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白内障

執筆者:

Leila M. Khazaeni

, MD, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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白内障は、眼の中の水晶体が濁って進行性に視力が損なわれていく病気で、痛みはありません。

  • 視界はかすみ、コントラストが失われ、光の周りに虹のような輪(ハロ)が見えること(光輪視)があります。

  • 医師は、検眼鏡または細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で眼を観察することで白内障を見つけることができます。

  • ほとんどの白内障は、人工レンズに置き換えることができます。

(発達白内障や先天性白内障については、先天性白内障を参照のこと。)

白内障は世界の失明原因の第1位です。米国でもよくみられ、患者のほとんどは高齢者です。65~74歳では、ほぼ5人に1人の割合で視力低下を伴う白内障がみられ、75歳以上ではこの割合がほぼ2人に1人となります。幸い、米国では白内障患者のほとんどが失明に至る前に治療を受けています。

白内障は通常、加齢に伴って、または明らかな原因なく発生します。しかし、以下のように危険因子が明らかな場合もあります。

  • 特定の薬(コルチコステロイドなど)の長期使用

  • X線を長期にわたって浴びる(眼に対する放射線療法など)

  • 炎症性眼疾患や感染性眼疾患(ぶどう膜炎など)

  • 糖尿病などの病気

  • 栄養不良

  • 喫煙

  • 長期間、直射日光を浴びる

  • 飲酒

  • 赤外線による熱

片側の眼が白内障になると、もう片方の眼もいずれ白内障になる可能性が高くなります。両方の眼が同時に白内障になる場合もあります。 生まれつき白内障があったり(先天性白内障)、子どもの頃のけがや病気が原因で白内障になったりすることもあります。

知っていますか?

  • 白内障は世界の失明原因の第1位です。

症状

白内障は通常、何年にもわたってゆっくりと発症します。眼に入る光はすべて水晶体を通るため、白内障(水晶体の濁り)が生じると光が遮られたり、散乱したりして、視力の低下が起こります。初期の症状には以下のものがあります。

  • 光の周りに虹のような輪(ハロ)が見えたり(光輪視)、光のぎらつき(グレア)を感じたりする

  • 印刷された文字の明暗を判別する力が衰え、字が読みにくくなる

  • よく見るためにより光を必要とする

  • 紺色と黒色の区別がつきにくくなる

  • 眼がかすむ

  • 物の色がより黄色っぽく見えたり鮮やかさが失われたりする

  • 軽度の複視(ゴーストと呼ばれることもあります)がみられる(まれ)

白内障で痛みが生じることはまずありませんが、極めてまれに眼球が腫れて眼圧が上昇する(緑内障)ことがあり、その場合は痛みを伴います。

白内障はどのように視力に影響を与えるのでしょうか

左の図のように、正常な水晶体は光を受け取り、それを網膜の上に集束させます。白内障の場合、右の図のように、水晶体を通過する光の一部が遮られて散乱し、網膜上にはっきりと光が集束しなくなります。

白内障はどのように視力に影響を与えるのでしょうか

白内障でどの程度視力が変化するかは、眼の中に入ってくる光の強さと、白内障が生じた部位によって異なります。

水晶体の内部中央に濁りが生じると(核白内障)、以下のような症状がよくみられるようになります。

  • 遠くが見にくくなる

  • 水晶体がより強いレンズとして働くため焦点の位置が変わり、近くが見やすくなる(核白内障の初期にみられる)

40代中頃から近くの物を見るのに眼鏡を必要としていた人が、眼鏡をかけなくても近くの物が見えるようになるため、「視力が戻った」などと表現されることもあります。この状態は一時的なもので、白内障の混濁が進むと消失します。

水晶体の後部付近が濁る白内障(後嚢下白内障[こうのうかはくないしょう])では、以下の症状がよくみられます。

  • 瞳孔収縮時(例えば、まぶしい光をみたときや読み物をしているとき)に、かすみ目(視力の低下)がおこる

  • コントラストが失われる

  • 夜間の運転中に明るい光や対向車のヘッドライトがぎらついて見えたり(グレア)、その周りに虹のような輪(ハロ)が見えたり(光輪視)する

患者が瞳孔を収縮させる薬(例えばある種の緑内障用点眼薬)を使用している場合は、より重度の視力障害がみられることがあります。

知っていますか?

