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突発性難聴

執筆者:

Lawrence R. Lustig

, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital

レビュー/改訂 2022年 6月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

突発性難聴は、中等度から高度の難聴が数時間のうちに発生するもので、起床時に気づかれることもあります。

こうした難聴は、原因が薬でない限り、一般的には片耳だけに起こります。突発性難聴の原因に応じて、耳鳴り(耳鳴 耳鳴り 耳鳴り(耳鳴[じめい])とは、周囲の音ではなく、耳の中で発生している雑音です。耳鳴りは症状であり、特定の病気ではありません。非常によくみられ、程度の差はありますが、10~15%の人が経験します。 耳鳴りの人に聞こえる雑音には、ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどがあり、 難聴を伴うことがよくあります。その都度異なることがある複雑な音が聞こえる人もいます。これらの音は静かな場所で、特に何かに集中しているわけではないときに聞こえやすくなり... さらに読む )、めまい、動いたり回転したりしているような感覚(回転性めまい めまい めまいとは厳密な用語ではなく、以下に挙げるような関連する様々な感覚を表現するためによく使われます。 気が遠くなる(気絶しそうになる感覚) ふらつき 平衡障害(バランスを失ったり不安定になる感覚) 漠然とぼうっとする感覚または頭がくらくらする感覚 さらに読む )など、他の症状がみられることもあります。毎年およそ5000~1万人に1人が突発性難聴を発症します。徐々に発生する難聴については、 難聴 難聴 世界中で約5億人(世界人口のほぼ8%)が難聴を抱えています。米国では、人口の15%以上に日常のコミュニケーションに影響を及ぼすある程度の難聴があり、最も一般的な感覚障害となっています。発生率は年齢とともに上昇します。永続的な難聴がある18歳以下の小児は2%未満ですが、 乳児期と幼児期の難聴は、言語と社会性の発達に支障をきたすことがあります... さらに読む 難聴 を参照してください。

突発性難聴の原因

突発性難聴の原因は、次の3つの大きなカテゴリーに分かれます。

  • 原因不明

  • 症状を説明する明らかな出来事(脳感染症、頭部外傷など)

  • 基礎にある病気

原因不明

ほとんどの患者では、突発性難聴の原因が分かりません。ただし、仮説はいくつかあります。原因として可能性のあるものには、 ウイルス感染症 ウイルス感染症の概要 ウイルスは、核酸( DNAかRNAのどちらか一方)と、それを覆うタンパク質の膜で構成されています。ウイルスが増殖するには、生きた細胞を必要とします。ウイルス感染症は、無症状(明らかな症状はない)から重症の病気まで、幅広い病態を引き起こします。 ウイルスへの感染は、ウイルスを飲み込んだり、吸い込んだり、虫に刺されたりするか、性的な接触を通じ... さらに読む (特に 単純ヘルペスウイルス ヘルペスウイルス感染症の概要 よくみられるウイルス感染症の一部はヘルペスウイルスによって引き起こされています。人に感染するヘルペスウイルスとしては以下の8種類があります。 単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス(ヘルペスウイルス3型、 水痘および... さらに読む による感染症)、体内の免疫系による内耳または内耳の神経への攻撃(自己免疫反応 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む )、内耳の細い血管または神経の血管の閉塞などがあります。おそらく、患者によって原因は異なります。

明らかな出来事

他の患者の多くでは、突発性難聴の原因は明らかです。そうした原因としては以下のものがあります。

頭部外傷(頭蓋骨の側頭骨骨折、骨折を伴わない重度の脳しんとうなど)により、内耳が損傷され難聴が起こることがあります。

激しい気圧の変化(ダイビングや、頻度は低いがウェイトリフティング中にいきむことなどで起こる)によって、中耳と内耳の間に穴(瘻孔[ろうこう])があくことがあります。ときに、そうした瘻孔が生まれつき存在し、自然に突発性難聴が生じたり、頭部外傷や気圧変化の後に難聴が生じやすかったりすることがあります。

聴器毒性のある薬剤とは、耳に損傷を与える副作用がある薬のことです。薬によっては急速に難聴が起こり、ときに1日以内に起こります(特に過剰摂取した場合)。アミノグリコシド系薬剤という種類の抗菌薬による難聴が特に起きやすくなる、まれな遺伝性疾患のある人も少数います。このような抗菌薬を服用しているすべての人は、その薬の服用中は血液検査を受けて、その血中濃度が難聴を引き起こす可能性がある毒性レベルに上昇していないか調べるスクリーニングをする必要があります。アミノグリコシド系薬剤など尿中に排泄される薬を使用している人は、腎障害を予防するために、腎機能のチェックとモニタリングも受けるべきです。

