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腟がん

執筆者:

Pedro T. Ramirez

, MD, The University of Texas MD Anderson Cancer Center;


Gloria Salvo

, MD, MD Anderson Cancer Center

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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腟がんはまれながんで、典型的には60歳以上の女性において、通常は腟の内側を覆っている細胞から発生します。

  • 腟がんでは、異常な性器出血(不正出血)が生じることがあります(特に性交後)。

  • 腟がんの疑いがある場合は、腟から組織サンプルを採取して検査します(生検)。

  • がんは手術により切除するか、放射線療法を行います。

米国では、腟がんが婦人科がん全体に占める割合はわずか1%程度です。腟がんの診断時の平均年齢は60~65歳です。

女性の内性器の位置

女性の内性器

腟がんは、尖圭コンジローマや子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発生することがあります。ヒトパピローマウイルス感染 ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) ヒトパピローマウイルス(HPV)は、いぼの原因になります。HPVの中には皮膚にいぼを作り出すものもあれば、性器のいぼ(腟、陰茎、または直腸の内部や周囲に生じるできもので、尖圭コンジローマと呼ばれます)の原因になるものもあります。一部の種類のHPVに感染すると、がんになることもあります。HPVは性感染症です。 ヒトパピローマウイルス(HPV)の種類が違えば、引き起こされる感染症も異なります。例えば、性器にできる、目で見て確認しやすいいぼも... さらに読む ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) や、子宮頸がん 子宮頸がん 子宮頸がんは子宮頸部(子宮の下部)に発生します。 子宮頸がんは通常、性交時に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症の結果として発生します。 子宮頸がんは不定期の性器出血(不正出血)を引き起こすことがありますが、がんが大きくなるか広がるまで何の症状もみられない場合もあります。 通常は子宮頸部細胞診で異常が見つかり、その場合は生検を行います。 さらに読む 子宮頸がん または外陰がん 外陰がん 外陰がんは通常、腟の開口部周辺に生じる皮膚がんです。 しこりやかゆみ、あるいは、なかなか治らないただれとして現れます。 異常がある組織のサンプルを採取して検査します(生検)。 外陰部の一部もしくは全体とその他の病変部を手術で切除します。 再建手術を行うことで、外観や機能が改善します。 さらに読む があると、腟がんの発生リスクが高まります。

腟がんの95%以上が扁平上皮がんで、腟粘膜の表面を構成する、皮膚の細胞に似た平らな細胞から発生するがんです。これ以外の腟がんのほとんどは、腺細胞から発生する腺がんです。まれにみられる種類として明細胞がんがあり、これは流産を予防するため妊娠中にジエチルスチルベステロール(DES)を服用した母親から生まれた女性にできるがんで、これ以外の場合にはまずみられません。(米国では1971年にDESの使用は禁止されています。)

治療しないでいると、腟がんが増殖して周辺組織に浸潤します。やがて血管やリンパ管に入り込んで膀胱、直腸、近くのリンパ節、体の別の部位などに転移することもあります。

症状

腟がんの最も多くみられる症状は異常な性器出血で、性交中や性交後、月経期以外の時期、閉経後などに生じます。腟の粘膜にただれが生じることもあり、そこから出血や感染を起こすこともあります。その他の症状としては、水っぽいおりものがみられたり、性交の際に痛みを感じることがあります。症状がまったく現れない女性もまれにいます。

がんが大きくなり膀胱を圧迫すると、頻繁に尿意を感じたり、排尿痛が起きたりします。進行した患者では、腟と膀胱または直腸との間に瘻孔(ろうこう)と呼ばれる異常な通路ができてしまうことがあります。

診断

  • 生検

診断を確定するには腟壁から組織を採取し、顕微鏡で調べます(生検)。診察で見つかった腫瘍やただれなどの異常な領域は、必ず組織サンプルを採取するようにします。

このほかに、膀胱鏡検査や直腸鏡検査などの内視鏡検査、胸部X線検査、CT検査などを行ってがんが広がっているかどうかを調べることもあります。

腟がんの病期診断

医師はがんの大きさや体内での広がりに基づき、病期を診断します。病期は、I期(早期がん)からIV期(進行がん)に分類されます:

  • I期:がんが腟壁内に限局している。

  • II期:がんが腟壁を越えて近くの組織に広がっているが、骨盤内(内性器、膀胱、および直腸がある部分)にとどまっている。

  • III期:がんが骨盤内全体(膀胱や直腸を除く)に広がっている。

  • IV期:がんが膀胱または直腸に広がっている、または骨盤外に広がっている(例えば、肺や骨)。

予後(経過の見通し)

腟がんの女性の予後はがんの病期によって異なります。

診断と治療から5年後に生存している人の割合(5年生存率)は、以下の通りです。

  • I期:約65~70%

  • II期:47%

  • III期:30%

  • IV期:約15~20%のみ

治療

  • 早期の腟がんでは、手術による腟、子宮、および近くのリンパ節の切除

  • その他の多くの腟がんでは、放射線療法

腟がんの治療も病期によって異なります。

早期の腟がんでは、第1選択の治療法として腟、子宮、および骨盤内リンパ節の切除と腟の上部の切除を行います。

その他のケースではほとんどの場合、放射線療法を行います。通常、放射線療法では、内照射療法(腟内に放射線を放出する機器[小線源]を埋め込む、密封小線源治療と呼ばれる方法)と外照射療法(体外から骨盤部に放射線を照射する方法)を併用します。

瘻孔ができている場合は、放射線療法を行うことができません。このような場合には、一部またはすべての骨盤内の臓器を切除します(この手術を骨盤除臓術と呼びます)。対象となる臓器には、生殖器(腟、子宮、卵管、および卵巣)、膀胱、尿道、直腸、および肛門が含まれます。どの臓器を切除するかや、すべてを切除するかどうかは、がんの位置、患者の解剖学的構造、手術後の目標など、多くの要因によって異なります。尿(人工膀胱造設術)と便(人工肛門造設術— 人工肛門造設術について理解する 人工肛門造設術について理解する 大腸がんのリスクは、家族歴や食事に関する一部の要因(低繊維、高脂肪)によって高まります。 典型的な症状としては、排便時の出血、疲労、筋力低下などがあります。 50歳以上の人ではスクリーニング検査が重要です。 診断を下すために大腸内視鏡検査がよく行われます。 早期に発見された場合に最も高い治癒の可能性があります。 さらに読む 人工肛門造設術について理解する )を排出するため、腹部に固定した開口部を作り、そこを通して排泄物を体外に出し、バッグに貯められるようにします。この手術の後には、通常はいくらかの出血、分泌物、強い圧痛や痛みが数日続きます。一般的な入院期間は3~5日です。感染症、切開部の傷が開く、腸閉塞、瘻孔(臓器と臓器の間に異常な通路ができること)などの合併症が起こる可能性があります。

腟がんの治療後には、性交が困難ないし不可能になることがあります。

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