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爪の変形、異栄養症、変色

執筆者:

Chris G. Adigun

, MD, Dermatology & Laser Center of Chapel Hill

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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本ページのリソース

変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。

  • 変形:爪の形状の変化

  • 異栄養症:爪の質感の変化

医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。(爪の病気の概要も参照のこと。)

爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります( 爪真菌症)。その他の原因としては、けが、先天異常、乾癬扁平苔癬、ときに腫瘍(悪性と良性)など、様々なものがあります。薬剤、感染症、病気によって爪の色が変色することがあります(爪甲色素沈着)。例えば、シュードモナス Pseudomonas という細菌に感染すると、爪が緑色になることがあります( 緑色爪症候群)。

しばしば診察だけで診断を下せますが、その診断を確定するには、真菌を掻き出して培養検査(検査室で微生物を増殖させる方法)を行う必要がある場合もあります。原因になっている病気を治療しても爪の外観がよくならない場合は、ネイリストに適切に切って磨いてもらうことで変形や異栄養症が目立たなくなる場合もあります。

先天異常

ときに新生児が爪のない状態で産まれてくることがあります(無爪症)。爪膝蓋骨症候群では、親指の爪がなかったり、小さくくぼみや筋が入っていたりする状態が生じます。ダリエー病では、爪に赤と白の筋が入り、爪の先端にV字のくぼみが生じます。先天性爪甲厚硬症では、爪床(爪が指に接着している部分)が厚くなって変色し、横方向に弯曲して巻き爪が生じます。

何らかの病気でみられる爪の変形と異栄養症

以下のように、他の臓器を侵す病気によって爪にも変化が生じることがあります。

  • 鉄欠乏症では、爪がスプーン状に変形することがあります(匙状爪)。この変形は、特にプラマー-ビンソン症候群に特徴的なものです。

  • 腎不全により、爪の付け根側の半分が白く、先端側の半分がピンク色になることもあれば、色素沈着が起こることもあります(ハーフアンドハーフネイル)。

  • 肝硬変によって爪が白くなることがあります。ただし、最も先端の部分は変色せずピンク色のままです(テリー爪)。肝硬変患者で起こるような、アルブミンと呼ばれるタンパク質の血中濃度低下が起きると、爪に横方向の白い筋が現れることがあります。

  • 一部の肺疾患、しばしばリンパ浮腫(リンパ液が組織中に蓄積する病態)を伴うものは、黄色爪症候群を引き起こすことがありますが、この症候群では爪が肥厚して弯曲が強くなり、黄色または黄緑色に変色します。

  • ボー線は爪に横方向に入る溝で、爪の成長が一時的に遅くなった場合に現れます。ときに、それらの溝が爪の厚さまで深くなり、爪が完全になくなってしまうこともあります。感染症、けが、全身性疾患、または化学療法の後に生じることがあります。

  • けがの後に、横方向の白い筋が爪の一部(爪甲白斑)に現れることがあります。しかし、爪の全長にわたって横方向に入るすじ(ミーズ線)には、がんや心不全などのより重篤な病気、あるいはヒ素、タリウム、その他の重金属など特定の毒性物質に対する曝露が関連していることがあります。毒性物質への曝露がなくなれば、それらの線は爪の伸長に伴って先端に移動していく。

何らかの病気でみられる爪の変形と異栄養症の例

皮膚の病気でみられる爪の変形と異栄養症

ときに、皮膚の病気によって爪が侵され、爪の外観に変化が起きることがあります。皮膚の病気の治療に使用される薬にも爪甲の変化を引き起こすものがあります。例えば、イソトレチノイン(isotretinoin)やエトレチナートなどのレチノイドという種類の薬は、爪を乾燥させてもろくすることがあります。

  • 乾癬(かんせん)では、爪に不規則な穴(爪の表面の小さなくぼみ)が生じたり、油点(爪の下にできる黄褐色の斑点)が生じたり、爪甲が爪床から剥がれたり(爪甲剥離症)、爪甲が厚くなってくずれたりします。

  • 爪床の扁平苔癬(たいせん)では、瘢痕(はんこん)が生じ、早期には爪が隆起して割れますが、後には翼状爪になります。翼状爪では、爪の付け根から外側に向かってV字型に瘢痕が形成され、やがて爪が失われます。

  • 円形の不規則な斑状の領域に突然脱毛が起こる円形脱毛症の人では、爪に一定の幾何学的パターンの規則的なくぼみができます。

  • 円形脱毛症、扁平苔癬、アトピー性皮膚炎、乾癬の人では、粗造爪(複数の溝があり、表面が粗く、色の濁った、紙やすりのような外観の爪)が生じることがあります。粗造爪は小児で最もよくみられます。

皮膚の病気でみられる爪の変形と異栄養症の例

薬剤

薬剤が、爪甲色素線条(色素の沈着によりできた褐色または黒色の線)や爪甲剥離症などの他の爪の症状の原因になることがあります。様々な薬剤が爪の変色を引き起こしますが、多くの場合、その薬剤を中止し、爪が生え変わるとよくなります。