いくつかの感染症では、急性期の病状の最中やその直後に突発性難聴が起こります。そのような感染症としては、 細菌性髄膜炎 髄膜炎菌感染症 髄膜炎菌感染症は、髄膜炎菌( Neisseria meningitidis)という 細菌によって引き起こされる病気で、髄膜炎と敗血症が含まれます。 鼻やのどからの分泌物に直接触れることで感染が拡大します。 全身にけん怠感を覚えるほか、感染部位に応じて他の症状もみられ、しばしば重篤になります。... さらに読む 髄膜炎菌感染症 ライム病 ライム病 ライム病は、ボレリア属(Borrelia)の細菌によって引き起こされ、マダニが媒介する感染症(ダニ媒介性感染症)で、米国でみられるボレリア属細菌は主にライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、ときにボレリア・マヨニイ(Borrelia mayonii)です。これらのらせん形の細菌はスピロヘータと呼ばれています(図「」を参照)。... さらに読む ライム病 、多くのウイルス感染症などがあります。先進国では、ウイルスによる最も一般的な原因は、流行性 耳下腺炎 ムンプス(おたふくかぜ) ムンプスとは、唾液腺が痛んで腫れる、感染力の強い ウイルス感染症です。精巣、脳、膵臓を侵すこともあり、特に成人ではその傾向があります。 ムンプスの原因はウイルスです。 症状としては、悪寒、頭痛、食欲減退、発熱、けん怠感などがあり、その後唾液腺が腫れます。 診断は典型的な症状に基づいて下されます。 たいていの小児は問題なく回復しますが、感染症により髄膜炎や脳炎が起きることもあります。 さらに読む ムンプス(おたふくかぜ) 単純ヘルペス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症では、皮膚、口、唇(口唇ヘルペス)、眼、または性器に、液体で満たされた、痛みのある小さな水疱が繰り返し発生します。 この病気は非常に感染性の高い ウイルス感染症であり、潰瘍に直接触れることで感染するほか、ときには潰瘍のない患部に触れることでも感染します。 ヘルペスウイルスは口の中や 性器に水疱や潰瘍を引き起こし、最初の感染時にはしばしば発熱と全身のけん怠感を伴います。... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 ウイルスの脳感染症です。 麻疹 麻疹(はしか) 麻疹は非常に感染力の強い ウイルス感染症で、かぜのような様々な症状と特徴的な発疹が現れます。 麻疹の原因はウイルスです。 症状としては、発熱、鼻水、頻発する空せき、目の充血、かゆみを伴う赤い発疹などがみられます。 診断は、典型的な症状と特徴的な発疹に基づいて下されます。 ほとんどの小児が回復しますが、まれに麻疹により死亡したり脳に損傷が生じたりすることもあります。 さらに読む 麻疹(はしか) (はしか)は、ほとんどの人が予防接種を受けているため非常にまれです。

基礎疾患

通常は別の初期症状がある一部の病気で、まれに突発性難聴が最初の症状としてみられることがあります。そのような病気としては、 聴神経腫瘍 前庭神経鞘腫 前庭神経鞘腫(聴神経腫瘍とも呼ばれます)は、前庭神経を包んでいる細胞(シュワン細胞)から発生する、がんではない(良性の)腫瘍です。 この腫瘍は内耳神経(第8 脳神経)の分枝の1つである前庭(平衡感覚)神経から発生します。もう1つの分枝の内耳神経(聴神経)は、音の信号を脳に送ります。腫瘍が増殖し聴神経を圧迫するにつれて起こる初期症状としては、徐々に進行する片耳の難聴があります(そのため従来から聴神経腫瘍と呼ばれています)。... さらに読む 前庭神経鞘腫 という聴神経の腫瘍、 多発性硬化症 多発性硬化症(MS) 多発性硬化症では、脳、視神経、脊髄の髄鞘(ずいしょう)(ほとんどの神経線維を覆っている組織)とその下の神経線維が、まだら状に損傷または破壊されます。 原因は解明されていませんが、免疫系が自分の体の組織を攻撃する現象(自己免疫反応)が関与していると考えられています。 多発性硬化症の患者のほとんどは、健康状態が比較的良好な期間と症状が悪化する期間を交互に繰り返しますが、時間の経過とともに、多発性硬化症は徐々に悪化していきます。... さらに読む メニエール病 メニエール病 メニエール病は、日常生活に支障をきたすほどの回転性めまい(自分や周囲が動いたり回転したりしているような感覚)の発作が繰り返し起こり、変動のある低周波の難聴、耳鳴り(耳鳴)を特徴とする病気です。 症状としては、日常生活に支障をきたすような重度の回転性めまいが何かに誘発されるわけでもなく突然生じ、吐き気や嘔吐があり、通常は耳が圧迫される感覚と難聴を伴います。 医師は通常は聴覚検査と、ときにMRI検査を行います。... さらに読む 、脳内の平衡感覚を担っている部分(小脳)に向かう動脈の閉塞による小さな 脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む などがあります。ときに HIV感染 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 症の患者で 梅毒の感染症 梅毒 梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる性感染症です。 梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階で生じます。 まず患部に痛みのない潰瘍が現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲減退がみられます。 治療しないでいると、第3期には、大動脈、脳、脊髄、その他の臓器が侵されることがあります。 医師は通常、患者に梅毒があることを確認するために2種類の血液検査... さらに読む 梅毒 が再活性化することがあり、これが突発性難聴を引き起こすこともあります。

