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妊娠中の感染症

執筆者:

Lara A. Friel

, MD, PhD, University of Texas Health Medical School at Houston, McGovern Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 1月
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妊娠中に発症することが非常に多い、皮膚、尿路、気道などの感染症が重篤な問題を引き起こすことはありません。しかし感染症の中には分娩前もしくは分娩中に胎児に感染して、胎児に悪影響を与えたり、流産早産の原因になったりするものもあります。また、妊娠中に抗菌薬を使用することが安全かどうかという懸念もあります。

問題を引き起こすことのある性感染症には、以下のものがあります。

  • クラミジア感染症は、切迫早産や前期破水の原因になることがあります。新生児に眼の炎症(結膜炎)を引き起こすこともあります。

  • 淋菌感染症も新生児の結膜炎の原因になります( 新生児の主な感染症 : 結膜炎)。

  • 梅毒は胎盤を通じて母体から胎児へ感染することがあります。梅毒はいくつかの先天異常を引き起こす可能性があり、新生児に問題が起こる可能性もあります( 新生児の主な感染症 : 梅毒)。妊娠の初期に、妊婦には決まって梅毒検査を行います。通常、妊娠中に梅毒を治療すると、母子双方が治癒します。

  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していて治療を行っていない場合、妊婦の約4分の1から3分の1に母子感染が起こります。専門家はHIVに感染している女性に対して妊娠中、抗レトロウイルス薬を服用することを勧めています。妊婦が複数の抗レトロウイルス薬を併用して服用すると、胎児のHIV感染のリスクを1%にまで低下させることができます。母体がHIVに感染している場合、計画的に帝王切開で分娩することにより、胎児へのHIV感染リスクをさらに低下できることもあります。妊娠によって母体のHIV感染症の進行が早まることはないようです。

  • 性器ヘルペスは経腟分娩の際に胎児に感染することがあります。ヘルペスウイルスに感染した新生児は、ヘルペス脳炎と呼ばれる生命を脅かす脳の感染症を起こすことがあります。新生児のヘルペス感染はその他の内臓にも損傷を与えたり、皮膚や口腔にヘルペス潰瘍を生じさせたり、永続的な脳損傷の原因になったりする可能性があり、死亡に至ることさえあります。妊娠後半に陰部にヘルペス潰瘍ができた場合や、妊娠後半になって初めてヘルペスを発症した場合は、胎児への感染を予防するため、通常は帝王切開が勧められます。潰瘍がみられず、ヘルペスの発症がより早期であった場合は、胎児への感染リスクは非常に低くなります。

  • ジカウイルス感染症の妊婦では、子どもの頭部が小さくなることがあります(小頭症)。頭部が正常に発達していないため、小さくなります。ジカウイルス感染症は子どもの眼の異常の原因になることもあります。ジカウイルスは蚊によって広がりますが、性交や輸血によって感染することや、出生前や出生時に母親から子どもに感染することもあります。

性感染症以外の感染症で問題を起こす可能性があるのは、以下のものです。

  • 風疹では、特に出生前に胎児が十分に成長しない、白内障、心臓の先天異常、難聴、発達の遅れなどの問題が起こる可能性があります。

  • サイトメガロウイルス感染症では、ウイルスが胎盤を通過して胎児の肝臓や脳に損傷を起こし、胎児の成長が在胎週数の割に遅くなることがあります。

  • 水痘(水ぼうそう)は流産のリスクを高めます。胎児の眼に異常が起こったり、四肢の欠損、盲目、知的障害の原因になることがあります。胎児の頭部が正常よりも小さくなることがあります(小頭症)。

  • 原虫感染症であるトキソプラズマ症は、流産、胎児の死亡、重篤な先天異常の原因になることがあります。

  • 細菌感染症であるリステリア症は、早産、流産、死産のリスクを高めます。新生児が感染していても、生後数週間経つまで症状がみられないことがあります。

  • 腟の細菌感染症(細菌性腟症など)から切迫早産や前期破水が起こることがあります。

  • 尿路感染症は、切迫早産や前期破水のリスクを高めます。

肝炎は性行為により感染しますが、他の経路で感染することもしばしばあります。そのため一般的に性感染症とみなされていません。妊婦における肝炎では、早産のリスクが高まります。分娩時に母親から子どもに感染することもあり、問題が生じます。

治療

  • ときに薬剤(便益とリスクのバランスによる)

妊婦に抗菌薬を使用するかどうか判断する際には、医師は薬剤の使用によるリスクと問題の感染症によるリスクを比較して検討します。

一般に、ペニシリン系、セファロスポリン系、およびエリスロマイシンに関連する薬剤(マクロライド系薬剤)などの抗菌薬は妊娠中に使用しても安全であると考えられています。

それ以外の抗菌薬(テトラサイクリン系とフルオロキノロン系を含む)は、胎児に問題を引き起こす可能性があります( 妊娠中に問題を引き起こす可能性がある主な薬剤 *)。

医師は、治療が便益をもたらす可能性があるかについても検討します。例えば、妊婦が細菌性腟症にかかっていても症状がなく、かつ妊娠がハイリスクと考えられない場合、細菌性腟症の治療に便益があるかどうかは明らかではありません。

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