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爪の変形、異栄養症、変色

執筆者:

Chris G. Adigun

, MD, Dermatology & Laser Center of Chapel Hill

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。

  • 変形:爪の形状の変化

  • 異栄養症:爪の質感の変化

爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります( 爪真菌症 爪真菌症 爪真菌症とは、爪の真菌感染症のことです。 (爪の病気の概要も参照のこと。) 約10%の人が爪真菌症にかかっており、手指の爪よりも足の指の爪に多くみられます。高齢者(特に男性)、足の血行が悪い人(末梢動脈疾患[ フットケア])、糖尿病患者( 糖尿病と足)、免疫機能が低下している人(病気や薬剤による)、みずむしや爪異栄養症の人によくみられます。真菌への感染は、感染者の体や真菌が生息する風呂場の床面などに触れることで起こります。... さらに読む 爪真菌症 )。その他の原因としては、けが、先天異常、乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む 乾癬 扁平苔癬 扁平苔癬 扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、赤色または紫色の小さな隆起した発疹が現れる、かゆみを伴う再発性の病気で、最初に現れる発疹は1つずつ離れていますが、次第に複数が融合していき、ザラザラした鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑になります。 特定の薬剤や感染性微生物に対する反応が原因である可能性があります。 よくみられる症状として、体の様々な部分、ときには口腔内や性器に、赤や紫色の隆起からなるかゆみを伴う発疹が現れ、鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑にな... さらに読む 扁平苔癬 、ときに腫瘍(悪性と良性)など、様々なものがあります。薬剤、感染症、病気によって爪の色が変色することがあります(爪甲色素沈着)。例えば、シュードモナス Pseudomonas という細菌に感染すると、爪が緑色になることがあります( 緑色爪症候群 緑色爪症候群 緑色爪症候群は、シュードモナス Pseudomonas という細菌による感染症です。 (爪の病気の概要も参照のこと。) 緑色爪症候群は、シュードモナス属 Pseudomonasの細菌が感染することによって発生します。爪甲剥離症(爪甲が爪床から部分的に剥がれたり、剥がれ落ちてしまった状態)のある人や、手を水に漬けることの多い人によく起こります。爪甲剥離症の部位の爪が緑色になります。1%酢酸溶液(薄めた酢)やアルコール溶液に患部を1日2回浸... さらに読む 緑色爪症候群 )。

しばしば診察だけで診断を下せますが、その診断を確定するには、真菌を掻き出して培養検査(検査室で微生物を増殖させる方法)を行う必要がある場合もあります。原因になっている病気を治療しても爪の外観がよくならない場合は、ネイリストに適切に切って磨いてもらうことで変形や異栄養症が目立たなくなる場合もあります。

先天異常

ときに新生児が爪のない状態で産まれてくることがあります(無爪症)。爪膝蓋骨症候群 爪膝蓋骨症候群 爪膝蓋骨(そうしつがいこつ)症候群は、腎臓、骨、関節、手足の爪に異常が生じる、まれな遺伝性疾患です。 爪膝蓋骨症候群は、腕や脚と腎臓の発育において重要な役割を担う遺伝子の突然変異によって起こります。 一般に、この症候群の患者は、左右の膝蓋骨(俗にいう「膝のお皿」の骨)の一方または両方が欠損し、橈骨(とうこつ)という腕の骨の片側が肘で脱臼していて、骨盤が異常な形をしています。手足の爪がなかったり、あっても発達が不完全で、くぼんだり隆起した... さらに読む では、親指の爪がなかったり、小さくくぼみや筋が入っていたりする状態が生じます。ダリエー病では、爪に赤と白の筋が入り、爪の先端にV字のくぼみが生じます。先天性爪甲厚硬症では、爪床(爪が指に接着している部分)が厚くなって変色し、横方向に弯曲して巻き爪 巻き爪 変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。 変形:爪の形状の変化 異栄養症:爪の質感の変化 医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。(爪の病気の概要も参照のこと。) 爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります( 爪真菌症)。その他の原因としては、けが、先天異常、乾癬、扁平苔癬、ときに腫瘍(悪性と良性)など、様々なものがあります。薬剤、感... さらに読む 巻き爪 が生じます。

何らかの病気でみられる爪の変形と異栄養症

以下のように、他の臓器を侵す病気によって爪にも変化が生じることがあります。

何らかの病気でみられる爪の変形と異栄養症の例

皮膚の病気でみられる爪の変形と異栄養症

ときに、皮膚の病気によって爪が侵され、爪の外観に変化が起きることがあります。皮膚の病気の治療に使用される薬にも爪甲の変化を引き起こすものがあります。例えば、イソトレチノイン(isotretinoin)やエトレチナートなどのレチノイドという種類の薬は、爪を乾燥させてもろくすることがあります。

皮膚の病気でみられる爪の変形と異栄養症の例

薬剤

薬剤が、爪甲色素線条(色素の沈着によりできた褐色または黒色の線)や爪甲剥離症などの他の爪の症状の原因になることがあります。様々な薬剤が爪の変色を引き起こしますが、多くの場合、その薬剤を中止し、爪が生え変わるとよくなります。

正中爪変形

正中爪変形(median nail dystrophy)では、爪の中心部の小さな亀裂が側方に伸び、やがて常緑樹の枝(クリスマスツリーなど)のように見えます。原因不明の場合もありますが、繰り返し起きる損傷が一定の役割を果たしていると考えられます。原因の1つとして、デジタル機器を頻繁に使用して、爪を繰り返し打ちつける状況があります。患者は爪を打ちつけないようにする必要があります。タクロリムス軟膏による治療が有用であった症例もあります。

