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めまい(Dizziness)と回転性めまい(Vertigo)

執筆者:

Debara L. Tucci

, MD, MS, MBA , Duke University Medical Center

最終査読/改訂年月 2017年 6月
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本ページのリソース

めまいとは厳密な用語ではなく、以下に挙げるような関連する様々な感覚を表現するためによく使われます。

  • 気が遠くなる(気絶しそうになる感覚)

  • ふらつき

  • 平衡障害(バランスを失ったり不安定になる感覚)

  • 漠然とぼうっとする感覚または頭がくらくらする感覚

  • 回転性めまい(動いているような感覚)

回転性めまいはめまいの一種で、動いているような感覚がします。通常、自分自身か周囲のもの、またはその両方が回転している感覚が生じます。この感覚は、子どもの遊びで、その場でぐるぐる回ってから急に止まると周囲のものが回転しているように感じるというものがありますが、それとよく似ています。ときに、左右片側に引っ張られているように感じるだけのこともあります。回転性めまいとは診断名ではありません。ある感覚を説明したものです。

回転性めまいがある場合、吐き気や嘔吐があったり、バランスが取りにくい、または歩くのが難しいことがあります。一部の患者では、回転性めまいが起こっているときに、眼が周期的に素早く動くことがあります(眼振)。

「めまい」という言葉の使い方は人によって異なることが多く、おそらく、これはその感覚を言葉で説明するのが難しいためです。また、患者はその感覚について、ときによって異なる説明をすることもあります。例えば、その感覚をあるときにはふらつくように感じ、次には回転性めまいのように感じることがあります。

どのように説明されるにしても、この感覚は煩わしく、生活に支障をきたすことさえあります(特に吐き気や嘔吐が伴う場合)。症状のせいで、車の運転や飛行機の操縦、重機の操作などの集中力を要する作業や危険な作業をしている人には、特に問題が起こります。

めまいは、医療機関を受診する理由の約5~6%を占めています。めまいはどの年齢でも起こりますが、年齢が上がるに従って増えていきます。40歳以上では約40%の人がめまいを経験します。めまいには一時的なものと慢性のものがあり、1カ月以上続いた場合に慢性のめまいと判断されます。慢性のめまいは高齢者に多くみられます。

立ち上がったときにだけ起きるめまいについては、立ちくらみを参照してください。

知っていますか?

  • たとえ日常生活に支障をきたすものでも、めまいのほとんどは、重篤な病気によるものではありません。

  • 高齢者では、明確な1つだけの原因でめまいが起きることは、あまりありません。

原因

回転性めまいは通常、耳や脳のうち、平衡感覚の維持に関与する以下のような部分の病気が原因で発生します。

  • 脳幹と小脳

  • 耳と脳幹および小脳をつないでいる神経路

内耳の中には、体が位置と動きを感知するために必要な構造(半規管、球形嚢、卵形嚢)が存在します。これらの構造から発信された情報は、内耳神経(第8脳神経、これも聴覚に関与する)を経由して、脳に伝達されます。この情報が、体の姿勢を調節する脳幹と、体の動きを協調させる小脳で処理されて、平衡感覚がもたらされます。これらの構造のどれかに病気が起きると、回転性めまいが起こる可能性があります。内耳の病気は、ときに聴力低下や耳鳴り(耳鳴)も引き起こすことがあります。

さらに、脳の全般的な機能に影響を及ぼす病気(例えば、低血糖、低血圧、重度の貧血、多くの薬)があっても、めまいの感覚が生じることがあります。症状が煩わしく、日常生活に支障をきたすこともありますが、重篤な病気が原因で起きる割合はわずかです。

一般的な原因

重複するものもいくつかありますが、めまいの原因は回転性めまいを伴うものと伴わないものに大別できます。

回転性めまいを伴うめまいの最も一般的な原因には、以下のものがあります。

前庭性片頭痛は、回転性めまいを伴うめまいの一般的な原因としてますます認識されつつあります。この種類の片頭痛は、片頭痛の病歴が本人や家族にある人に最もよく起こります。めまいには頭痛が伴うことがしばしばあります。チカチカと光が見える、一時的に視野が欠ける、光や音に非常に敏感になるなど、片頭痛に類似した他の症状が出る人もいます。難聴を伴うこともありますが、一般的な症状ではありません。

