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ぶどう膜炎

執筆者:

Kara C. LaMattina

, MD, Boston University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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ぶどう膜炎は、ぶどう膜と呼ばれる眼の内側の色の付いた膜に生じる炎症のことです。

  • 感染症、けが、全身性自己免疫疾患(体が自分の組織を攻撃する病気)により、または明らかな原因なく、ぶどう膜に炎症が生じることがあります。

  • 症状は眼のうずき、眼が赤くなる、飛蚊症(ひぶんしょう)、視力障害などで、これらが複合して起こることもあります。

  • 治療では典型的に、コルチコステロイド(点眼薬、経口薬、眼内注射または眼周囲への注射)、異常のある方の眼の瞳孔を散大させ弛緩させる点眼薬、そしてときに免疫系を抑制する薬剤などを用います。

ぶどう膜は、次の3つの部分から構成されています。

  • 虹彩

  • 毛様体

  • 脈絡膜

虹彩は、瞳孔の周囲にある色の付いた環状の部分で、カメラのレンズのシャッターのように開いたり閉じたりして眼の中に入れる光を調節します。

毛様体は、いくつかの筋肉から成り、それらが収縮すると、水晶体の厚みが増して近くの物に焦点を合わせることができます。逆に毛様体が弛緩すると、水晶体が薄くなって遠くの物に焦点を合わせることができます。この過程を遠近調節といいます。

脈絡膜は、眼球後部の内側を覆う膜の1つで、毛様体筋の縁から眼球後部の視神経まで広がっています。脈絡膜の内側には網膜が、外側には強膜があります。脈絡膜には色素細胞と血管があり、この血管が眼の内側、特に網膜に栄養を与えています。

ぶどう膜の図

ぶどう膜の図

ぶどう膜の一部または全体が炎症を起こすことがあります。ぶどう膜の一部に限局する炎症は、その部位に応じて名前が変わります。

  • 前部ぶどう膜炎は、虹彩を含むぶどう膜前部の炎症です。

  • 中間部ぶどう膜炎は、ぶどう膜の中間部の炎症で、典型例では眼球を満たすゼリー状の物質である硝子体(しょうしたい)にも炎症が及びます。

  • 後部ぶどう膜炎は、ぶどう膜後部の炎症で、炎症が網膜や脈絡膜に及びます。

  • 汎ぶどう膜炎は、ぶどう膜全体に及ぶ炎症です。

ぶどう膜炎は、ときに炎症の起こった具体的な器官の名前で呼ばれることがあります。例えば、虹彩の炎症は虹彩炎、脈絡膜の炎症は脈絡膜炎、脈絡膜とその上の網膜の両方に及ぶ炎症は脈絡網膜炎と呼ばれます。多くの場合、ぶどう膜炎は片側の眼だけに発生しますが、両眼に発生することもあります。

原因

ぶどう膜炎の原因は様々です。眼自体に原因がある場合もあれば、全身性の病気が原因である場合もあります。ほとんどの場合、原因がはっきりしないため、特発性ぶどう膜炎(つまり原因不明のぶどう膜炎)と呼ばれます。

ぶどう膜炎の患者の中には、ほかの臓器にも影響を及ぼす病気にかかっている人が多くいます。具体的には、炎症性疾患として、ベーチェット症候群 ベーチェット病 ベーチェット病は、有痛性の口や陰部の潰瘍、皮膚の病変、眼の問題を生じることのある、慢性の血管の炎症(血管炎)です。関節、神経系、消化管も炎症を起こすことがあります。 典型的な例では、口内や、性器、皮膚に潰瘍やびらんができ、それが消え、再び現れます。 診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下されます。... さらに読む ベーチェット病 強直性脊椎炎 強直性脊椎炎 強直性脊椎炎は脊椎関節炎の1つで、脊椎や大きな関節、手足の指の炎症を特徴とし、こわばりと痛みが生じます。 長引く関節の痛み、背中のこわばり、眼の炎症がよくみられます。 診断は症状、X線検査、診断基準に基づいて下されます。 非ステロイド系抗炎症薬と、ときにはサラゾスルファピリジンやメトトレキサートが、腕や脚の関節炎の軽減に役立ちます。... さらに読む 強直性脊椎炎 若年性特発性関節炎 若年性特発性関節炎 (JIA) 若年性特発性関節炎は、16歳までに発症して、関節の炎症が持続するか再発を繰り返す、相互に関連する一群の小児疾患です。 若年性特発性関節炎の特定の型では、発熱、発疹、リンパ節の腫れが生じることがあり、心臓に影響が現れることもあります。 診断は、この病気を確定する単独の検査法がないため、小児の症状と身体診察の結果に基づいて下されます。... さらに読む サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、スカンジナビア系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。... さらに読む サルコイドーシス 反応性関節炎 反応性関節炎 反応性関節炎(以前はライター症候群と呼ばれていた)は、脊椎関節炎の1つで、関節や関節の腱付着部の炎症を引き起こします。しばしば感染に関連しています。 関節の痛みと炎症が、感染(通常は泌尿生殖器か消化管の感染)に反応して起こることがあります。 腱の炎症、発疹、眼の充血もよくみられます。... さらに読む 反応性関節炎 炎症性腸疾患 炎症性腸疾患(IBD)の概要 炎症性腸疾患とは、腸に炎症が起き、しばしば腹痛と下痢が繰り返し起こる病気です。 炎症性腸疾患としては、主に以下の2種類の病気があります。 クローン病 潰瘍性大腸炎 この2つの病気には多くの共通点があり、ときに判別が難しいことがあります。しかし2つの病気にはいくつかの違いがあります。例えば、クローン病は消化管のほぼすべての部分に起こりうるの... さらに読む クローン病 クローン病 クローン病は、炎症性腸疾患の一種で、一般的には小腸の下部、大腸、またはその両方に慢性炎症が生じますが、炎症は消化管のどの部分にも現れる可能性があります。 正確な原因は分かっていませんが、免疫システムが正常に機能していないことでクローン病が起こる可能性があります。 典型的な症状としては、慢性の下痢(血性となることもある)、けいれん性の腹痛、... さらに読む クローン病 潰瘍[かいよう]性大腸炎 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症が起こり、潰瘍が形成される慢性炎症性腸疾患で、出血性の下痢や腹部のけいれん痛、発熱を伴う発作が起きます。潰瘍性大腸炎がない人と比べて、結腸がんの長期リスクが高まります。 この病気の正確な原因は分かっていません。 発作時の典型的な症状は、腹部のけいれん痛、便意の切迫、下痢(血性下痢が典型的)などです。... さらに読む )などがあり、アジア系やヒスパニックの一部ではフォークト-小柳-原田病もみられます。結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じるこ... さらに読む 結核 梅毒 梅毒 梅毒は、梅毒トレポネーマ Treponema pallidumという細菌によって引き起こされる性感染症です。 梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階で生じます。 まず患部に痛みのない潰瘍が現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲減退がみられます。... さらに読む 梅毒 、またはライム病 ライム病 ライム病の原因はライム病ボレリア Borrelia burgdorferiという細菌で、通常はシカダニを介して人に感染します。 ほとんどの人は、ライム病がみられる山間地域での野外活動中に感染します。 通常は、大きな赤い斑点が咬まれた場所に現れ、ゆっくりと大きくなります。周囲にいくつか赤い輪ができることがよくあります。... さらに読む ライム病 などの広範囲に及ぶ感染症を有する人もいます。

