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天然痘

痘瘡

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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本ページのリソース

天然痘は、天然痘ウイルスが引き起こす、感染性、致死性ともに非常に高い病気です。この病気は現在では根絶されています。

  • 1977年以来、天然痘は発生していません。

  • 感染者が呼吸やせきで排出した空気を吸い込むことで感染します。

  • 発熱、頭痛、背部痛、発疹、またときには重度の腹痛が生じ、非常に体調が悪くなります。

  • 診断の確定は、発疹から採取したサンプル中にウイルスを確認することで行います。

  • ウイルスにさらされた時点から数日以内にワクチンを接種すれば、感染症を予防したり、症状を軽くすることができます。

  • 治療としては、水分補給、症状の緩和、血圧を維持するための処置、呼吸補助が行われます。

ウイルス感染症の概要も参照のこと。)

天然痘ウイルスは動物には感染せず、人間にのみ感染します。

主に2つのタイプがあります。

  • 重症型(大痘瘡)がより一般的で、懸念されるものです。

  • もう1つの型(小痘瘡)ははるかに少なく、症状もずっと軽くて済みます。

今から200年以上前に、世界で初めてのワクチンとして天然痘ワクチンが作られました。このワクチンは大変効果的で、世界中の人々に接種されました。最後に天然痘患者が報告されたのは1977年のことで、1980年には、世界保健機関(WHO)が天然痘の根絶を宣言し、ワクチン接種の廃止を推奨しました。

ウイルスのサンプルは、2つの研究施設(1つは米国、1つはロシア)で厳重な管理のもと保管されています。

ワクチンの予防効果は徐々に弱くなるため、現在では、以前にワクチンを受けたことのある人も含め、ほぼすべての人が様々な度合いで天然痘にかかりやすくなっていると考えられています。こうした防御力の低下が心配されるのは、ひとえにウイルスのサンプルが保管されているためであり、テロリスト集団がウイルスを入手して、社会にばら撒くのではないかと懸念する人もいます。その結果生じる流行は壊滅的なものとなるでしょう。

天然痘ウイルスは、感染者が吐く息やせきの飛沫で汚染された空気を吸うことで、人から人へと直接感染します。感染者が着用した衣服や使用した寝具に触れることでも感染が広がります。天然痘は通常、感染者と濃厚な接触がある人に伝染します。まれに、ビル内などの閉じた環境で誰かが天然痘に感染している場合などに、天然痘が空気感染することがあります。学校や職場で大規模な流行が生じることはまれと考えられます。

ウイルスは外界では長くて2日しか生きられず、温度や湿度が高ければさらに短命です。

知っていますか?

  • 以前にワクチン接種を受けたことのある人も含め、現在ではほぼすべての人が天然痘にかかりやすくなっていると考えられています。

症状

大痘瘡

通常、重症型の症状は感染の7~17日後に現れます。発熱、頭痛、背部痛が生じ、体調が非常に悪くなります。重度の腹痛が生じ、せん妄に陥ることがあります。

2~3日後に、赤い斑点状の平坦な発疹が顔や口の中に現れます。それからすぐに、発疹は体幹や脚に広がり、次に手と足に広がります。発疹が現れるまでは、ほかの人に感染することはなく、発疹が出てから7~10日間が最も感染力が高い時期です。斑点は、1~2日経つと水疱になり、その中は膿で満たされています(膿疱になります)。8~9日後には膿疱がかさぶたになります。

肺や脳、骨に感染することがあります。

天然痘にかかった人の約30%が死亡し、多くの場合は発症後2週目に亡くなります。治った人には、外観を損なう大きなあとが残ることがあります。

重症型の患者の少数では、より強い初期症状が早く現れます。まれなタイプである出血性の天然痘では出血が生じます。ほんの数日で皮膚、粘膜、消化管に出血が起こります。出血性の天然痘では、ほとんどの場合、5~6日で死に至ります。

小痘瘡

重症でない型の場合は、似た症状が出るもののはるかに軽症です。発疹がみられる範囲も狭く、死亡率は1%未満です。

診断

  • 水疱から採取した体液のサンプルに天然痘ウイルスのDNAがみられるかどうかの検査

この病気に特有の斑点が、特に天然痘が流行している時期に現れた場合は、天然痘が疑われます。

天然痘の診断は、水疱や膿疱からサンプルを採取して天然痘ウイルスの遺伝物質(DNA)を検査し、天然痘ウイルスが確認されれば確定します。

サンプルを顕微鏡で調べたり、検査室に送ってウイルスを増殖させる検査(培養検査)を行う場合もあります。

予防

天然痘の脅威には予防接種で対処するのが最も有効です。次の予防法があります。

  • ワクチンの予防接種

  • 隔離

天然痘ワクチンは天然痘ウイルスから作られるわけではありません。代わりに、天然痘ワクチンには生きたワクシニアウイルスが含まれています。このウイルスはサル痘や天然痘を引き起こすウイルスと類似しています。ワクシニアウイルスを接種すると、軽い感染が起こり、それによって天然痘の感染を防ぐことができます。

ウイルスにさらされる前にワクチン接種を受けておくのが最も効果的です。しかし、ウイルスにさらされた後でも、ワクチンを接種すれば、発症を防ぎ、発症しても症状を軽くすることができます。予防接種が役に立つのはウイルスにさらされてから4日後までですが、早いほど効果的です。

ワクチン接種が成功すると、大体7日以内に接種を受けた部位に水疱ができます。水疱が現れない場合は、もう一度ワクチンを接種します。水疱の周囲が赤くなることがあります。接種の1週間後に、多くの人が発熱や筋肉痛、全身の不調を経験します。

予防接種も一部の人々にとっては危険なことがあり、特に免疫機能が低下している人(エイズ患者や免疫系を抑制する薬を使用している人など)は注意が必要です。まれに、健康な人でも天然痘ワクチンの副反応が起こることがあります。以前にワクチン接種を受けたことがある人では、受けたことがない人より副反応は生じにくくなります。

  • ワクチン接種を受けたことがない健康な人では、およそ1万人に1人がワクチン接種の重篤な合併症を発症し、100万人に1人が死亡します。

  • ワクチン接種を受けたことがある健康な人では、400万人に1人がワクチンによって死亡します。

ワクシニア免疫グロブリンや抗ウイルス薬のシドホビル(cidofovir)などの新しい薬が、副反応の治療と死亡リスクの低下に役立つ可能性があります。しかし、ワクチン接種にはリスクが伴うため、ワクチン接種はウイルスにさらされるリスクの高い人(主に特定の軍人や、ワクチンまたは関連物質を扱う臨床検査技師や医療従事者)にのみ推奨されます。

疑わしい症状がある人は、感染の拡大を防ぐために隔離する必要があります。隔離された人と接触した人は、発症して発疹が出るまで病気を他者に広めることはないため、隔離は行われません。ただし、接触者についても注意深く観察し、感染症の最初の徴候が現れれば隔離します。

治療

  • 支持療法

天然痘の治療は支持療法です。水分補給、症状の緩和、呼吸補助(フェイスマスクによる酸素供給など)、血圧維持のための治療などを行います。

抗ウイルス薬は天然痘が発生していた時代にはなかったため、天然痘に対する試験は行われていません。しかし、仮に天然痘が再び現れたら、シドホビル(cidofovir)と数種類の実験段階の薬が役立つのではないかと考えられています。

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