より頻度の低い病気としては、自己免疫反応が内耳(および眼の表面)を攻撃する コーガン症候群 コーガン症候群 コーガン症候群は、まれな自己免疫疾患で、角膜に影響を与えることがあります。 眼の痛み、視力低下、明るい光への過敏、眼の発赤が一般的な症状です。 診断は、医師の評価と他の病気を除外するための血液検査によって下されます。 治療にはコルチコステロイドの点眼薬とコルチコステロイドの錠剤が使用されます。 コーガン症候群は、眼、耳、ときに血管の炎症( 血管炎)を引き起こす 自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組... さらに読む 、血管の炎症(血管炎 血管炎の概要 血管炎疾患は、血管の炎症(血管炎)を原因とする病気です。 血管炎は、特定の感染症や薬によって引き起こされる場合もあれば、原因不明の場合もあります。 発熱や疲労などの全身症状がみられることがあり、その後、侵された臓器に応じて他の症状がみられます。 診断を確定するために、患部の臓器の組織から採取したサンプルの生検を行い、血管の炎症を確認します... さらに読む 血管炎の概要 )が起こる特定の病気、血液疾患(例えば ワルデンシュトレームマクログロブリン血症 マクログロブリン血症 マクログロブリン血症は形質細胞腫瘍の1つで、単クローン性の形質細胞により、マクログロブリンと呼ばれる特定の大型の抗体(IgM)が過剰に生産されます。 多くの場合、症状はみられませんが、異常な出血、繰り返し発生する細菌感染、重度の骨粗しょう症による骨折などがみられることもあります。 診断を下すには血液検査と骨髄検査が必要になります。 マクログロブリン血症は治癒が望める病気ではありませんが、化学療法薬によって進行を遅らせることは可能です。... さらに読む 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症は、鎌状(三日月形)の赤血球と、異常な赤血球の過剰破壊による慢性貧血を特徴とする、遺伝性のヘモグロビン(酸素を運搬する赤血球内のタンパク質)の遺伝子異常です。 必ず貧血がみられ、ときとして黄疸がみられます。 貧血、発熱、息切れなどが悪化し、長管骨、腹部、胸部などに痛みを伴うと、鎌状赤血球症の疼痛発作(症状が急速に悪化する危険な状態)が疑われます。 電気泳動法と呼ばれる特別な血液検査を使用して、鎌状赤血球症かどうかを判定するこ... さらに読む 鎌状赤血球症 白血病 白血病の概要 白血病は、白血球または成熟して白血球になる細胞のがんです。 白血球は骨髄の幹細胞から成長した細胞です。ときには成長がうまくいかずに、染色体の一部の並びが変化してしまうことがあります。こうして異常となった染色体により正常な細胞分裂の制御が失われ、この染色体異常がある細胞が無制限に増殖するようになったり、細胞がアポトーシス(不要になった細胞が... さらに読む の一部)などがあります。

突発性難聴の評価

以下では、どのようなときに医師の診察を受ける必要があるかと、診察を受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

突発性難聴はそれ自体が警戒すべき徴候です。

受診のタイミング

一部の原因は速やかに治療しなければならないため、突発性難聴がある人はすべて、直ちに医師の診察を受ける必要があります。難聴以外に神経系の機能障害の症状がある場合は、難聴が神経や脳の機能障害の症状であることがあります。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、突発性難聴の原因と必要になる検査を推測することができます。

