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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

執筆者:

David J. Kuter

, MD, DPhil, Harvard Medical School

レビュー/改訂 2020年 7月
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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重篤な病気です。

  • 症状は血栓ができた場所に関係します。

  • 診断は症状と血液検査に基づいて行います。

  • 血栓性血小板減少性紫斑病の治療は、血漿交換、コルチコステロイド、リツキシマブのほか、まれにカプラシズマブ(caplacizumab)によって行います。

血栓性の意味は、血栓ができること、血小板減少性の意味は、血小板数が低下すること、そして紫斑病の意味は、皮膚に紫色の斑点やあざがみられることです。血栓性血小板減少性紫斑病はまれな病気で、多くの小さな血のかたまり(血栓)が突然全身にできます。 溶血性尿毒症症候群 溶血性尿毒症症候群(HUS) 溶血性尿毒症症候群(HUS)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重篤な病気で、通常は小児に発生します。 症状は血栓ができた場所に関係します。 診断は症状と血液検査に基づいて行います。 溶血性尿毒症症候群の治療では、重要な身体機能の補助と場合により血液透析を行うことがあり、一部の患者ではエクリズマブという薬が有益になる場合もあります。... さらに読む (HUS)と関連がありますが、溶血性尿毒症症候群と比べると成人に発生する傾向があります。血栓は、全身の毛細血管を詰まらせますが、特に脳、心臓、腎臓の血管を詰まらせます。血管が詰まると組織が損傷を受けるとともに、赤血球が分裂を起こし、部分的に詰まった血管を通り抜けます。血栓の形成は、異常に大量の血小板が消費されることも意味するため、血液中の血小板数が急激に減少することになります。

血栓性血小板減少性紫斑病の原因は、多くの場合不明ですが、一部では特定の薬(キニーネ、シクロスポリン、マイトマイシンCなど)を服用した後、特定の腸管感染症の後、妊娠中、またはまれに遺伝性疾患としても現れます。たいていの場合、身体の免疫系が酵素(ADAMTS13)を破壊する抗体を生産する 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む が血栓性血小板減少性紫斑病です。この酵素が欠乏すると、血小板が血管内で不適切に凝集し始めて、血液中の血小板の数(血小板数)が減少するとともに、血栓ができた臓器(脳や腎臓など)が損傷を受ける可能性があります。

症状

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では、症状が突然現れます。

血栓性血小板減少性紫斑病の症状は、その他のほとんどの血小板減少症とかなり異なります。

血栓性血小板減少性紫斑病では、(血小板を使い果たして)形成された小さな血栓が様々な症状や合併症を引き起こし、その中には生命を脅かすものもあります。脳内の血栓による症状には、頭痛、錯乱、けいれん、昏睡(こんすい)などがあります。脳内の血栓による症状は、出現と消失を繰り返すことがあり、程度も様々です。体内の別の部位の血栓による症状としては、不整脈、血尿、腹痛などがみられます。

診断

  • 血小板数を測定する血液検査

  • ADAMTS13酵素に対する自己抗体の検査

  • 血小板数の減少や出血を引き起こす他の病気を否定するための検査

体調不良が続いている人、特定の薬の投与を受けている人、または妊娠している人に、血小板数が少ないことが確認されたときに、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が疑われます。

血栓性血小板減少性紫斑病の診断に特化した血液検査はありませんが、症状と併せて診断に役立つ血液検査がいくつか行われます。これらの血液検査には、多くの場合、赤血球が破壊されていることを証明する検査、腎臓がどの程度機能しているか調べる検査、ADAMTS13酵素に対する抗体の有無を調べる検査が含まれます。

治療

  • コルチコステロイドと血漿交換

  • ときにリツキシマブ

  • カプラシズマブ(caplacizumab)(まれ)

リツキシマブは、免疫系を抑制する薬で、コルチコステロイドとプラズマフェレーシスによる治療後に血栓性血小板減少性紫斑病が再発した場合に用いられることがあります。

カプラシズマブ(caplacizumab)は、血液の凝固に関与するタンパク質と血小板の相互作用を阻害する新薬です。カプラシズマブ(caplacizumab)は、血漿交換の必要性を減らしTTPの回復を早める可能性がありますが、出血のリスクを高める可能性もあります。

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