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骨髄線維症

(慢性特発性骨髄線維症、特発性骨髄化生、骨髄化生を伴う骨髄線維症)

執筆者:

Jane Liesveld

, MD, James P. Wilmot Cancer Institute, University of Rochester Medical Center;


Patrick Reagan

, MD, University of Rochester Medical

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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骨髄線維症とは、造血細胞に代わって線維組織が骨髄中に増える病気で、異常な形状の赤血球が生産されたり、貧血や脾臓の腫大が発生したりします。

  • 骨髄線維症は、特定の遺伝子変異によって自然に発生したり、別の血液疾患によって引き起こされることがあります。

  • 人によっては、疲労感や脱力感を覚えたり、感染したり、出血しやすくなります。

  • 診断には血液検査と骨髄生検を行います。

  • 薬の投与やその他の治療により、貧血の重症度を低くしたり、赤血球の生産量を増やしたり、感染を治療したりします。

  • 場合によっては、幹細胞移植を行うこともあります。

骨髄が正常であれば、線維芽細胞と呼ばれる細胞が、造血細胞を支える線維組織(結合組織)を作っています。骨髄線維症では、線維芽細胞や、単球など他の細胞が、過剰な線維組織を生産したり、線維組織の形成を刺激する化学物質を過剰に分泌します。線維組織によって造血細胞が押し出されてしまいます。その結果、赤血球の生産量が減少し、血流に放出される赤血球の数が少なくなって 貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなったりすると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分... さらに読む になり、次第に重症化します。

しかも、これらの赤血球の多くは未成熟であったり、奇形であったりします。未成熟の白血球と血小板が、数は様々ですが、血液中にみられることもあります。骨髄線維症が進行するにつれて、白血球数は増加することも減少することもありますが、血小板数は一般的に減少します。

骨髄線維症はまれな病気です。50~70歳で発症することが最も多く、ほとんどは男性にみられます。

骨髄線維症は以下のように発生することがあります。

  • 単独で発生(原発性または特発性骨髄線維症と呼ばれます)

  • 他の血液疾患に伴って発生(二次性骨髄線維症と呼ばれます)

原発性骨髄線維症(以前は特発性骨髄化生と呼ばれていた)は単独で発生する骨髄線維症です。原発性骨髄線維症の約半数で、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)と呼ばれる遺伝子に突然変異がみられます。この遺伝子は、細胞の増殖と免疫反応に関与する特定の酵素を調節しています。そのほかでは、細胞が適切に機能するために必要なタンパク質を作るのに関与するカルレティキュリン(CALR)と呼ばれる遺伝子や、細胞の増殖に関与するトロンボポエチン受容体遺伝子(MPL)の突然変異がみられます。

二次性骨髄線維症は、別の病気、特に 慢性骨髄性白血病 慢性骨髄性白血病(CML) 慢性骨髄性白血病は、ゆっくり進行し、本来なら好中球、好塩基球、好酸球、単球に成長する細胞ががん化する病気です(白血病の概要も参照)。 疲労感、食欲不振、体重減少などの非特異的な症状がみられる段階があります。 病気が進行するにつれて、リンパ節や脾臓の腫大に加え、顔が青白くなったり、あざや出血を起こしやすくなったりします。 診断には、血液検査、分子生物学的な検査、染色体検査が用いられます。... さらに読む 真性多血症 真性多血症 真性多血症とは、骨髄増殖性疾患の一種で、骨髄中の造血細胞の異常によって全種類の血液の細胞が過剰生産される病気です。 原因は不明です。 疲労感や脱力感を覚えたり、ふらつきや息切れを感じたりすることがあり、血栓に起因する症状が現れることもあります。 診断には血液検査を行います。 瀉血(しゃけつ)という処置を行って、過剰な赤血球を抜き取り、場合によってはアスピリンを服用し、ときに他の薬を使用します。 さらに読む 血小板血症 原発性血小板血症 血小板血症とは、血小板が過剰に作られ、血液の凝固や出血にかかわる異常が生じる病気です。 手や足に灼熱感や発赤、チクチクした痛みを感じたり、指先が冷たく感じたりすることがあります。 通常は、血液検査で診断が得られますが、骨髄生検が必要になることもあります。 症状を抑え、血小板の生産量を減らす治療が行われます。 (骨髄増殖性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は形質細胞のがんで、異常な形質細胞が骨髄や、ときには他の部位で、制御を失った状態で増殖する病気です。 骨の痛みや骨折が発生することが多く、腎臓障害、免疫機能の低下(易感染状態)、筋力低下、錯乱などがみられることもあります。 血液検査や尿検査で各種の抗体の量を測定することで診断が下され、骨髄生検によって確認されます。 多くの場合、治療には従来の化学療法薬、コルチコステロイドと、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ、カルフィルゾミ... さらに読む 多発性骨髄腫 リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は抗体を産生... さらに読む リンパ腫の概要 といった別の血液疾患によって発生します。また 結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じることもあります。... さらに読む 結核 肺高血圧症 肺高血圧症 肺高血圧症とは、心臓から肺につながる動脈(肺動脈)の血圧が異常に高くなる病気です。 多くの病気が肺高血圧症を引き起こす可能性があります。 通常は、運動時に息切れや体力低下といった症状が現れ、患者によっては運動時にふらつきや疲労感がみられることもあります。 胸部X線検査、心電図検査、心エコー検査により、診断の手がかりが得られるものの、診断を... さらに読む 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 血算と自己免疫抗体の有無を調べる検査を行います。 活動性の全身性エリテマトーデスでは、コルチコステロイドやその他の免疫の働きを抑制する薬がしばしば必要となります。 全身性エリテマトーデスの患者の約70~90%は、妊娠可能な年齢の女性ですが、小児(... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性強皮症 全身性強皮症 全身性強皮症は、皮膚、関節、内臓の変性変化と瘢痕化、および血管の異常を特徴とする、まれな慢性自己免疫リウマチ疾患です。 指が腫れる、間欠的に指が冷たくなり青く変色する、関節が永続的に(通常は曲がった状態で)固まる(拘縮)などの症状のほか、消化器系、肺、心臓、腎臓の損傷が発生することがあります。 多くの場合、患者の血液中には自己免疫疾患に特徴的な抗体が認められます。 全身性強皮症に対する根治的な治療法はありませんが、症状と臓器機能障害に対... さらに読む 全身性強皮症 などの場合や、骨にがんが転移した場合に発生することもあります。

