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性交痛

執筆者:

Rosemary Basson

, MD, University of British Columbia and Vancouver Hospital

最終査読/改訂年月 2013年 7月
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性交痛とは、性交や挿入を伴う他の性行為を試みた際、またはこれらの行為中に生じる痛みです。

  • 腟口(腟の開口部)付近の痛みもあれば、奥の部分の痛みもあります。

  • 腟の乾燥または性器の病気により生じる可能性があります。

  • 診断は症状と内診の結果に基づいて下されます。

  • 麻酔薬軟膏、潤滑剤、骨盤筋を弛緩させる練習、性交時の体位の変更などが症状の緩和に役立ちます。

  • 原因が特定されれば、それに対する治療を行います。

性器周辺や外陰部など腟の開口部周辺の表皮部分に痛みを感じることもあります。あるいは、陰茎または性具がもっと奥に挿入されたときに骨盤内の奥で感じる痛みもあります。痛みには焼けつくような痛み、鋭い痛み、締めつけるような痛みなどがあります。骨盤筋が緊張する傾向があると、腟口付近であれ深部であれ、痛みが強くなります。

性交痛を含め、痛みは感情から大いに影響を受けます。例えば、レイプのようにトラウマになる性的経験をすると、軽度の不快感であっても激しい痛みのように感じることがあります。セックスパートナーに対する怒り、親密になることや妊娠に対する恐れ、否定的な自己像、あるいは痛みが消えることはないという思い込みなどにより、痛みをより強く感じることもあります。

原因

腟口付近の痛みか深部の痛みかによって原因は異なります。

腟口付近の痛み

腟が十分な体液を分泌しないために、性交痛が生じます。腟が乾燥し、性交時の潤滑性が不十分になるためです。前戯が足りないと潤滑性が不十分になります。また、加齢とともに エストロゲンが減少し、腟の粘膜が薄くなって乾燥しやすくなります。この状態を萎縮性腟炎と呼びます。また、授乳している間は エストロゲンの血中濃度が低くなるため、腟が乾燥しやすくなります。抗ヒスタミン薬を服用すると、一時的に腟がやや乾燥することがあります。

腟口(腟の開口部)付近の痛みは以下のような理由によっても生じます。

  • 痛みに対する性器周辺の感受性の増加(誘発性腟前庭痛— 誘発性腟前庭痛 (腟前庭炎))(最も一般的な原因)

  • 性器周辺、腟、バルトリン腺(腟口の両側にある小さい分泌腺)などの炎症や感染(性器ヘルペスを含む)

  • 尿路の炎症や感染

  • 性器周辺のけが

  • 腟に影響を及ぼす放射線療法(腟の弾力性が低下したり、組織の瘢痕化が生じたりすることで、腟周辺の組織が萎縮し、腟が短くなる可能性がある)

  • 避妊用発泡剤やゼリーまたはラテックス製コンドームに対するアレルギー反応

  • 腟の筋肉の不随意の収縮(腟けい)

  • まれに、先天異常(腟内の異常隔壁など)または陰茎の挿入を妨げる処女膜

  • 腟を狭くするような手術(例えば分娩時に裂けた組織を修復する手術、骨盤底障害の修復手術など— 骨盤底障害

処女膜は腟口を取り巻いている膜ですが、ごくまれに腟口完全に覆っている場合もあります。初めて性交をする女性では、処女膜が伸ばされたことがない場合(例えばタンポンの使用や指による腟内部の性的刺激による)、裂けて痛みや出血が生じることがあります。生まれつき処女膜が異常に硬く締まっている人もわずかながら存在します。

深部の痛み

以下のような理由で、性交時または性交後に深部の痛みが生じます。

  • 子宮頸部、子宮、卵管の感染症(骨盤内炎症性疾患)により骨盤内に膿がたまっている(膿瘍)

  • 子宮内膜症

  • 骨盤内の腫瘤(腫瘍や卵巣嚢胞など)

  • 感染、手術、骨盤内臓器(膀胱、子宮、子宮頸部、卵管、卵巣など)のがんに対する放射線療法などの後に生じた、骨盤内臓器の間の瘢痕組織(癒着)

ときにはこのような病気の1つ(例えば子宮筋腫)が原因で、子宮が後ろに傾くことがあり(子宮後傾)、深部の痛みが生じます。骨盤部の筋肉の意図しない(不随意の)強い収縮(骨盤筋緊張亢進)が深部の痛みの原因になる場合や、深部の痛みによって生じる場合があります。

診断

診断は、痛みを感じるタイミングと部位など症状に関する患者の説明と身体診察の結果に基づいて下されます。炎症や異常の徴候など考えられる原因がないか、性器周辺をやさしく、かつ徹底的に診察します。異常のある部位が見つかれば、サンプルを採取して顕微鏡で調べることがあります(生検)。

痛みが生じる部位を特定するため、綿棒でその部位にやさしく触れます。手袋をはめた指を1、2本腟に挿入して腟周囲の骨盤筋の緊張を調べます。次に子宮と卵巣を調べるため、もう片方の手を下腹部に置きます。直腸診を行うこともあります。

治療

カップルは、挿入しないで互いに快感を得る(オルガスムと射精を含む)方法を見つけるよう勧められます。そのような方法には例えば、口、手やバイブレーターによる刺激があります。

腟口付近の痛みに対しては、麻酔薬軟膏の塗布や坐浴が有用な場合もありますし、性交前に十分な量の潤滑剤を使うのも1つの方法です。ワセリンや油性の潤滑剤よりも、水性の潤滑剤の方が適しています。油性の製品を使うと腟が乾きやすくなり、コンドームやペッサリーなどラテックス製の避妊具が破損することもあります。前戯にかける時間を長くすることにより、腟の潤滑性が増すこともあります。

深部の痛みに対しては、性交時の体位を変えると軽減することがあります。例えば、挿入をコントロールできるよう女性が上に乗る体位や、陰茎の深い挿入を制限する体位などです。

原因に応じた特別な治療法として、以下のものがあります。

  • 閉経後の腟の変化(薄くなる、乾燥するなど): エストロゲンのクリーム(プラスチック製のアプリケーターを使用)、錠剤、リング(ペッサリーに類似)を腟内に挿入したり、あるいはホルモン療法の一環としてエストロゲンを内服します。

  • 感染症:抗菌薬、抗真菌薬などの適切な薬剤で治療します( 主な腟感染症)。

  • 嚢胞や膿瘍:外科的に切除します。

  • 強靱な処女膜や他の先天異常:外科的に修復します。

認知行動療法やマインドフルネス認知療法(MBCT— 治療)などの精神療法が有益になる女性もいます。マインドフルネスでは、起こっていることに対して判断を下したり、観察したりすることなく、その瞬間に起こっていることだけに集中します。

骨盤筋を弛緩させる練習を、ときにバイオフィードバック法( バイオフィードバック法)を用いて行えば、骨盤筋の緊張がある女性が意識的に筋肉を弛緩させる方法を習得する助けになります。

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