爪甲色素線条

爪甲色素線条とは、褐色の色素であるメラニンが沈着することで爪甲に出現する、灰色、褐色、または黒色の線のことです。この線は爪の付け根から先端まで伸びます。皮膚の色が濃い人では、このような線が現れても異常ではなく、治療が不要な場合もあります。爪の周囲や下にできたほくろや皮膚がんによっても同じような色素の変化が生じることから、周囲の皮膚を評価するために生検の実施が必要になる場合もあります。爪甲色素線条の他の原因として、HIV感染症、甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む 甲状腺機能亢進症 、特定の薬剤の使用、妊娠、けが、アジソン病 アジソン病 アジソン病は副腎機能の低下によって、副腎ホルモンが不足する病気です。 アジソン病の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 アジソン病の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。 ナトリウムとカリウムの血中濃度と、コルチゾール値および副腎皮質刺激ホルモンの値の測定によって診断されます。... さらに読む アジソン病 クッシング症候群 クッシング症候群 クッシング症候群は、コルチコステロイドが過剰な状態で、通常は副腎のホルモン分泌過剰によるものです。 通常、クッシング症候群の原因は、副腎でのコルチコステロイドの過剰産生を引き起こす下垂体や副腎の腫瘍です。 クッシング症候群はまた、その他の部位(肺など)に腫瘍がある場合や、他の病気の治療のためにコルチコステロイドの投与を受けている人に起こることもあります。 クッシング症候群の人は、体幹の周りに過剰な脂肪がつき、顔が丸く膨らみ皮膚が薄くなり... さらに読む クッシング症候群 などがあります。

爪甲鉤弯症

爪甲鉤弯症(こうわんしょう)は、爪が厚くなって極度に弯曲し、鉤のようになる爪異栄養症で、特に足の親指の爪によくみられます(牡羊の角状爪[ram’s horn nail])。弯曲した鉤状の爪により隣接する足の指が傷つくことがあります。爪の片側が反対側より速く伸びることが原因です。この病気には爪床の損傷が関わっていて、多くの場合、反復的な外傷(足に合わない靴など)が原因ですが、乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む 乾癬 などの病気でもみられます。爪甲鉤弯症は高齢者によくみられます。爪は短く切り、足の指の間にウールなどをはさんで隣接する指を傷つけないようにします。足の指同士がぴったりくっついてしまう履き物やストッキングは使用しないようにします。

爪甲剥離症

爪甲剥離症とは、爪甲が爪床から部分的に剥がれた状態または爪甲が完全に失われた状態をいいます。原因としては以下のものがあります。

ドキシサイクリン、ソラレン系、フルオロキノロン系などの他の薬剤も、爪が日光にさらされた後に爪甲剥離症を引き起こすことがあります(光線性爪甲剥離症)。

爪甲剥離症の人では、真菌感染症の発生リスクが高くなります。爪を乾燥した状態に保ち、爪に抗真菌薬を塗ることが有用です。

爪甲損傷癖

この病気のある人は、自分の爪をいじったり、ちぎったりします 身体集中反復行動症 身体集中反復行動症では、爪をかむ、唇をかむ、頬の内側をかむなどの自分の体に影響を及ぼす行為を繰り返し行いますが、その行為を何度もやめようとします。 身体集中反復行動症の人は、自分の体の一部をむしったりかんだりする直前に緊張感や不安を抱いていて、その行動を行うことで、そうした感情が和らぐことがあります。 傷ができるほど体の一部をむしったりかんだりし、その行為をやめようとしてやめられず、また自分の行動のために大きな苦痛を感じているか、行動の... さらに読む 。最も一般的な病像は嗜癖性爪変形(habit-tic deformity)と呼ばれ、すぐ隣の指で爪上皮(爪の付け根の皮膚)の中ほどをしきりにいじったり、こすったりします。この症状は親指に一番よくみられ、爪甲の中央が洗濯板のような状態になります。爪甲損傷癖があると、爪の下の出血(爪下出血)や爪の感染症も起きやすく、爪甲が完全に失われることもあります。

巻き爪

巻き爪では、爪の水平(横方向)の弯曲が強くなります。爪甲が弯曲して指の先に食い込み、痛みが生じることもあります。この変形は全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 血算と自己免疫抗体の有無を調べる検査を行います。 活動性の全身性エリテマトーデスでは、コルチコステロイドやその他の免疫の働きを抑制する薬がしばしば必要となります。 全身性エリテマトーデスの患者の約70~90%は、妊娠可能な年齢の女性ですが、小児(... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) 川崎病 川崎病 川崎病は全身の血管に炎症(血管炎)が起こる病気です。 川崎病の原因は不明ですが、感染症と関連があると考えられています。 典型的な症状は、発熱、発疹、イチゴ舌のほか、ときに心臓の合併症がみられることもあり、これによりまれに死に至ることがあります。 診断は診断基準に基づいて下されます。 迅速な治療を行えば、ほぼすべての患児が回復します。 さらに読む 川崎病 、末期腎不全(重度の慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD) 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、感覚の消失、錯乱、呼吸困難、皮膚の黄褐色への変色などがあります。 診断は、血液検査と尿の検査の結果により下されます。 さらに読む )、一部の遺伝性症候群(先天性爪甲厚硬症など)の患者にもみられます。ときに高齢者、指に関節炎がある人、フィットしていない靴を履いている人にもみられます。

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