(乳房の病気の概要 乳房の病気の概要 乳房の病気には、良性のもの(がんではない)もあれば、悪性(がん)のものもあります。ほとんどは良性で、生命を脅かすものではありません。多くは治療を必要としません。一方、 乳がんの場合は乳房を失ったり、命を落としたりすることもあります。そのため多くの女性が乳がんを最も怖い病気だと考えています。しかし、定期的に自己検診を行い、定期的に主治医の診... さらに読む および 乳房のしこり 乳房のしこり 乳房のしこり(腫瘤)とは、周囲の乳房組織と違って感じられる肥厚または膨らみのことです。しこりは乳房の自己検診中に偶然見つかったり、医師による定期的な身体診察中に見つかることもあります。 ( 乳房の病気の概要も参照のこと。) 乳房のしこりは比較的よくみられますが、その多くはがんではありません。 しこりには痛みがあることもないこともあります。ときに 乳頭からの分泌物や、不規則な表面、発赤、デコボコした質感(橙皮状皮膚[ミカンの皮]と呼ばれる... さらに読む も参照のこと。)
ほとんどの女性の乳房に多少でこぼこした感じがあり、特にわきの下近くの乳房の外側上部によくみられます。多くの女性に、このようなしこりや 乳房の痛み 乳房の痛み 乳房の痛みは多くの女性が経験します。痛みは片側の乳房だけに起こることも両方の乳房に起こることもあります。 ( 乳房の病気の概要も参照のこと。) 考えられる乳房の痛みの原因は、痛みが感じられるのが特定の部位なのか、乳房全体であるのかにより異なります。 痛む部位が1カ所の場合、以下が原因の可能性があります。 乳腺嚢胞 さらに読む 、 乳腺嚢胞 乳腺嚢胞 乳腺嚢胞は、乳房に生じる液体がたまった袋です。 ( 乳房の病気の概要および 乳房のしこりも参照のこと。) 乳腺嚢胞は、よくみられます。なかには多数の嚢胞が繰り返しできる人もおり、他の 線維嚢胞性変化を伴う場合もあります。外傷が関係していることもありますが、はっきりした原因は分かっていません。 嚢胞の大きさは、ごく小さなものから数インチ程度(1インチは2.54センチメートル)まで様々です。... さらに読む がみられ(これらの症状が同時に現れることもある)、これは線維嚢胞性変化と呼ばれています。
女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの濃度は通常、月経周期とともに変動します。女性ホルモンの血中濃度が上昇すると、乳腺や乳管が拡張して体液を保持するようになり、ホルモンの濃度が低下すると元に戻ります。(月経周期の特定の時期に乳房が張ったり敏感になったりするのも、ホルモンの血中濃度の変動で部分的に説明できます。)このようなホルモンによる刺激が繰り返されることによって、線維嚢胞性変化が起こることがあります。
エストロゲンへの曝露期間が長くなる可能性があるため、以下の場合に線維嚢胞性変化のリスクが上昇します。
早い初潮年齢
30歳以降に第一子を出産
出産経験なし
乳房の感染症 乳房の感染症と乳房膿瘍 乳房の感染症は通常、細菌によって引き起こされます。まれに、乳房の感染症から乳房膿瘍(乳房内に膿がたまった状態)になることがあります。乳腺炎は痛みのある乳房の炎症で、通常、乳房の感染症を伴います。 ( 乳房の病気の概要も参照のこと。) 乳房の感染症は、周産期、けがまたは手術の後を除いて、あまり発生しません。糖尿病があったり、経口コルチコステロイドを服用している場合、乳房の感染症のリスクが上昇します。... さらに読む など、他の乳房の病気で線維嚢胞性変化が生じることがあります。
しこりのある部分が大きくなって、重い感じや不快感、圧痛、灼熱痛を感じることがあります。症状は閉経後に軽減する傾向があります。
線維嚢胞性変化は 乳がん 乳がん 乳がんは、乳房の細胞が異常をきたし制御不能に分裂することで発生します。通常は、乳汁を作る乳腺(小葉)または乳腺から乳頭(乳首)へ乳汁を運ぶ乳管にがんが発生します。 乳がんは、女性がかかるがんの中で発症数が最も多く、がんによる死亡の中では第2位を占めています。 通常、最初に現れる症状は痛みのないしこりで、自分で気づくことがほとんどです。 乳がんスクリーニングの推奨は様々で、定期的なマンモグラフィー、医師による乳房の診察、乳房自己検診などが... さらに読む のリスクを上昇させることはありません。
診断
生検
一般的に、がんの可能性を否定するため、異常にみえたり他の部位と異なるように見える部分の組織サンプルを採取し、顕微鏡で検査します(生検)。サンプルは針で採取することもありますが、手術で切除しなければならない場合もあります。
線維嚢胞性変化があるとマンモグラフィーで乳房の密度が高くみえ、乳がんの発見が困難になる可能性があります。
治療
ときにしこりの切除
ときに症状を軽減する薬剤
しこりが1つのみの場合や、1つのしこりが他のしこりと違ってみえる場合は、そのしこりを切除します。
線維嚢胞性変化に対する特別な治療法はなく、また治療の必要もありませんが、以下のように症状を和らげる手段がいくつかあります。
スポーツ用ブラジャーなどの柔らかいサポートブラジャーを着用する
アセトアミノフェンなど痛み止めを使用する
嚢胞の内容物を吸引することもありますが、再発する可能性があります。
症状がひどければ、ダナゾール(合成男性ホルモン)やタモキシフェン(エストロゲンの作用を妨げる)などの薬剤が処方されます。これらの薬剤は長期間使うと副作用が出るおそれがあるため、通常は短期間に限って使用されます。タモキシフェンはダナゾールより副作用が少ない薬剤です。