妊娠は卵子が精子と受精した瞬間から始まります。およそ9カ月間、妊娠した女性の体は受精卵が胎児へと成長していく過程を守り育む環境となります。新生児の誕生である出産とともに妊娠は終了します。
月経周期が規則的な女性では、月経が通常の予定日よりも1週間以上遅れていれば、妊娠の可能性があります。典型的な症状から妊娠に気づくこともあります。具体的には以下のものがあります。
乳房が大きくなったり乳房に圧痛がみられたりする
嘔吐を伴うこともある吐き気
頻尿
普段と違う疲労感
食欲の変化
市販の妊娠検査薬
妊娠に関する臨床検査
医師は女性の尿もしくはときに血液を検査して、妊娠しているかどうかを判断します。こうした検査は99%以上で正確な結果が得られます。
なかでも酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)と呼ばれる検査は迅速かつ簡便な検査で、尿中に含まれるごくわずかなヒト絨毛性ゴナドトロピンも検出可能です。検査の中には受精の数日後(月経が遅れていると気づく前)のごく微量のホルモンを検出できるものもあります。検査の結果は30分ほどで分かります。
正常な妊娠で胎児が1人の場合、受精してから60日間は血液中のヒト絨毛性ゴナドトロピンは約2日毎に倍増します。妊娠中はこのホルモンを測定して妊娠の経過が順調であるかが判断できます。
出産予定日
妊娠の期間は最終月経の開始日を起点として週単位で数えるのが通例です。
妊娠が確認されると、最後の月経がいつであったかを尋ねられます。大まかな出産予定日は、最終月経開始日から9カ月と1週間後として計算されます。例えば、最終月経開始日が1月1日の場合、医師は10月1日まで3カ月遡り、そこに1年と7日を足します。そうすると出産予定日は10月8日となります。妊娠した女性のうち出産予定日の当日に出産する割合は10%以下にすぎませんが、予定日の前後1週間以内に50%が、前後2週間以内に約90%が出産します。分娩日が予定日の2週間前から2週間後までの間であれば、正常(正期産)とみなされます。
通常、月経開始日のおよそ2週間後に卵巣から卵子が放出され(排卵)、 受精 受精 受精卵として始まった新たな命は、いくつもの段階を経て成長していきます。受精卵は胚盤胞、胎芽、胎児へと発達していきます。 月経周期が正常であれば、最後の月経開始日の約14日後に、通常、左右の卵巣のどちらかから1個の卵子が放出されます。卵子が放出されることを排卵といいます。放出された卵子はじょうご形をしている卵管の開口部からさっと卵管内に入り... さらに読む は通常、排卵直後に起こります。したがって胎児は、妊娠期間を表すために用いられることの多い妊娠週数よりも約2週間若いことになります。例えば妊娠4週の場合、母体には受精後2週間経過した胎芽(胎児)がいることになります。月経周期が不規則であると、実際の胎児の週齢との差が2週間以上長くなったり短くなったりすることがあります。
月経周期が規則的で28日ならば、妊娠期間は受精日(受胎)から平均266日間(38週間)、最終月経開始日から280日間(40週間)となります。妊娠期間は最終月経開始日を基準にして、3カ月単位で3つの期間に分けられます。
第1トリメスター(訳注:日本の妊娠初期にほぼ相当):妊娠0~12週
第2トリメスター(訳注:日本の妊娠中期にほぼ相当):妊娠13~24週
第3トリメスター(訳注:日本の妊娠後期にほぼ相当):妊娠25週~分娩
出産予定日を決定する最も正確な方法は超音波検査で、とりわけ妊娠の初期の12週間に行われた超音波検査は正確です。