  • 化学療法薬により爪甲が黒ずむ(色素沈着)ことがあります。ある種の化学療法薬による治療を受けている人では、横方向に帯状に、色素が沈着したり、白くなることもあります。

  • 寄生虫感染症やある種の自己免疫疾患の治療に使用される薬剤のクロロキンでは、爪床が青黒くなることがあります。

  • 銀の職業曝露を受けたり、コロイド状のプロテイン銀を含有する栄養補助食品を摂取することによって、爪が濃い青灰色になることがあります。

  • 関節リウマチの治療で使われる金を含む薬剤により、爪が明褐色や暗褐色に変色することがあります。

  • テトラサイクリン系抗菌薬、ケトコナゾール、スルホンアミド系抗菌薬、フェニンジオン(phenindione)、フェノチアジン系薬剤により、青色や褐色に変色することがあります。

  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療薬であるジドブジン(ZDV)により黒褐色の縦筋が入ることがあります。しかし、このような筋はジドブジンを服用していないエイズ患者でも現れることがあります。

  • ヒ素中毒により、爪に白い横筋が入ったり、爪が褐色になったりすることがあります。

正中爪変形

正中爪変形(median nail dystrophy)では、爪の中心部の小さな亀裂が側方に伸び、やがて常緑樹の枝(クリスマスツリーなど)のように見えます。原因不明の場合もありますが、繰り返し起きる損傷が一定の役割を果たしていると考えられます。原因の1つとして、デジタル機器を頻繁に使用して、爪を繰り返し打ちつける状況があります。患者は爪を打ちつけないようにする必要があります。タクロリムス軟膏による治療が有用であった症例もあります。

爪甲色素線条

爪甲色素線条とは、褐色の色素であるメラニンが沈着することで爪甲に出現する、灰色、褐色、または黒色の線のことです。この線は爪の付け根から先端まで伸びます。皮膚の色が濃い人では、このような線が現れても異常ではなく、治療が不要な場合もあります。爪の周囲や下にできたほくろや皮膚がんによっても同じような色素の変化が生じることから、周囲の皮膚を評価するために生検の実施が必要になる場合もあります。爪甲色素線条の他の原因として、HIV感染症、甲状腺機能亢進症、特定の薬剤の使用、妊娠、けが、アジソン病クッシング症候群などがあります。

爪甲鉤弯症

爪甲鉤弯症(こうわんしょう)は、爪が厚くなって極度に弯曲し、鉤のようになる爪異栄養症で、特に足の親指の爪によくみられます(牡羊の角状爪[ram’s horn nail])。弯曲した鉤状の爪により隣接する足の指が傷つくことがあります。爪の片側が反対側より速く伸びることが原因です。この病気には爪床の損傷が関わっていて、多くの場合、反復的な外傷(足に合わない靴など)が原因ですが、乾癬などの病気でもみられます。爪甲鉤弯症は高齢者によくみられます。爪は短く切り、足の指の間にウールなどをはさんで隣接する指を傷つけないようにします。足の指同士がぴったりくっついてしまう履き物やストッキングは使用しないようにします。

爪甲剥離症

爪甲剥離症とは、爪甲が爪床から部分的に剥がれた状態または爪甲が完全に失われた状態をいいます。原因としては以下のものがあります。

  • 損傷(足に合わない履き物での長時間のハイキングやスキーによる場合など)

  • 爪の清掃のしすぎ

  • 特定の化学物質への曝露(洗浄剤や柑橘類に含まれる物質など)

  • ドキソルビシン、ブレオマイシン、カプトプリル、プラクトロール、フルオロウラシル、レチノイドによる治療

ドキシサイクリン、ソラレン系、フルオロキノロン系などの他の薬剤も、爪が日光にさらされた後に爪甲剥離症を引き起こすことがあります(光線性爪甲剥離症)。

爪甲剥離症の人では、真菌感染症の発生リスクが高くなります。爪を乾燥した状態に保ち、爪に抗真菌薬を塗ることが有用です。

爪甲損傷癖

この病気のある人は、自分の爪をいじったり、ちぎったりします。最も一般的な病像は嗜癖性爪変形(habit-tic deformity)と呼ばれ、すぐ隣の指で爪上皮(爪の付け根の皮膚)の中ほどをしきりにいじったり、こすったりします。この症状は親指に一番よくみられ、爪甲の中央が洗濯板のような状態になります。爪甲損傷癖があると、爪の下の出血(爪下出血)や爪の感染症も起きやすく、爪甲が完全に失われることもあります。

巻き爪

巻き爪では、爪の水平(横方向)の弯曲が強くなります。爪甲が弯曲して指の先に食い込み、痛みが生じることもあります。この変形は全身性エリテマトーデス川崎病、末期腎不全(重度の慢性腎臓病)、一部の遺伝性症候群(先天性爪甲厚硬症など)の患者にもみられます。ときに高齢者、指に関節炎がある人、フィットしていない靴を履いている人にもみられます。

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