  • 水晶体の特定の場所に混濁が生じると、近くを見る視力が一時的に改善し、人によっては眼鏡がなくても再び字が読めるようになることがあります。

診断

  • 検眼鏡を用いた医師の診察

  • 細隙灯顕微鏡検査

通常、医師は検眼鏡(眼の奥を照らすライトが付いた手持ち式の拡大鏡)による眼の診察により、白内障を見つけます。

また、細隙灯顕微鏡(拡大鏡下に眼を診察できる器具)により、白内障の正確な場所を特定し、光がどの程度遮られているかを知ることができます。細隙灯顕微鏡を使うと、眼の中の水晶体や他の部分をより詳しく観察できます。

予防

白内障の予防に役立つことで、できることはいくつかあります。

  • 紫外線を防ぐコーティング処理を施した眼鏡またはサングラスを常に使用する

  • 禁煙する

  • 飲酒量を減らす

  • 糖尿病の場合、血糖値を良好にコントロールする

  • ビタミンC、 ビタミンA、カロチノイド(ホウレンソウやケールなどの野菜に多く含まれている色素)が含まれている食べものを多く摂取する

更年期以降の女性では、 エストロゲンの補充が白内障予防に役立つ可能性がありますが、このためだけに エストロゲンを使用すべきではありません。長期にわたってコルチコステロイドを使用している場合は、他の薬へ変更できないか医師に相談してみるとよいでしょう。

治療

  • 眼鏡やコンタクトレンズによる視力の矯正

  • 手術による白内障の除去および眼内レンズの挿入

白内障による視力障害がかなり進むまでの間は、眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正することが可能です。明るい光の下ではサングラスをかける、肩越しに光をあてるような照明を使用するなどの工夫により、光のぎらつき(グレア)を軽減して見やすさを改善することができます。まれに、白内障が小さく、水晶体の中心にできている場合は、視力を改善するために長期間にわたって瞳孔を広げる点眼薬を使うことがあります。

手術

白内障を完全に治すには、手術を受けるしかありません。点眼薬や内服薬では、白内障を完治させることはできません。白内障の手術は、患者の年齢を問わず可能で、一般的には心臓病や糖尿病がある人に対して行っても安全です。

ほとんどの場合、手術を行う必要があるのは、白内障による視力障害がひどくなり日常生活を送る上で危険や不快感、不便を感じている場合に限られます。そうなる前に白内障の手術をしてもメリットはありません。非常にまれですが、白内障による特定の変化(眼の炎症や眼内圧力の上昇[緑内障]など)のために、すぐに手術をするよう医師から勧められることもあります。

白内障の手術は、ほとんどの場合、注射薬や点眼薬で眼の表面を麻痺させる局所麻酔で行われます。通常、鎮静薬も投与されます。まれに、小児や、成人でも手術中じっとしていることが難しい患者には、全身麻酔が必要になることがあります。

手術では一般的に、眼を小さく切開して、白内障のある水晶体を超音波で破砕し、水晶体を包む膜からそれらの破片を取り除きます(超音波水晶体乳化吸引術)。白内障の手術の一部(切開を入れるとき、水晶体に侵入するとき、水晶体を軟らかくして超音波で除去しやすくするときなど)で、レーザーを使うこともあります。超音波水晶体乳化吸引術が行えない場合は、手術中に超音波を用いず単純に水晶体を取り除くこともできます。この手法は白内障嚢外摘出術と呼ばれています。

