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がんに対する体の防御

執筆者:

Robert Peter Gale

, MD, PhD, Imperial College London

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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体内では1つの細胞ががん化しても、増殖したり拡がったりする前に、免疫系がその細胞の異常を認識して破壊できることが多くあります。がん細胞は完全に除去されることがあり、その場合はがんが現れることはありません。エイズ患者や免疫抑制薬の投与を受けている人、ある種の自己免疫疾患のある人、また免疫系の働きが若い人に比べて低い高齢者のように、免疫系に異常や機能低下がある人では、特定のがんが進行する可能性が高くなります。免疫機能が低下している人によくみられるがんとしては、黒色腫(メラノーマ)腎臓がんリンパ腫などがあります。免疫機能が低下している人でも肺がん、乳がん、前立腺がん、結腸がんなど、他の特定のがんがあまり多くみられない理由は、明らかにされていません。

腫瘍抗原

抗原とは、体の免疫系に認識され、攻撃の標的になる異物のことです。抗原はあらゆる細胞の表面にありますが、正常な場合、免疫系は自分自身の細胞には反応しません。細胞ががん化すると、体内の免疫系には知られていない新たな抗原ががん細胞の表面に現れます。免疫系は、腫瘍抗原と呼ばれるこの新しい抗原を異物として認識し、がん細胞を囲いこんだり破壊したりできます。異常細胞を破壊するこのようなメカニズムによって、多くの場合がん細胞を定着する前に破壊することができます。しかし、正常に機能している免疫系でさえ、常にすべてのがん細胞を破壊できるとは限りません。またがん化した細胞が増殖してがん細胞の大きなかたまり(良性腫瘍)ができてしまうと、免疫系の能力を超えることがあります。

黒色腫、乳がん卵巣がん肝臓がんなど、いくつかのがんでは、腫瘍抗原が特定されています。腫瘍抗原から作られたワクチンは、前立腺がんの治療に用いられており、免疫系を刺激することによって、他のがんの予防や治療ができる可能性があります。こうしたワクチンの研究には、大きな関心が寄せられています。

腫瘍抗原の中には血液検査で検出できるものもあります。これらの腫瘍抗原は、腫瘍マーカーと呼ばれることがあります。そうした腫瘍マーカーのいくつかの測定値が、治療の効果を評価するために利用できます(表「主な腫瘍マーカー」を参照)。

免疫チェックポイント

免疫系が正常に機能している場合でも、がんがその防御網をすり抜けてしまうこともあります。

免疫系が通常は正常な細胞を攻撃しない理由の1つに、正常な細胞の表面にあるタンパク質が、血液中の免疫細胞(T細胞)に対して、そのタンパク質をもつ細胞が正常であり攻撃してはいけないという信号を出していることがあげられます。これらはチェックポイントタンパク質と呼ばれます。ときおり、がん細胞がこうしたチェックポイントタンパク質をつくるようになって、攻撃から逃れることがあります。免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる新しい種類の抗がん剤は、この信号を遮断して免疫系ががんを攻撃できるようにします。

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