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口内炎(口腔のただれや炎症)

執筆者:

Bernard J. Hennessy

, DDS, Texas A&M University, College of Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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口内炎(口腔のただれや炎症)は、見た目や大きさが様々であり、口唇を含む口のあらゆる部分に発生します(口唇のただれや炎症を参照)。

口の粘膜に腫れや赤みがみられることや、痛みを伴う複数の潰瘍がみられることがあります。潰瘍とは、口腔粘膜の細胞の最上層が崩壊してできるただれのことで粘膜に穴が生じます。多くの潰瘍は赤色ですが、中心部にある死んだ細胞と食べもののかすのために白いものもあります。水疱はただれの一種で、隆起し液体で満たされています(大きさに応じて小水疱または水疱と呼ばれます)。まれに、口の炎症の症状があるにもかかわらず口の中の見た目が正常な場合があります(口腔灼熱症候群)。

良性の(がんではない)潰瘍は通常、十分に治癒するまでは痛み続けます。痛みによって食事が困難になり、ときに脱水や低栄養に至ることがあります。口内炎は治癒しても再発することがあります。

原因

口内炎には様々な種類と多くの原因があり、感染症、全身にわたる病気(全身性疾患)、物理的または化学的な刺激物質、アレルギー反応によって生じることがあります(表「口内炎の主な原因」を参照)。原因が不明であることもしばしばあります。一般的に、正常な唾液分泌が口の粘膜保護に役立っているため、唾液の分泌が減少する状況では口内炎が起こる可能性が高まります( 口腔乾燥)。

口内炎の最も一般的な原因は以下のものです。

  • 再発性アフタ性口内炎(アフタ性口内炎)

  • ウイルス感染症(特に単純ヘルペスと帯状疱疹)

  • その他の感染症(真菌または細菌によるもの)

  • 損傷または刺激性の食べものや化学物質

  • タバコの使用

  • 薬(特に化学療法薬)および放射線療法

  • 全身性疾患

ウイルス感染症

口内炎の感染性の原因で最も一般的なものはウイルスです。単純ヘルペスウイルスによって起こる、口唇ヘルペスと、それよりは少ないものの口蓋にできる潰瘍が最も広く知られています。しかし、その他の多くのウイルスによって口内炎が生じることがあります。水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹という痛みを伴う皮膚の病気の原因である水痘帯状疱疹ウイルスによって、口の左右片側に多数の口内炎ができることがあります。この口内炎は水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化したことによって起こり、このウイルスは単純ヘルペスウイルスと同様に、体内から出ていくことはありません。ときに、口内炎が治癒した後も数カ月から数年間、口に痛みが残ることがあり、永久に残ることさえあります。

その他の感染症

細菌感染によって、口内炎と口内の腫れが生じることがあります。感染は、正常時に口内に存在している細菌の異常増殖や新たにもちこまれた細菌(梅毒や淋菌感染症を引き起こすものなど)によって起こることがあります。歯や歯ぐきの細菌感染が広がり、膿瘍(内部に膿がたまった空洞)ができたり、広範囲に炎症(蜂窩織炎[ほうかしきえん])が起きたりすることがあります。

梅毒の感染早期には、口の中や唇に、痛みのない赤色の口内炎(下疳[げかん])ができることがあります。この口内炎は通常、数週間で治癒します。梅毒の治療が行われなかった場合、約4~10週間後に、白い領域(粘膜斑)が唇や口の内側にできることがあります。下疳と粘膜斑はどちらも非常に感染性が高く、これらの症状が現れている間にキスをすると梅毒が感染することがあります。後期の梅毒では、口蓋や舌に穴があくゴム腫ができることがあります。この段階では梅毒の感染性は高くありません。

真菌のカンジダ・アルビカンス Candida albicansは、口内の常在菌です。しかし、抗菌薬またはコルチコステロイドを使用している人や、免疫機能が弱っている人(エイズ患者など)では過剰に増殖することがあります。カンジダ菌 Candidaによって、白っぽいチーズのような領域が生じることがあり、これをふき取ると口の粘膜の最上層が破壊されます(鵞口瘡)。ときに、平坦な赤い領域だけが現れることがあります。