症状

骨髄線維症では、多くの場合、何年も症状が現れません。しかし、場合によっては、急速に、 貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなったりすると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分... さらに読む 血小板減少症 血小板減少症の概要 血小板減少症とは、血小板の数が少なくなった状態で、出血のリスクが高まります。 血小板減少症は、骨髄で作られる血小板が少なすぎる場合や血小板が破壊されすぎたり、腫大した脾臓に蓄積されすぎたりした場合に発生します。 皮下出血やあざがみられます。 血液検査を行って、診断を確定するとともに、その原因を特定します。 ときには治療(血小板輸血、プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]、または脾臓摘出)が必要になることがあります。 さらに読む 血小板減少症の概要 白血病 白血病の概要 白血病は、白血球または成熟して白血球になる細胞のがんです。 白血球は骨髄の幹細胞から成長した細胞です。ときには成長がうまくいかずに、染色体の一部の並びが変化してしまうことがあります。こうして異常となった染色体により正常な細胞分裂の制御が失われ、この染色体異常がある細胞が無制限に増殖するようになったり、細胞がアポトーシス(不要になった細胞が... さらに読む などに至ることもあります。最終的には、貧血が重症化し、脱力感、疲労感、体重減少、全身のだるさ(けん怠感)が現れるほどになります。発熱、寝汗、体重減少がみられることもあります。白血球の数が減少すると、感染リスクが高まり、感染を繰り返す可能性があります。血小板数が減少すると、出血のリスクが高くなります。

診断

  • 血液検査

  • 骨髄生検

  • 遺伝子検査

予後(経過の見通し)

原発性骨髄線維症の約半数の患者では、生存期間が5年を上回りますが、生存期間は人によって大幅に異なります。骨髄線維症は一般に進行が遅いため、この病気にかかっても10年以上の生存が望めますが、骨髄がどの程度良好に機能しているかによって結果は異なります。ときには、急速に悪化することもあります。治療では、病気の進行を遅らせることと、合併症を軽減することが目標になります。しかし、幹細胞移植だけは治癒が期待できます。

二次性骨髄線維症の予後は、基礎にある原因に大きく依存しています。

治療

  • ルキソリチニブ

  • 場合により幹細胞移植

ルキソリチニブは、JAK2遺伝子の突然変異を阻害するために開発された薬で、しばしば最初の治療に用いられます。CALRまたはMPL遺伝子の突然変異もJAK2を活性化するため、これらの突然変異がみられる人にも効果的です。脾臓の大きさを小さくし、症状を抑制する点で効果があり、全生存期間が延長する可能性もありますが、ほとんどの場合、線維症を回復させず、貧血や血小板数の低下につながることもあります。サリドマイドが投与されることもあり、これは血小板数の維持と、脾臓の大きさを小さくするのに役立ちます。

脾臓の大きさを小さくすることで、症状の緩和につながります。化学療法薬のヒドロキシカルバミド、免疫系に作用するインターフェロンアルファによって、腫大した肝臓や脾臓が小さくなることがありますが、どちらも貧血を悪化させる可能性があります。脾臓の大きさを小さくするために、放射線療法も使用可能です。低用量のサリドマイドは、他の治療法が不成功に終わった場合に脾臓を小さくするのに役立つ場合があります。しかし、これらの薬や放射線療法で脾臓の大きさを小さくする必要は通常ありません。

まれに、脾臓が極めて大きくなって痛みを伴い、手術による摘出が必要になることもありますが、脾臓の摘出は他の方法をすべて試した後でしか推奨されません。原発性骨髄線維症の場合、血栓、感染症、血液細胞の産生が肝臓など別の重要臓器で行われるようになるといった合併症が起こりうるため、摘出はあまり行われません。

骨髄線維症患者の約3分の1では、アンドロゲン(男性ホルモンの作用をもつ薬)とプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を併用することによって、一時的に貧血が軽減されますが、この治療が行われるのはまれです。

その他の薬も開発されています。細菌感染症の場合は抗菌薬で治療します。

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