回転性めまいを伴わないめまいの最も一般的な原因には、以下のものがあります。

  • 薬の作用

  • 多数の要因が関与する原因

薬の中には、めまいの原因になるものがあります。一部の薬は、耳の神経や平衡器官に直接毒性を及ぼします(聴器毒性のある薬)。このような薬には、めまいのほか、見ようとしている物に焦点が合わせられなくなる状態(動揺視)を引き起こす傾向があります。他には、例えば鎮静薬など、脳全体に影響するものもあります。高齢者では、めまいはいくつかの要因が原因になっていることが多く、通常は薬の副作用と加齢に関連する感覚機能の低下との組合せが原因です。

回転性めまいを伴わないめまいは、心臓や肺の病気や重度の貧血といった神経以外の病気が関連する場合など、脳が受け取る酸素やブドウ糖が不十分な場合に起こることがあります。

特定の原因が見つからずに、治療しなくても症状がなくなることが非常によくあります。

あまり一般的でない原因

めまいのあまり一般的でない原因としては、内耳神経の腫瘍(聴神経腫瘍)、脳幹に影響する腫瘍、脳卒中または一過性脳虚血発作、鼓膜、内耳または頭蓋底の損傷、多発性硬化症、低血糖、妊娠などがあります。

評価

以下では、めまいがある場合に医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

めまいがみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 頭痛

  • 首の痛み

  • 歩行困難

  • 意識消失(失神)

  • その他の神経症状(聞こえにくい、目が見えにくい、話しづらい、ものを飲み込むのが難しい、腕や脚を動かすのが難しいなど)

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人や、症状が重いか1時間以上続く人、嘔吐がみられる人は、直ちに医療機関を受診する必要があります。それ以外の場合は、数日以内に主治医の診察を受ける必要があります。短時間(1分未満)の軽いめまいが1回だけあり、他の症状がない場合は、再度めまいが出るかどうか様子を見ることも選択できます。

医師が行うこと

めまいがみられる場合、医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、めまいの原因と必要になる検査を推測することができます。( めまいの主な原因と特徴)。

警戒すべき徴候に加えて、医師が質問する重要な特徴としては、症状の程度(患者が倒れたり仕事を休んだりしたか)、嘔吐または耳鳴りの有無、症状が出たり消えたりするかずっと続くか、考えられる痛みの引き金(例えば、頭の位置を変えたり新しい薬を飲む)などがあります。

身体診察では、耳と眼の診察と、神経学的診察が特に重要です。聴覚の検査が行われ、耳を診察して外耳道や鼓膜に異常がないか確認します。眼を観察して眼振などの異常な眼球運動がないかを調べます。

難聴耳鳴り(耳鳴)があれば、内耳の病気がある可能性が疑われます。

眼振がある場合は、内耳や脳幹内の様々な神経接続部に影響を及ぼす病気が疑われます。眼振では、眼球が一方向に素早く動いた後、それより遅い速度で元の位置に戻るという動きが急速に繰り返し起こります。回転性めまいの原因の診断には、眼が動く方向と眼振が持続する長さが役立つため、患者に自然に眼振が出ない場合、医師は意図的に眼振を誘発するよう努めます。眼振を誘発するために、医師はまず、患者をあお向けに寝かせて、眼を観察しながら体を左右に向けます。専門医が、患者にフレンツェル眼鏡という一方通行の分厚い拡大鏡を装着させることもあります。医師はレンズを通して拡大された患者の眼をよく観察できますが、患者は視界がぼやけて焦点を合わせることができません(眼の焦点が合うと眼振が誘発しにくくなります)。眼振を誘発する際には、両眼の周りの皮膚に電極を貼り付けるか(電気眼振検査)、フレンツェル眼鏡にビデオカメラを取り付けて(ビデオ式電気眼振検査)、眼球の動きを記録する場合もあります。体を左右に向けても眼振が起こらなければ、医師は他の手法を試します。そうした他の手法には、氷水を外耳道に入れたり(温度刺激検査)、患者の頭を素早く動かす(ディックス・ホールパイク法)方法などがあります。医師はまた、歩行、バランス、協調運動の検査に特に注意を払いながら、徹底的な神経学的診察も行います。

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めまいの主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