損傷または刺激

例えば、頬の内側をうっかり噛んだり、折れた歯やギザギザの歯、合っていない入れ歯でこすれたりするなど、口に生じたあらゆる種類の損傷によって、口内に水疱や潰瘍ができる場合があります。一般的に水疱の表面はすぐに破れて、潰瘍ができます。

多くの食べものや化学物質が刺激を生じたり一種のアレルギー反応の引き金となったりすることがあり、口内炎の原因となります。酸性の食べもの、シナモンの味つけ、収れん剤は特に刺激を生じることがあり、歯磨き剤、洗口液、飴、ガムなど一般的な製品に含まれる特定の成分も同様です。

タバコ

タバコの使用によって口内炎が生じることがあります。口内炎はほとんどの場合、タバコ製品に自然に含まれる刺激物質、毒性物質、および発がん物質にさらされた結果として生じますが、口の粘膜を乾燥させる作用、口内の高音、口内の酸性度の変化、ウイルス、細菌、真菌の感染に対する抵抗力の低下によっても生じることがあります。

薬および放射線療法

口内炎を起こす最も一般的な薬としては、がんに対する特定の化学療法薬などが挙げられます。関節リウマチなどの一部の自己免疫疾患の治療にかつて用いられていた、金を含む薬も口内炎を引き起こすことがありますが、現在ではより安全で効果的な薬が利用できるため、金を含む薬が使用されることはまれです。放射線療法も、口内炎の一般的な原因です。まれに、抗菌薬を使用した後に口内炎ができることがあります。

全身性疾患

多くの病気が、体の他の部位とともに口に影響を及ぼします。ベーチェット病は眼、性器、皮膚、関節、血管、脳、消化管などの多くの臓器が侵される炎症性疾患で、この病気では痛みを伴う口内炎が繰り返し起こることがあります。アレルギー反応の一種であるスティーブンス-ジョンソン症候群は、皮膚の水疱と口内炎を引き起こします。炎症性腸疾患の患者でも口内炎が発生することがあります。グルテン(小麦などの穀物の成分)不耐症によって起こるセリアック病の患者で重症の場合は、しばしば口内炎が発生します。皮膚疾患の扁平苔癬(へんぺいたいせん)によってまれに口内炎が生じますが、通常は皮膚のただれほど不快ではありません。尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)水疱性類天疱瘡はともに皮膚疾患で、これらによっても口の中に水疱ができることがあります。

鉄、ビタミンB群、ビタミンCの欠乏によっても口内炎が生じます。

評価

口内炎があっても、必ずしも直ちに医師による評価が必要というわけではありません。以下では、医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

口内炎がみられる場合は、全身性疾患を疑わせる特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 発熱

  • 皮膚の水疱

  • 眼の炎症

  • 免疫機能が低下している人(HIV感染者など)でみられるあらゆる口内炎

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がなくても、強い痛みや全身のだるさがある場合、または食べるのが難しい場合は、数日以内に医師の診察を受ける必要があります。口内炎が10日以上続いている人は、がんや前がん状態ではないことを確かめるため、必ず歯科医師または医師の診察を受ける必要があります。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。医師は食べもの、薬、その他の物質(タバコ、化学物質、歯磨き剤、洗口液、金属、煙霧、粉じん)の摂取または接触について質問します。医師は、口内炎を引き起こす可能性のある病気(単純ヘルペスベーチェット病炎症性腸疾患など)で現在判明しているすべてのもの、口内炎の危険因子となる状態(免疫機能の低下、がん、HIV感染など)、患者の性交歴について把握する必要があります。

次に身体診察を行います。口内炎の位置と性質に注意して口の視診が行われます。次に、医師は全身状態を観察して口に影響を及ぼす全身性疾患の徴候がないか確認します。皮膚、眼、性器を診察し、口内炎、水疱、発疹がないか確認します。

病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、口内炎の原因と必要になる検査を推測することができます。

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口内炎の主な原因

分類

細菌感染症

塹壕口内炎(急性壊死性潰瘍性歯肉炎)

真菌感染症

カンジダ感染症(最も一般的)