水晶体をすべて除去したら、通常、その代わりにプラスチック製またはシリコン製のレンズ(眼内レンズ)を被膜の中に挿入します。しかし、眼内レンズは常に安全に留置できるというわけではありません。眼内レンズを使用できないときは、水晶体を取り除いた後、厚いレンズの眼鏡またはコンタクトレンズで視力を矯正しなければなりません。

回復

処置にかかる時間は30分程度で、手術当日に帰宅できます。切開による眼の傷は非常に小さく、自然にふさがるため、普通は縫合(ほうごう)の必要はありません。

手術後数日間は行動が制限されるため(前かがみになったり、重い物を持ち上げる動作は禁じられます)、この期間は自宅での生活を補助してもらえるよう事前に手配しておくべきです。術後の短期間、目がかすんだり、光をまぶしく感じたりすることがあります。

手術後数週間は、感染予防と炎症の軽減、そして完治を早めることを目的に、コルチコステロイドの点眼薬や抗菌薬を含む点眼薬を使用します。また、手術の傷が完全に治るまでの2~3週間は、眼を外傷から守るために睡眠時には眼鏡かプラスチック製の眼帯を装着します。眼をこすったり、重い物を持ち上げたり、前にかがみすぎたりしないようにします。手術の翌日に診察を受け、以後は1週間後と1カ月後に診察を受けるのが典型的なスケジュールです。両眼に白内障がある場合は、片方の眼が完全に治ってから、さらに数カ月待ってもう片方の手術を行うのが一般的です。

患者の多くは白内障の手術から数週間以内に、遠くがよく見えるようになったことを実感します。しかし、ほとんどの人は読書をするとき眼鏡が必要で、なかには遠くを見るにも眼鏡による矯正が必要な人もいます。

複数の焦点をもたせた眼内レンズ(多焦点眼内レンズ)を使用すると、眼鏡を使わなくても近くと遠くの両方が見えるようになりますが、人によってはコントラストを失ったり、夜間に光のぎらつきを覚えたり、光の周りに虹のような輪(ハロ)が見えたりすることもあります。医師は眼内レンズの度数を手術前に計算します。こうして、手術前はかなり厚いレンズの眼鏡をかけていた人が、手術後は薄いレンズの眼鏡ですむようになります。比較的新しい多焦点眼内レンズを挿入した場合、なかには眼鏡をまったく必要としなくなる人や、特定の状況(夜間の運転、薄暗いところでの読書、コンピュータの画面などの中距離視力)を除いて必要としなくなる人もいます。他のレンズの中には、乱視を矯正できるものもあり、このようなレンズを用いれば、手術後に同じく眼鏡の必要性を減らすことができます。

合併症

白内障手術で重大な合併症が発生することはめったにありません。手術後にフォローアップのための診察をきちんと受けることによって、合併症が起こった場合も、早期に発見して治療することができます。合併症には以下のものがあります。

  • 眼の中に感染(眼内炎)や重度の出血が起こって視力障害に至ることがあります。

  • 眼圧が大きく上昇し、これを放置しておくと、緑内障が生じたり、眼内レンズの位置がずれたりします。

  • 眼の裏側(網膜)の腫れや剥離が生じることがあります。

  • 糖尿病網膜症など網膜の病気のある人では、まれに、白内障の手術後に視力が低下する場合があります。

手術では、水晶体の後ろにある薄く透明な膜(後嚢)を眼の中に残しますが、人によっては手術後にこの後嚢が濁ってしまい、視力が損なわれることがあります。これは後発白内障(後嚢混濁)と呼ばれ、白内障手術を受けた人のおよそ4人に1人の割合でみられ、眼内レンズを挿入してから数カ月後、遅ければ数年後に起こります。後発白内障が生じた場合は、濁った後嚢にレーザー光線で小さな穴を開けて、光が通る通路をつくる治療が一般的に行われています。

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