一般的な原因

頭を特定の方向に動かす(特に横になっているとき)ことで起こる激しい短時間の(1分未満)回転するような感覚

ときに吐き気および嘔吐

聴覚および神経機能は正常

医師の診察、一般的にはディックス・ホールパイク法を含む

耳鳴り、難聴、耳閉感(耳が詰まった感じ)、耳の圧迫を伴い、通常は片耳のみに間隔をあけて何度も起こる(一度に20分~2時間続く)回転性めまい

聴力検査およびガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

前庭神経炎(おそらくウイルスが原因)

突然の激しい回転性めまい、難聴やその他の所見はない

激しい回転性めまいは数日間続くことがあり、症状は徐々に弱まっていき、頭位めまい症が発生することがある

医師の診察

ときにガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

内耳炎(ウイルスまたは細菌が原因)

激しいめまいを伴う突然の難聴、しばしば耳鳴りを伴う

医師が細菌感染を疑う場合は側頭骨のCT検査

難聴や耳鳴りのある患者にはガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

内耳に影響を及ぼす薬(特にアミノグリコシド系抗菌薬、クロロキン[chloroquine]、フロセミド、キニーネ)

通常は両耳に難聴がある

最近使用を開始した、原因として考えられる薬

医師の診察

ときに電気眼振検査および回転椅子検査

脳の全体に影響を及ぼす薬(特に不安、抑うつ、けいれん発作に対する薬と、一般に鎮静薬)

動作や姿勢に関連しない症状

難聴やその他の症状はない

最近使用を開始した、原因として考えられる薬

原因となっている一部の薬の血中濃度測定

症状が止むか確認するため、薬の使用を中止する

間隔をあけた複数回の回転性めまい、または慢性のめまい、ときに吐き気を伴う

頭痛または他の片頭痛の症状、例えば前兆の視覚症状や他の前兆(チカチカする光など、頭痛の前に現れる感覚の変化)や、光や騒音に対する過敏

本人か家族に片頭痛の病歴があることが多い

他の原因の可能性を否定するために、しばしばMRI検査

片頭痛を予防する薬を試す

あまり一般的でない原因、一般的に耳の症状(難聴または耳鳴り)を伴うもの

中耳の感染(急性または慢性

耳の痛み、ときに耳だれ

診察時の鼓膜の異常な外観

医師の診察

ときにCT検査(慢性の感染がある場合)

外傷(鼓膜破裂、頭蓋骨骨折、脳しんとうなど)

最近の明らかな外傷

損傷の部位や程度に応じたその他の所見

原因と医師による所見に応じて、通常はCT検査

ゆっくりと進行する難聴または耳鳴り

まれに顔面のしびれまたは筋力低下

聴力検査

難聴または耳鳴りの場合にはガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

半規管の周囲の骨の欠損( 耳の内部の構造

音で誘発されるめまい、低音の難聴

通常はCT検査、前庭機能検査、ティンパノメトリー検査

あまり一般的でない原因、一般的に耳の症状を伴わないもの

脳幹卒中

突然の発症、持続する症状

直ちにガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

小脳の出血

突然の発症、持続する症状を伴う

歩行困難、協調運動試験がうまくできない

しばしば頭痛

症状が急速に悪化する

直ちにガドリニウム造影剤を用いたMRI検査

筋力低下やしびれなどの神経症状が毎回体の別の部位に、何度も現れる

ガドリニウム造影剤を用いた脳と脊髄のMRI検査

低血糖(通常は糖尿病治療薬が原因)

最近薬の用量を増やした

ときに発汗

指先採血による血糖測定(可能であれば症状出現時)

低血圧(心疾患、血圧の薬、失血、脱水を原因とするものなど)

起き上がったときに症状が出るが、頭を動かしたときや横になっているときには発現しない

症状の原因が明らかなことが多い(大量の失血や下痢など)

疑われる原因を対象とした検査

妊娠(患者が気づいていない場合が多い)

ときに月経の遅れまたはつわり

耳の症状はない

妊娠検査

両耳の、発現したり消失したりする難聴と複数回の回転性めまいを伴う慢性症状

梅毒の血液検査

体重の変化

暑さまたは寒さに耐えられない

甲状腺の機能を調べる血液検査

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

めまいまたは回転性めまいがある場合に検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まりますが、警戒すべき徴候の有無が特に重要になります。

突然めまいが起こり、それが続いている人に対しては通常、医師は指先に血中の酸素レベルを測定するセンサーをつけ、指先から血液を1滴採取して血糖値を測定し、女性に対しては尿妊娠検査を行います。