医師は、難聴が片耳だけか両耳にあるかを尋ねるほか、 頭部外傷 頭部外傷の概要 脳が関与する頭部外傷は特に懸念されます。 頭部外傷の一般的な原因には、転倒や転落、自動車事故、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などがあります。 軽症の頭部外傷では頭痛やめまいが起こることがあります。 重症の頭部外傷では、意識を失ったり、脳機能障害の症状が現れたりすることがあります。... さらに読む ダイビングによる損傷 圧外傷 圧外傷は圧力の変化によって、体の様々な部位に存在する気体が圧縮されたり、膨張したりすることで起こる組織の障害です。 肺、消化管、潜水用フェイスマスクで覆われた顔の一部、眼、耳、副鼻腔が侵される可能性があります。 症状は様々で、呼吸に関連するもの、胸痛( 肺の圧外傷)、眼の充血( マスクの圧外傷)、回転性めまい、耳の痛み( 耳の圧外傷)、顔面痛や鼻血( 副鼻腔の圧外傷)などがあります。... さらに読む 、感染性の病気など特定の出来事が起こったかどうかに注意を払います。また、随伴症状で耳を侵すもの(耳鳴りや耳だれなど)、平衡感覚の中枢を侵すもの(暗闇で方向を見失うことや回転性めまいなど)、脳の他の部分や神経系を侵すもの(頭痛、筋力低下、味覚異常)について質問します。患者が 聴器毒性のある薬 薬を原因とする耳の障害 耳に損傷を与える可能性がある薬(聴器毒性のある薬)はたくさんあります。具体的には、抗菌薬のストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン、バンコマイシン、がんに対する一部の化学療法薬(例えばシスプラチン)、フロセミド、アスピリンなどがあります。 薬の聴器毒性が発生するかどうかは多くの要因によって左右され、具体的には以下のものがあります。 薬を服用した量(用量)... さらに読む を現在服用しているか(または最近服用したか)について特定しようとします。

身体診察では耳と聴覚、神経系の診察に重点を置きます。

検査

一般的に、患者には聴力検査(一種の 聴覚検査 検査 検査 )が行われます。医師は、原因が急性感染症または薬物毒性であることが明らかでない限り、通常はガドリニウム造影剤を用いたMRI検査やCT検査を行います。片方の耳の難聴が他方より強い場合はこの検査が特に重要です。可能性の高い原因に基づいて、他の検査が行われます。例えば、頭部外傷があった患者はMRI検査を受けるべきです。性感染症のリスクが高い患者は、HIV感染症と梅毒の血液検査を受けるべきです。

突発性難聴の治療

治療は、判明している突発性難聴の原因に対して行います。原因が不明な場合は、ほとんどの医師はコルチコステロイドの投与を試みます。それとともに、単純ヘルペスに有効な抗ウイルス薬(バラシクロビル、ファムシクロビルなど)を処方することもありますが、抗ウイルス薬が有益であることを示す有力な科学的根拠はありません。

原因が不明な場合は、患者の約半数が正常な聴力を取り戻し、残りの患者では部分的に聴力が戻ります。改善がみられるとすれば、通常は10~14日以内に改善します。 聴器毒性のある薬剤 薬を原因とする耳の障害 耳に損傷を与える可能性がある薬(聴器毒性のある薬)はたくさんあります。具体的には、抗菌薬のストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン、バンコマイシン、がんに対する一部の化学療法薬(例えばシスプラチン)、フロセミド、アスピリンなどがあります。 薬の聴器毒性が発生するかどうかは多くの要因によって左右され、具体的には以下のものがあります。 薬を服用した量(用量)... さらに読む からの回復の具合は、薬の種類と用量によって大きく異なります。一部の薬(アスピリンや利尿薬など)では、24時間以内に聴力が戻ります。しかし、抗菌薬とがんの化学療法薬は、安全な用量を超過すると永続的な難聴を引き起こすことがよくあります。

要点

  • 突発性難聴の原因は、通常は不明です。

  • 少数の患者では明らかな原因があります(激しい頭部外傷、重症感染症、聴力を損なうことがある薬の使用など)。

  • ごく少数の患者では、突発性難聴が特定の基礎疾患の最初の徴候となることがあります。

  • 医師は聴力検査、CT検査、MRI検査、疑われる原因に応じたその他の検査を行います。

  • 治療では、判明している突発性難聴の原因に焦点を置きます。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  • 米国国立聴覚・コミュニケーション障害研究所(National Institute on Deafness and Other Communication Disorders):聴覚、平衡感覚、味覚、嗅覚、発声、発話、言語の各機能についてカバーしている難聴およびその他のコミュニケーション障害に関する情報

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