも起こしたことがある場合は、それ以降の分娩でも産後に出血過多が起きるリスクが上昇します。子宮筋腫も出血過多のリスクを高めることがあります。

診断

  • 医師による評価

分娩後出血の診断は、出血量の注意深い観察に基づきます。腟と会陰部を診察し、修復の必要がある裂傷がないかどうか確認します。医師は母親の腹部をそっと押して子宮に触れ、子宮が硬いかどうか調べます。柔らかい子宮は、子宮が正常に収縮しておらず、子宮内に血液がたまっていることを示唆している可能性があります。

母体の血圧や心拍数などのバイタルサインのモニタリングは、出血過多であるかどうかを医師が判断するのに役立ちます。血圧の低下や心拍数の増加は、出血過多を示唆している可能性があります。

予防

陣痛が始まる前に、分娩後の出血過多に対する予防策や対応策を取ります。例えば、出血のリスクを高める状態(羊水過多や出血性疾患など)の有無を確認します。母親がまれな血液型の場合は、その型の血液を確実に入手できるように手配します。分娩はできるだけ時間をかけて、損傷が生じないように努めます。

胎盤の娩出後は、子宮の収縮を確認し出血量を調べるため、少なくとも1時間はモニタリングします。

治療

  • 子宮のマッサージ

  • 子宮の収縮を促す剤

  • 輸液(静脈からの水分補給)

  • ときに輸血

  • ときに子宮の動脈を圧迫する処置

出血過多の場合は下腹部圧迫による子宮のマッサージを行い、オキシトシンを静脈内に持続的に投与します。これらの処置により子宮の収縮が促されます。血流内の水分量の回復を助けるために輸液も行います。出血が続くようであれば、子宮収縮を促進する別の薬剤も投与します。これらの薬剤は筋肉内に注射することや直腸に錠剤を入れたりすることがあり、帝王切開中の場合には子宮内に注入します。

輸血が必要になることもあります。

医師は出血過多が起きた原因を探します。胎盤の断片が残っていないか子宮を調べることもあります。まれに、胎盤の断片を取り除くために頸管拡張・内膜掻爬が必要な場合があります。この処置を行う際には、鋭利な小型の器具(キュレット)を子宮頸部(通常は分娩により開いたままです)から入れます。キュレットを使って残っている胎盤の断片を取り除きます。この処置は麻酔下で行います。子宮頸部や腟を診察して、裂傷がないか確認します。

子宮を刺激しても収縮が起こらず出血が続く場合は、子宮に血液を送る動脈を圧迫して血流を遮断しなければならない場合もあります。この処置には以下のものがあります。

  • 子宮内にバルーンを入れ、膨らませる。

  • パッキングを子宮内に挿入する。

  • 医師が子宮底部の周囲を縫合する(腹部手術を必要とする処置)。

これらの処置を行っても、不妊症や月経異常、その他の長期的な問題は通常生じません。

ときに、手術または動脈塞栓術(カテーテルから動脈に特殊な物質を注入して動脈を詰まらせる処置)によって、子宮に血液を送る動脈をふさぐ治療が必要になる場合もあります。

まれに、出血を止めるために子宮摘出術が必要になることがあります。

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