警戒すべき徴候がみられる場合は、一般的にガドリニウム造影剤を用いたMRI検査が必要になり、これは警戒すべき徴候がなく長期間症状がある場合も同様です。

ロンベルク試験などのいくつかの検査では、平衡感覚と歩行を評価することができます。直線上で左右の足を前後にそろえて歩くことで平衡感覚を調べる検査もあります。医師による診察で難聴の可能性が示された場合は通常、患者を正式な聴覚検査(聴力検査)のために専門医に紹介します。

包括的な前庭機能検査が行われることもあります。この検査には、ビデオ式電気眼振検査、回転椅子検査、前庭誘発筋電位検査が含まれます。一般的に、これらの検査は耳のケアを専門とする医師(耳鼻咽喉科医)が行います。

心臓の機能を評価するため、心電図検査、不整脈を調べるためのホルター心電図検査、心エコー検査、運動負荷試験が行われることがあります。立ち上がるときにだけ起こるめまいに対しては、特定の試験が必要なことがあります。

患者の症状から梅毒または甲状腺の病気の可能性が疑われない限り、通常、血液検査は有用ではありません。

治療

可能な限りめまいの原因を治療します。治療としては、原因となっている薬の使用中止や用量の減量、別の薬への変更などがあります。

吐き気と嘔吐は、メクリジンやプロメタジンなどの薬で治療できます。

メニエール病内耳炎前庭神経炎といった内耳の病気を原因とする回転性めまいは、ジアゼパムやロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤でしばしば軽減できます。メクリジンなどの抗ヒスタミン薬が有効な場合があります。

回転性めまいが長時間持続する場合は、一部の患者では平衡感覚の障害への対処を助ける理学療法が有益です。療法士が以下のような戦略も勧めることがあります。

  • めまいを誘発することがある動作(上を向く、かがむなど)を行わないようにする

  • 普段使用する物は手の届きやすい高さに置く

  • 座っている状態や寝ている状態から起き上がるときはゆっくり動作する

  • 立ち上がる前に、手を握りしめ、足の指を曲げる

  • 眼、頭、体の動きを組み合わせた、めまいの予防に役立つ体操を習得する

  • 理学療法と運動で筋力をつけ、一人で歩ける状態をできるだけ長く維持する

  • 平衡訓練を受ける(末梢性または中枢性前庭機能障害の症状を標的とする特別な理学療法)

高齢者での重要事項

年齢が上がるにつれ、多くの要因によってめまいが起こりやすくなります。平衡感覚に関与する器官(特に内耳の構造)の機能が低下します。薄暗い光の中ではものが見えにくくなります。血圧を制御する体の仕組みの反応が遅くなります(例えば立ち上がる際)。高齢者ではさらに、めまいを引き起こす可能性のある薬を服用している可能性も高くなります。

めまいはどの年齢でも不快なものですが、高齢者には特定の問題を引き起こします。加齢に伴う体力の低下がみられる人では、めまいが起きた際に転倒するリスクが、通常よりはるかに高まります。転倒しなくても、転倒をおそれることが、日常的な活動をする能力に大きく影響することがよくあります。

回転性めまいの軽減に役立つ薬は、患者に眠気を感じさせることがあります。この作用は高齢者では頻度が高く、ときに強く出ます。

めまいのある高齢者では、自立の維持を助ける筋力強化のための一般的な理学療法や運動が、若い人と比べてさらに有益です。理学療法士は、高齢者や身体障害のある人に、転倒予防に役立つ安全に関する重要な情報を提供することもできます。

要点

  • めまいは、しばしば内耳や平衡感覚に関与する脳の領域に影響を及ぼす病気、または特定の処方薬の使用によって起こります。

  • 具体的な症状としては、気が遠くなる、平衡感覚の消失、回転性めまい、説明が難しいふらつきや水中にいるような感覚などがあります。

  • 重度の頭痛や脳機能に何らかの問題が起こっている徴候(例えば、歩行や会話困難、視覚の問題、発話困難、嚥下困難)は警戒すべき徴候ですが、漠然とした症状であっても重篤な病気が原因で起きることがあります。

  • 警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があり、しばしばMRI検査が必要になります。

  • ジアゼパムやメクリジンといった薬が回転性めまいの軽減に役立つことが多く、プロクロルペラジンが吐き気の軽減に役立ちます。

  • 薬を長期間使用している場合は、専門医による徹底的な評価が必要です。

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