ほかにも、眼だけに影響を及ぼす感染症、例えばヘルペス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症では、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生します。 非常に感染力の強いウイルス感染症であり、潰瘍に直接触れたり、ときには潰瘍がない場合でも患部に触れることで感染します。 ヘルペスウイルスは口の中や性器に水疱や潰瘍を引き起こし、最初の感染時には、発... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 (単純ヘルペスウイルスによる)、帯状疱疹 帯状疱疹 帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、水痘を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することで生じるウイルス感染症です。 ウイルスが再活性化する原因は分からないことが多いのですが、病気や薬によって免疫機能が低下したときに起こる場合があります。 帯状疱疹では痛みを伴う水疱の発疹が現れ、患部に慢性痛が生じることもあります。... さらに読む 帯状疱疹 (水痘帯状疱疹[すいとうたいじょうほうしん]ウイルスによる)、トキソプラズマ症 トキソプラズマ症 トキソプラズマ症は、単細胞の寄生虫であるトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiによる感染症です。通常は症状を引き起こしませんが、一部の患者ではリンパ節の腫れ、発熱、漠然とした体調の悪さがみられ、ときにはのどの痛みまたはかすみ目や眼の痛みが現れることもあります。エイズまたは他の病気によって免疫機能が低下している... さらに読む サイトメガロウイルス感染症 サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス感染症はよくみられるヘルペスウイルス感染症で、症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多様です。 このウイルスは、体の分泌物と接触(性的接触とそれ以外の接触の両方)することで感染します。... さらに読む なども原因となる可能性があります。サイトメガロウイルス感染症は、免疫不全状態にある人、例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している人や免疫系を抑制する薬を服用している人などで主にみられます。

まれですが、一部の薬(パミドロン酸、リファブチン、スルホンアミド系抗菌薬、シドホビル[cidofovir])がぶどう膜炎を引き起こすこともあります。

症状

ぶどう膜炎の初期症状は軽度のものから重度のものまで様々で、炎症の部位や程度によって異なります。

ぶどう膜炎は急速に眼を損傷する可能性があります。黄斑部の腫れ、網膜の損傷、緑内障、白内障といった視力を脅かすおそれがある合併症が長期間にわたって続きます。多くの人で、ぶどう膜炎は1回しか発生しません。しかし、なかには何カ月または何年といった単位で周期的に繰り返したり、炎症が慢性化して長期にわたる治療が必要となったりする人もいます。

診断

治療

  • コルチコステロイド

  • 瞳孔を散大する薬

  • ときに、その他の薬または治療

ぶどう膜炎の治療は、眼に永続的な損傷が残るのを防ぐため、早期に開始する必要があります。ほぼすべての例でコルチコステロイドの点眼薬が使用されます。コルチコステロイドは経口薬や眼内または眼周囲への注射として投与することもできます。ホマトロピンまたはシクロペントラートなどの瞳孔を広げる点眼薬も使われます。

具体的な原因の治療には、その他の薬が使用されることもあります。例えば、感染症が原因なら、原因菌を根絶する薬が投与されます。

場合に応じて別の治療、例えば手術、レーザーの使用や、免疫を抑制する薬(免疫抑制薬)の経口または静脈内投与などが行われます。

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