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バリア法による避妊

執筆者:

Frances E. Casey

, MD, MPH, Virginia Commonwealth University Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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バリア法とは、子宮内への精子の進入を物理的に阻止する避妊法です。具体的には、コンドーム、ペッサリー、子宮頸管キャップ、避妊用スポンジ、殺精子剤などがあります。

進入の阻止:バリア法による避妊

バリア法による避妊では、子宮内への精子の進入を阻止します。具体的には、コンドーム、ペッサリー、子宮頸管キャップ、避妊用スポンジなどがあります。コンドームには殺精子剤が付いているものもあります。殺精子剤が付いていないコンドームや他のバリア式の避妊具を使用する場合は、同時に殺精子剤を使用すべきです。

進入の阻止:バリア法による避妊

コンドーム

コンドームとは、陰茎にかぶせる避妊用の薄い袋です。ラテックス製のコンドームは、淋菌感染症や梅毒など細菌による性感染症(STD)とヒトパピローマウイルス(HPV)やヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルスによる性感染症を含む、すべての一般的な性感染症を予防できる唯一の避妊法です。ポリウレタン、ポリイソプレン、シリコンゴムなどの合成素材でできたコンドームにも感染を予防する効果はある程度ありますが、ラテックス製よりも薄いため裂けやすいという欠点があります。ラムスキン(羊の腸)で作られたコンドームには、HIV感染症などのウイルス感染を防ぐ効果はありません。

知っていますか?

  • ラテックス製のコンドームは、HIV感染症を含むすべての一般的な性感染症の予防策にもなる唯一の避妊法です。

コンドームで避妊効果を得るには、正しく使用する必要があります。コンドームは陰茎を挿入する前に装着するようにします。正しい使用法は以下の通りです。

  • 性交のたびに新しいコンドームを使う。

  • 正しいサイズのコンドームを使う。

  • 爪や歯、その他のとがったもので傷をつけないように注意して取り扱う。

  • 勃起後、パートナーと性器が触れ合う前に装着する。

  • コンドームがどちら向きに巻かれているかを確認するために、人差し指にコンドームを乗せて、そっと少しだけ巻き下ろす。スムーズに下ろせない場合は、コンドームをひっくり返し、反対向きを試す。正しい向きが分かったら巻き戻す。

  • まるまったコンドームを勃起した陰茎の先端にあてる。

  • 精液をためるすき間として、コンドームの先端を1センチメートルほど残しておく。

  • 片手でコンドームの先端をつまんで空気を押し出す。

  • 包皮環状切除術を受けていない場合は、コンドームを巻き下ろす前に包皮を引き下ろしておく。

  • もう一方の手でコンドームを陰茎の根元まで巻き下ろし、気泡があれば押し出して密着させる。

  • 性交中、潤滑が十分であることを確認する。

  • ラテックス製コンドームの場合は、必ず水性の潤滑剤を使用する。油性潤滑剤(ワセリン、ショートニング、鉱物油、マッサージオイル、ボディーローション、調理油など)はラテックスを劣化させ、コンドームの破損につながる。

  • コンドームから精液が漏れるのを防ぐため、陰茎を引き抜く際は陰茎の根元でコンドームをしっかり押さえる。

男性用コンドームは、精液を受け止めるスペースを残すため、先端に1センチメートル余りゆとりをもたせて装着する必要があります。精液を受け止めるためのスペースがあらかじめ先端に設けられているコンドームもあります。射精後は、コンドームの縁が陰茎の根元にしっかり固定されている間に、すぐに腟から陰茎を抜く必要があり、これはコンドームが外れて精液が漏れるのを防止するためです。

女性用コンドームは、内側と外側にリングの付いた袋状のものです。内側のリングを腟(または肛門)の中にできるだけ深く入れ、外側のリングは外に出したままにしておきます。挿入時には陰茎を外側のリングから注意深く袋の中に導き入れます。陰茎がすべり出てしまったり、外側のリングが腟内に入ってしまった場合には、まだ射精の前であれば、コンドームを取り出して再度挿入することができ、これにより妊娠のリスクが生じることはありません。コンドームを取り出す前に外側のリングをつまんでひねり、精液が漏れないようにします。コンドームは慎重に外します。精液が漏れてしまうと、精子が腟に入って妊娠する可能性があります。女性用コンドームは性交の最長8時間前に挿入し、性交後6時間入れたままにする必要があります。

コンドームは性交のたびに取り替え、品質が疑わしいものは使用せずに廃棄します。

男性用コンドームの使用開始後最初の1年間で妊娠が起きる可能性は、正確な使用(使用法に確実に従った場合)で約2%、典型的な使用(大多数の人の使用の仕方)では約18%です。女性用コンドームの使用開始後最初の1年間で妊娠が起きる可能性は、正確な使用の場合で5%、典型的な使用の場合で21%です。

コンドームの潤滑剤に含まれている殺精子剤や、腟内に別に入れる殺精子剤によって、有効性がさらに高まります。殺精子剤は新しいコンドームを使用するたびに付けなおします。