水痘(水ぼうそう)

単純ヘルペス感染症(初感染または再発)

帯状疱疹(水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化)

その他(コクサッキーウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン-バーウイルス、またはHIVによる感染症、尖圭コンジローマ、インフルエンザ、麻疹[はしか]など)

全身性疾患

周期性好中球減少症

血小板疾患

血栓性血小板減少症

金製剤

ヨウ化物*

物理的な刺激

頬または唇を噛む習慣

合わない入れ歯

ギザギザの歯または折れた歯

刺激物質およびアレルギー

酸性の食べもの

歯磨き剤、洗口液、キャンディー、ガム、色素、口紅に含まれる成分に対するアレルギー反応

アスピリン、口内の組織に塗った場合

ニッケルまたはパラジウムを含有する歯科装置

色素、重金属、酸性の煙霧、金属の粉じん、鉱物の粉じんへの職業上の曝露

タバコ(噛みタバコまたは喫煙)

その他

アフタ性口内炎(再発性アフタ性口内炎

頭頸部に対する放射線療法

*口内炎のまれな原因。

検査

  • ときに、培養検査、血液検査、または生検

検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まりますが、警戒すべき徴候の有無が特に重要になります。口内炎が短期間みられ、全身性疾患の症状や危険因子がない人には、おそらく検査は必要ありません。口内炎が何度か発生している人では、ウイルスと細菌の培養および様々な血液検査が行われます。明らかな原因のない持続的な口内炎に対しては、生検が行われることがあります。

食事から1度に1つの食べものを除去したり、歯磨き剤やチューインガム、洗口液の銘柄を変えたりすることが、特定の食べものや口のケア製品が口内炎の原因かどうかを判断するために有用です。

処置/治療

  • 原因の治療

  • 刺激性の食べものや物質の回避

  • 外用療法

原因が分かっている場合はそれを治療します。例えば、細菌感染症に対しては抗菌薬が投与されます。口内炎の原因となっている物質や薬を避けることが勧められます。軟らかい歯ブラシで頻繁にやさしく歯磨きをし、塩水でうがいをすることが、口内炎の感染予防に役立つ可能性があります。

酸性の食べものや塩分の高い食べもの、その他刺激を生じるあらゆる物質を避けることで、痛みを抑えられます。

外用療法

外用療法とは、患部に物質を直接あてて治療を行うことです。口内炎に対する外用療法としては、以下のものがあります。

  • 麻酔薬

  • 保護被膜

  • コルチコステロイド

  • レーザーまたは化学物質による焼灼

ジクロニン(dyclonine)やリドカインなどの麻酔薬が、洗口液として使用されることがあります。しかし、これらの洗口液は口とのどをしびれさせ、ものが飲み込みにくくなるため、使用している小児が食べたものをのどに詰まらせないように見守る必要があります。ペースト状にしたリドカイン(リドカインビスカス)を綿棒につけて、直接口内炎に塗ることもできます。

スクラルファートとアルミニウム-マグネシウム制酸液を含む洗口液で保護皮膜をつくることで、痛みを和らげることができます。多くの医師がリドカインやジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬の一種)などその他の成分を添加します。アンレキサノクスのペーストも代替薬の1つです。アルコール(エタノール)を含有する洗口液は、実際には口内炎を悪化させることがあるため、使用を避ける必要があります。

口内炎が感染によるものではないことが確認されれば、コルチコステロイドの洗口液やゲルを塗布するケースもあります。

一部の口内炎は低出力のレーザーで治療できることがあり、その場合痛みがすぐに和らぎ、しばしば再発を予防することができます。硝酸銀をつけた棒で口内炎を化学的に焼いても同様に痛みが和らぐことがありますが、レーザーほど効果的ではありません。

要点

  • 口内炎が10日以上続く場合は、歯科医師または医師の診察を受ける必要があります。

  • 他の症状や全身性疾患の危険因子がない人で口内炎が複数みられる場合、通常はウイルス感染または再発性アフタ性口内炎が原因です。

  • 口以外の症状、発疹、またはその両方がある場合、より速やかに診断を受ける必要があります。

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