
( 水疱ができる病気の概要 水疱ができる病気の概要 水ぶくれ(水疱、小さいものは小水疱)とは、死んだ皮膚でできた非常に薄い膜の下に液体がたまってできる膨らみです。この液体は、損傷を受けた組織からにじみ出てきた水分とタンパク質が混ざったものです。水疱は多くの場合、熱傷や刺激など特定の損傷に対する反応として生じ、通常は皮膚の最も外側の層だけに発生します。このような水疱は速やかに治癒し、通常は瘢... さらに読む も参照のこと。)
この 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む では、小麦、ライ麦または大麦を原料とする食品に含まれるグルテンという物質が免疫系を刺激して皮膚を攻撃させます。
体の様々な部位に、かゆみを伴う小さな水疱とじんま疹のような腫れが生じます。
疱疹状皮膚炎の診断は、皮膚のサンプルを顕微鏡で調べることによって下されます。
通常は、ジアフェニルスルホンまたはスルファピリジンの投与とグルテン除去食による治療で効果が得られます。
疱疹状皮膚炎は若い成人に発生することが多い病気ですが、小児や高齢者にも発生することがあります。黒人やアジア人ではまれです。
その病名とは裏腹に、疱疹状皮膚炎はヘルペスウイルスとは無関係です。疱疹状という用語は、水疱が密集して生じる様子(一部のヘルペスウイルスが引き起こす発疹に似た状態)を表すものです。
疱疹状皮膚炎では、小麦、ライ麦または大麦を原料とする食品に含まれるグルテン(タンパク質の一種)によって免疫系が何らかの形で活性化され、活性化した免疫が皮膚の一部を攻撃することで、発疹やかゆみが生じます。疱疹状皮膚炎を発症した人は、グルテンに対する過敏性が原因で生じる腸の病気であるセリアック病 も併発していることが多いですが、 セリアック病 セリアック病 セリアック病は、小麦や大麦、ライ麦に含まれるタンパク質のグルテンに対する遺伝性の不耐症であり、小腸の粘膜に特徴的な変化を起こし、吸収不良が生じます。 タンパク質のグルテンの摂取後に、腸の粘膜に炎症が生じます。 症状としては、成人では下痢、低栄養、体重減少などがあります。 小児でみられる症状としては、腹部膨満、非常に強い悪臭がする大量の便、成長不良などがあります。 診断は、典型的な症状と小腸の粘膜から採取した組織サンプルの検査結果に基づい... さらに読む による症状が認められない場合もあります。さらに他の自己免疫疾患、具体的には 甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。 甲状腺機能低下症では通常、疲労を感じ、寒さに耐えられなくなります。 さらに読む 、 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 血算と自己免疫抗体の有無を調べる検査を行います。 活動性の全身性エリテマトーデスでは、コルチコステロイドやその他の免疫の働きを抑制する薬がしばしば必要となります。 全身性エリテマトーデスの患者の約70~90%は、妊娠可能な年齢の女性ですが、小児(... さらに読む
、 サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、スカンジナビア系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。... さらに読む
、 悪性貧血 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12(コバラミン)は葉酸とともに、赤血球の形成と成熟、および細胞の遺伝物質であるDNA(デオキシリボ核酸)の合成に必要です。ビタミンB12はまた、正常な神経機能にも必要です。 (ビタミンの概要も参照のこと。) 肉(特に牛肉、豚肉、レバーなどの内臓肉)、卵、栄養強化シリアル、牛乳、アサリ、カキ、サケ科の魚、ツナ(マグロなど)などには、ビタミンB12が豊富に含まれています。... さらに読む 、 糖尿病 糖尿病と糖代謝異常 などの発生率も高くなります。疱疹状皮膚炎のある人では、ときに腸に リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は抗体を産生... さらに読む
が発生することもあります。
症状
診断
皮膚生検
診断は皮膚生検の結果に基づいて下されますが、この検査では皮膚のサンプルに特定の種類の抗体が特徴的なパターンで認められます。疱疹状皮膚炎の患者をみた医師は、必ずセリアック病がないか調べる評価を行います。
治療
グルテン除去食
ジアフェニルスルホンのほか、ときにその他の薬
水疱は治療しない限り治りません。通常は、日々の食事をグルテン除去食(小麦、ライ麦、大麦を含まない食事)にしますが、これは セリアック病の主な治療法 治療 セリアック病は、小麦や大麦、ライ麦に含まれるタンパク質のグルテンに対する遺伝性の不耐症であり、小腸の粘膜に特徴的な変化を起こし、吸収不良が生じます。 タンパク質のグルテンの摂取後に、腸の粘膜に炎症が生じます。 症状としては、成人では下痢、低栄養、体重減少などがあります。 小児でみられる症状としては、腹部膨満、非常に強い悪臭がする大量の便、成長不良などがあります。 診断は、典型的な症状と小腸の粘膜から採取した組織サンプルの検査結果に基づい... さらに読む です。
ジアフェニルスルホンという薬を内服すると、ほぼ常に1~3日で症状が改善されますが、ダプソン(dapsone)は貧血を引き起こす可能性があるため、血球数の測定(血算)を定期的に行う必要があります。スルファピリジン(または代わりにサラゾスルファピリジン)の内服も行われ、ジアフェニルスルホンの副作用に耐えられない患者に対して投与されることがあります。しかし、スルファピリジンは貧血や白血球の減少(感染のリスクが高まります)を引き起こすことがあるため、定期的な血球数の測定(血算)も必要になります。
薬の服用と厳密なグルテン除去食を6カ月以上続け、症状がコントロールできるようになれば、通常は薬物治療を中止することができます。ただし、一部には薬の服用を中止できない人もいます。また、ほとんどの人は、たとえ少量でもグルテンを摂取すると症状が突然再発します。グルテン除去食を5~10年にわたり厳密に守ることで、腸管リンパ腫の発生リスクが低下します。