ペッサリー

ペッサリーはドーム形をしたゴム製のカップで、ふちの部分に伸縮性があり、腟から挿入して子宮頸部にかぶせて使用します。ペッサリーは、子宮内への精子の進入を阻止します。

様々なサイズがあるペッサリーでは、医療従事者に適切なサイズを選んでもらい、挿入方法を教わる必要があります。体重の増減が4.5キログラム以上あった場合、1年以上ペッサリーを使用している場合、ならびに出産や中絶をした場合には、腟の大きさや形が変化することがあるため、医療機関を受診してペッサリーのサイズを合わせなおす必要があります。

新しいタイプのペッサリーは、1つのサイズで大半の女性に適合すると考えられています。このペッサリーはシリコン製です。古いタイプのペッサリーはラテックスでできています。シリコン製のペッサリーは古いタイプのペッサリーより柔らかく、耐久性が高くなっています。

ペッサリーは正しく装着されていれば不快感を生じることなく、子宮頸部全体を覆った状態になります。性交時に女性やパートナーがペッサリーの存在を感じることはありません。殺精子剤(精子を殺す作用のある薬剤)のクリームまたはゼリーを必ず併用すべきです。性交中にペッサリーの位置がずれた場合に備えて、カップの中(子宮頸部に最も近い部分)にクリームかゼリーを入れます。

ペッサリーは性交前に挿入し、性交後少なくとも6時間、できれば8時間はそのままにします。ただし、24時間以内に外すようにします。ペッサリーを挿入した状態で続けて何回も性交を行う場合は、追加して殺精子剤のクリームかゼリーを腟内に入れ、避妊効果が続くようにします。

ペッサリーは洗って再度使用することができます。またペッサリーは、破れていないか定期的に目で見て確かめる必要があります。

ペッサリーの使用開始後最初の1年間の妊娠率は、正確な使用の場合で約6%、典型的な使用の場合で約12%です。

子宮頸管キャップ

子宮頸管キャップは、帽子のような形をしたシリコン製のカップで、腟から挿入して子宮頸部にかぶせて使用します。子宮頸管キャップは、子宮頸部への精子の進入を阻止します。子宮頸管キャップはペッサリーと似ていますが、より小さく硬いものです。

米国で使用可能な子宮頸管キャップは1種類のみです。3つのサイズがあります。女性の妊娠経験の有無と過去の出産が経腟分娩であったか帝王切開であったかに基づいて、医療従事者が必要なサイズを判断します。子宮頸管キャップは医療従事者が処方せんを書く必要がありますが、各個人にサイズを合わせる必要はありません。

子宮頸管キャップは必ず、殺精子剤のクリームまたはゼリーと併用します。キャップは性交前に挿入し、性交後少なくとも6時間はそのままにしておき、48時間以内に外します。子宮頸管キャップには、取り出しやすいようにストラップが付いています。子宮頸管キャップは1年間にわたり、洗って繰り返し使用することができます。

使用開始後最初の1年間の妊娠率は、出産経験のない女性の典型的な使用の場合で約12%です。しかし、出産経験のある女性では、出産経験のない女性と比べて、子宮頸管キャップの使用時に妊娠する可能性が高くなります。これは、出産により子宮頸部が変化することから、キャップが密着しにくくなるためです。

避妊用スポンジ

避妊用スポンジは、丸いクッションのような形をした直径4センチメートルほどのポリウレタン製のスポンジです。このスポンジを水で濡らして折った状態で腟の奥深くに挿入することで、子宮内への精子の進入を阻止します。スポンジには殺精子剤も含まれています。市販されていて、医療従事者によるサイズ調整は不要です。

性交の最長24時間前までに女性が腟にスポンジを挿入すると、その間は性交回数にかかわらず予防効果があります。スポンジは最後の性交後6時間以上はそのままにしておき、30時間以内に取り除きます。通常、挿入後はどちらのパートナーもその存在を感じることはありません。

スポンジは、ペッサリーほど有効ではありません。出産経験のない女性の典型的な使用による妊娠率は12%で、出産経験のある女性では24%です。

使用に関連する問題は比較的まれですが、アレルギー反応、腟の乾燥や刺激感、取り出しが難しいことなどがあります。

殺精子剤

殺精子剤とは、接触した精子を殺傷する薬剤です。腟用の発泡剤、クリーム、ゼリー、坐薬などが入手可能で、性交前に腟に入れて使用します。こういった避妊法では、精子を捕らえ、傷害を与えることで、卵子との受精を防ぎます。

殺精子剤の種類による避妊効果の差は特にないようです。殺精子剤を指示通りに使用している女性のうち、使用開始後最初の1年間で妊娠する人の割合は約19%です。殺精子剤の効果は限られているため、コンドームやペッサリーなどバリア式の避妊具との併用が最善の使用方法です。

殺精子剤は性交の少なくとも10~30分前、通常は早くても1時間前に腟内に入れます。カップルが性交するたびに使用すべきです。

1日に数回使用すると腟の刺激感や腟粘膜の損傷を起こす可能性があり、その結果として、性感染症の原因微生物(HIVを含む)が体内に侵入して病気を引き起こしやすくなります。

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